
「今後の中日関係の健全な発展のためには、まず日本の新内閣および政府の各中国関係部門の公務員が中日間の4つの政治文書を学び直し、既存の共通認識や両国関係の原則を熟知し、かつ厳格に遵守して、政策の連続性と信頼性を確保することが必要だ。」10.26 人民日報 「中日関係は『温故創新』を4つの政治文書の恪守が前提」
1.我々は揉め事を挑発することを望まない
10月24日、中国の楊外相は「新日中友好21世紀委員会」のメンバーと北京で会談し、「9月の日本の新内閣発足後、中日関係は良いスタートを切った」と述べ、野田内閣を評価した。そして「戦略的互恵関係の水準を高めることを願っている」と述べ、年内の野田首相の訪中に期待を込めたと報道されている。
新日中友好21世紀委員会というのは、2003年5月にサンクトペテルブルグにおいて行われた小泉総理(当時)と胡錦濤国家主席との間の日中首脳会談において、新日中友好21世紀委員会の設置について合意され、2003年12月に中国で初会合が開催されたもので、今年は10月23日から25日に掛けて、中国の北京及び長沙で行われた。
今回の、この楊外相の発言は、中国が最近の日本の動きに対して、一時的であるにせよ、白旗を揚げたことを意味する。というのは、南シナ海への懲罰戦争を口にした途端、日本がすぐさまインド・ベトナムと連携し、更にアメリカの紐をつけて、半中国包囲網をつくってみせたから。
それは、最近の中国のコメントからも伺い知ることができる。
まず、10月25日、中国外交部の姜瑜報道官は定例会見で「現在南中国海周辺各国はいずれも、話し合いを通じて、平和的方法で海上係争を適切に処理し、地域の平和・安定および良好な二国間関係を維持することを約束している。われわれはそれがどの国であろうと、もめ事を挑発することを望まないし、南中国海問題への域外国の介入も望まない」と述べている。
そして、10月26日には「新日中友好21世紀委員会」の会合の総括で、唐家セン氏が「今回の会合で双方の委員は終始積極的に参加し、頻繁に働きかけ合い、それぞれを緊密につなげ、たゆまず踏み込んで議論した。見解の衝突や対立もあったが、共通の目標や見解の融合がそれを上回った。双方の委員は共に中日間の4つの政治文書の重要な指導的意義を強調し、戦略的互恵関係の推進について価値ある見解、大きな構想、具体的提言を多数示し、実り豊かな成果を上げた」と述べている。
この委員会の日本側座長の西室泰三氏は「会合では多くの事柄が議論された。双方の委員は誠意をもって接し、踏み込んで交流し、相互理解を深めた。双方はより広範な分野で各レベルの交流・協力を強化し、政治・安全保障上の相互信頼の強化に努め、日中関係の持続的な前進を促すべきとの認識で一致した」と発言しているから、先の唐家セン氏の「見解の衝突や対立もあったが、共通の目標や見解の融合がそれを上回った」という発言と重ね合わせると、それなりに本音の議論が交わされたと思われる。
さて、これらの発言から、中国の日本に向けたサインを読み取ってみたい。
唐家セン氏が口にした、"中日間の4つの政治文書"というのは、「日中共同声明」、「日中平和友好条約」、「日中共同宣言」そして、「戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明」の4つの文書を指し、中国にとって、日中関係で一番重要な文書とされる。
中国の基本戦略は基本的にこの4つの政治文書を見ればいい。
2.いいえ、あなたの言う「どぎつい交渉」よ
4つの政治文書のうち最後の「戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明」は、2008年の福田総理時代に結ばれたものだけれど、それ以前の3つの文書と比較することで、中国の戦略を読みとることができる。
それについては、2008年5月に「共同声明に潜む中国の領土的野心」のエントリーで述べた。少し長くなるのだけれど、大事な内容なので、改めて次に引用する。
今回の共同声明は、「日中共同声明」「日中平和友好条約」「日中共同宣言」の三つの政治文書に並ぶ四つ目の政治文書と位置づけられているから、それなりの重みを持つ筈。
それぞれの文書の要旨を以下に引用する。
「日中共同声明」要旨
1.日中国交正常化の実現。
2.中華人民共和国を中国の唯一の合法的政府であると承認。
3.台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを日本は十分理解し、尊重する。
4.中華人民共和国は日中両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する。
5.日本と中華人民共和国は主権、領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政相互不干渉、恒久的な平和友好関係を確立する。
6.日中間のすべての紛争については平和的に解決し、武力又は武力による威嚇に訴えない。
7.日中両国はアジア・太平洋地域において覇権を求めない。覇権を確立しようとする他のいかなる国や集団に反対する。
8.日中平和友好条約の締結を目指す。
「日中平和友好条約」要旨
1.主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えない。
2.アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する。
3.平等及び互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する。
4.この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。
5.この条約は、十年間効力を有するものとし、その後は、いずれの一方の締約国も、一年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、最初の十年の期間の満了の際又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。
1998年の「日中共同宣言」要旨
1.主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵、平和共存の諸原則並びに国際連合憲章の原則が、国家間の関係を処理する基本準則であることを確認し、核兵器の究極的廃絶および関係国に一切の核実験と核軍備競争の停止を強く呼びかけるを主張。
2.アジア地域における覇権はこれを求めることなく、武力又は武力による威嚇に訴えず、すべての紛争は平和的手段により解決すべき。ASEAN地域フォーラム等に積極的に参画し、アジア太平洋地域の主要国間の安定的な関係に努力する。
3.過去の一時期の中国への侵略によって中国国民に多大な災難と損害を与えた責任を痛感し、これに対し深い反省。中国側は、日本側が歴史の教訓に学び、平和発展の道を堅持することを希望。
4.双方は、毎年いずれか一方の国の指導者が相手国を訪問。
5.引き続き中国の経済開発に対し協力と支援を行っていくとの方針を改めて表明。
6.日中共同声明の中で表明した台湾問題に関する立場を引き続き遵守し、改めて中国は一つであるとの認識を表明。
これらに対して、今回の(戦略的互恵関係の包括的推進に関する)共同声明の要旨を下記に引用する。
「戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明」の要旨
一、日中関係が双方にとり最も重要な2国間関係の1つとの認識で一致。「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していくことを決意した。
二、1972年の日中共同声明、78年の日中平和友好条約、98年の日中共同宣言の諸原則を引き続き順守することを確認。2006年10月、07年4月の日中共同プレス発表にある共通認識を堅持し全面的に実施する。
三、歴史を直視し、未来に向かい、将来にわたり絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、協力を拡大、アジア太平洋、世界の良き未来をつくり上げていく。
四、互いに協力のパートナーであり、脅威にならないことを確認。
(一)日本側は、中国の改革開放以来の発展が国際社会に大きな好機をもたらしていることを積極的に評価。恒久平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していくとの中国の決意を支持。
(二)中国側は、日本が戦後60年あまり平和国家としての歩みを堅持し、平和的手段により世界の平和と安定に貢献してきたことを積極的に評価。日本の国連における地位と役割を重視、国際社会で一層大きな建設的役割を果たすこと望む。
(三)協議、交渉を通じ両国間の問題を解決。
五、台湾問題に関し、日本側は(72年の)共同声明で表明した立場を引き続き堅持する。
六、以下の5つの柱での協力を決意した。
(一)政治的相互信頼の増進
(二)人的、文化的交流、友好感情の増進
(三)互恵協力の強化
(四)アジア太平洋地域への貢献
(五)グローバルな課題への貢献
ずらりと比較して、一貫して貫かれているのは、
1.中華人民共和国を中国の唯一の合法的政府であると承認。
2.台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを日本は十分理解し、尊重する。
のふたつ
前回と比べて今回変わったのは、
A.歴史認識に関して日本の「反省」の文字が消えた。
B.主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵が消え、互いに脅威にならないに変化。また日中間の紛争解決手段として武力に訴えないから、協議、交渉を通じて解決に変化。
これまでの3つの政治文書では、相対的に国力(経済力)の劣る中国が歴史認識以外では極力下手に出ていたのに対して、今回は歴史認識を引っ込める代わりに大国になった、と自信を深めたような文章になっている。
特にBは危険。領土的野心を明らかにしてきている。
スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃で、アナキン達が古代コロシアムの中で、まさに公開処刑されようとする寸前に、ジェダイの騎士達が助けに現れ、両軍入り乱れての大乱戦になるシーンがある。そこでこんな台詞のやりとりがあったことが記憶に残っている。
アナキン「これが君の言う外交的決着か?・・」
アミダラ「いいえ、あなたの言うどぎつい交渉よ」
「武力に訴えない」というのは、武力行使しないという意味にしかとれないけれど、「脅威にならない」とか「協議、交渉を通じて解決」なんてのは主観の問題。日本が武力攻撃を受けた後で約束が違うじゃないか、といっても「たんなる交渉だ」としれっと答えるだけ。
《中略》
これまでの文書では「武力に訴えない」としていたのだから、やはり中国はこうした外交に長けていることは認めざるを得ない。長期的視野で戦略を練っている。日比野庵 2008.5.10 「共同声明に潜む中国の領土的野心」より
このように、中国は政治文書で、拡張政策が行なえるように、段階を踏んで仕込みをしている。彼らの"交渉"とは「話し合い」だけを意味しない。武力を行使した、力ずくの"どぎつい交渉"だって、交渉のうち。
その中国が、外交部の定例会見で「現在南中国海周辺各国はいずれも、"話し合い"を通じて、平和的方法で海上係争を適切に処理し・・・」と発言した。
だからこれは、今のところ武力行使の意志はない、と"白旗"を揚げたに等しい発言。
ただ、26日の人民日報では、中日関係は「温故創新」を4つの政治文書の恪守が前提とあるから、「戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明」にある"協議、交渉を通じて解決"を捨てていない以上、金輪際、武力行使はしない、という意味ではないことは注意すべき。
もしこれが、4つ目の政治文書を除外して"3つの政治文書を尊守"と言うのだったら、新しい政治文書によって上書きされるまでは、武力行使しない、ということになるのだけれど、流石にそこまでは後退しなかった。
3.ステルス・ノダの独壇場っすよ
10月下旬に開かれた、「新中日友好21世紀委員会」では、楊外相は野田首相を評価し、「戦略的互恵関係の水準を高めることを願っている」とまで発言した。要するに、「互いに話し合って、もっと仲良くしようよ」ということ。
だから、見方によっては、中国は、日本を取り込みに掛かったとみることもできる。
今回の日本の動きについて、中国は、はっきりと中国包囲網だと認識してる。
10月26日、人民日報は、中国語ニュースサイト「日本新聞網」の記事を紹介する形で、日本は「南進戦略」を積極的に推進し、12月の野田首相の中国訪問前に、南アジアと東アジアから中国に対する「戦略包囲網」を完成させる、と報じている。
だから、10月24~26日と立て続けに出る中国側の発言を繋ぎ合わせると、「日本よ、中国包囲網を作れる力があることは分かった、今はシャッポを脱ぐから、仲良くしよう。これ以上苛めないでくれ」というメッセージを発しているのだと思う。
ただ、面白いのは、人民日報が25日の記事で、野田首相が航空自衛隊の観閲式の訓示で野田首相が、中国の古典から「天下雖安、忘戦必危(天下安なりと雖も戦を忘るれば必ず危し)」を引用したことを取り上げ、本当に取り上げるべきは「国雖大、好戦必亡(国大なりと雖も戦を好めば必ず亡び)」といっているところ。よほど、日本の包囲網が厭なのだろう。
日本からみれば、"お前が言うな委員会"が満場一致で10点満点の札を一斉に上げるところだけれど、おそらく、中国は、逆の立場であったら、自分がするであろうことを、まるで鏡のように日本に映して、自分で勝手にビビッているように見える。それもこれも、日本のバックについているアメリカを後退させるどころか、逆に「アジアの軍事力は削減しない」とアメリカを引きつけておけたことが大きいと思われる。
ただ、こうなったら、日本とて、ASEAN諸国への関与はおろそかにはできない。もっと言えば、TPPというブロック経済圏を敵に回せなくなった。
なぜなら、TPPを敵にしてしまったら、シーレーンを封鎖されてしまう可能性があるから。もちろん、現時点でその可能性は有り得ないくらい低いものなのだけれど、可能性としてはゼロじゃない。もしも、万が一、日中韓FTAに飲み込まれてしまったりして、TPPと対立してシーレーンが封鎖されたら、お手上げになる。
だから、TPPに参加するしないに関わらず、ASEANには紐をつけておかなくちゃいけない。
野田首相はぶらさがり会見を拒否して、国民に対して、殆どメッセージを発信しない。まるでステルス戦闘機のよう。だけど、国民に姿を見せない裏で、こうした、駆け引きというか、中国包囲網を作ってみせた。日本人はただのリアクション外交じゃないか、と思っていても、中国はそう思っていない。
まぁ、台本を書いたのは外務省あたりだとは思うけれど、それを善しとし、乗っかる判断をしたことは評価できる。これからは、中国側も日本に対して、もう少し慎重な対応を取ってくるものと思われる。
ステルス・ノダの独壇場っすよ。


外交部の姜瑜報道官は25日の定例会見で「現在南中国海周辺各国はいずれも、話し合いを通じて、平和的方法で海上係争を適切に処理し、地域の平和・安定および良好な二国間関係を維持することを約束している。われわれはそれがどの国であろうと、もめ事を挑発することを望まないし、南中国海問題への域外国の介入も望まない」と述べた。外交部のウェブサイトが伝えた。
----南中国海問題について環球時報は本日付の社説で「もし周辺国が中国との海上摩擦で自制しないのなら、もめ事続きの海域で軍事衝突が突如勃発するのも時間の問題だ」と指摘した。これは政府の見解、またはそれをある程度反映したものか?
メディアは編集、論説の権利を有しており、事実に基づく客観的な、責任ある姿勢で報道を行うものと信じている。
中国は平和的発展戦略を遂行し、相互信頼・相互利益・対等・協力の新安全保障観と善隣友好の周辺地域協力観を積極的に実行している。地域の平和・安定維持は域内各国の共通利益に合致する。現在、南中国海周辺各国はいずれも、話し合いを通じて、平和的方法で海上係争を適切に処理し、地域の平和・安定および良好な二国間関係を維持することを約束している。
喫緊の課題は関係国が「南中国海における各国の行動宣言」をしっかりと実行することであり、これは各国間の相互信頼の維持と強化にとって非常に重要だ。南中国海係争国とのわれわれの意思疎通や協議は滞りなく行われている。
話し合いを通じた問題解決への域内諸国の努力を域外諸国は尊重すべきだ。人為的に緊張した雰囲気をつくりだし、対立を引き起こすことは問題の解決に役立たず、複雑化させるだけだ。われわれはそれがどの国であろうと、もめ事を挑発することを望まないし、南中国海問題への域外国の介入も望まない。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年10月26日
URL:http://j.people.com.cn/94474/7626903.html

湖南省長沙市で開かれていた第5期「新中日友好21世紀委員会」の第3回会合は25日に閉幕した。来年の国交正常化40周年を控えた重要な時期の会合だ。3日間の会合で双方は現状に立脚し、未来志向で、「グローバルな視野:国交正常化40年を振り返り、中長期の中日関係を展望する」とのテーマにしっかりと沿って、率直で踏み込んだ、実務的な議論を行い、多くの重要な共通認識にいたった。
会合は(1)来年の中日国交正常化40周年という貴重なチャンスをしっかりと捉え、一連の活動を行うことで、中日関係が大きく発展する1年とする(2)長期的で健全な安定した道に沿った両国関係の前進に向けて、二国間・地域・グローバルの各レベルから中長期的な戦略的互恵関係を全方位的に計画し、発展させる----との2大目標を打ち出した。
双方の委員からは以下の具体的提案が示された。
(1)来年の国交正常化40周年を重要な契機として、国民・文化交流を推し進め、両国民の友好的感情の絆をさらに強化する。特に青少年交流への取り組みを強化し、粘り強く継続する。
(2)戦略的視点から政治・安全保障上の相互信頼を重視し、強化する。両国政府・各界有識者は相手を客観的かつ正確に捉え、問題を適切に処理すべく一層努力する。
(3)時代の潮流を把握し、グリーン経済やハイテクなどの分野で大規模な協力プロジェクトを打ち出し、経済・貿易協力の水準を引き上げ、モデル移行を一歩一歩実現する。
(4)両国の経済・社会発展のすう勢に着眼し、両国共通の試練や課題について交流や協力を推し進め、互いに参考にし合い、補完し合う。
(5)開放・包含の精神に基づき、中日韓および東アジア自由貿易圏の構築を共同で推し進め、アジア統合過程のたゆまぬ、踏み込んだ発展を先導する。
(6)複雑な世界経済・金融情勢の下、中日両国は貿易・投資・資源・エネルギー分野の協力の強化を通じて、試練への共同対応能力を強化すべきだ。
中国側座長の唐家セン氏は総括の発言で「今回の会合で双方の委員は終始積極的に参加し、頻繁に働きかけ合い、それぞれを緊密につなげ、たゆまず踏み込んで議論した。見解の衝突や対立もあったが、共通の目標や見解の融合がそれを上回った。双方の委員は共に中日間の4つの政治文書の重要な指導的意義を強調し、戦略的互恵関係の推進について価値ある見解、大きな構想、具体的提言を多数示し、実り豊かな成果を上げた」と述べた。
日本側座長の西室泰三氏は総括の発言で「会合では多くの事柄が議論された。双方の委員は誠意をもって接し、踏み込んで交流し、相互理解を深めた。双方はより広範な分野で各レベルの交流・協力を強化し、政治・安全保障上の相互信頼の強化に努め、日中関係の持続的な前進を促すべきとの認識で一致した」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年10月26日
URL:http://j.people.com.cn/94474/7626946.html

日本の野田佳彦首相は12月にインドを訪問し、インド洋を航行する日本船舶の安全確保や両国の貿易・投資拡大について協議する予定だ。中国語ニュースサイト「日本新聞網」は25日付で「これに先立ち日本は南中国海への介入に向けた一連の行動を手配済みだ。インド訪問により日本の中国包囲網が戦略的に完成される」と報じた。以下はその要旨。
日本政府は最近「南進戦略」を積極的に推進している。フィリピンとは海上情報の共有、同国の沿岸警備隊の訓練への資金援助で合意したうえ、海上保安庁巡視船の基地港を同国に建設することも計画している。さらにベトナムとも海洋戦略安保協定を締結。日越防衛相は南中国海の主権問題における中国の「強勢」に対処するため、政策の歩調を合わせることで合意した。
野田首相は11月中旬のASEAN関連会議でインドネシアやフィリピンの港湾建設強化への資金援助、造船能力向上への技術支援を発表する。さらに「海洋ASEAN経済回廊」構想を発表し、ASEAN諸国の合意を取りつける考えだ。
人口大国のインドは日本にとって巨大市場であり、歴史的摩擦もない。両国関係は長年にわたり友好的だ。日印は4年前に安保・外交定期対話制度を始動している。今月28日にはインドのクリシュナ外相が訪日し、玄葉光一郎外相と年1度の「閣僚級日印外相間戦略対話」を行い、野田首相の12月の訪印に向けた準備を行う。
野田首相は12月に中国も訪問する予定だが、その前に日本の「南進戦略」が南アジアと東アジアから中国に対する「戦略包囲網」を完成し、これによって日中関係がさらに複雑化することは明らかだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年10月26日
URL:http://j.people.com.cn/94474/7627171.html

日本の野田佳彦首相は先日、航空自衛隊観閲時の演説で、いかなる状況下でも「国を守る職責を履行」するため準備を整えるよう指示した。自衛隊への指示は1カ月前の就任以来初だ。野田首相は古代中国の名言「天下雖安忘戦必危」(天下安なりと雖も戦を忘るれば必ず危し)を特に引用し、自衛隊が戦備を強化し、戦争準備を整え、国の直面する安全保障上の試練に対処する必要性を強調した。首相としてのこの発言には、好戦ムードの台頭を感じざるを得ない。澳門日報が24日付社説で伝えた。
「天下雖安忘戦必危」は古代中国の兵法書『司馬法』にある言葉で、「国がたとえ安定していても、戦争の危険性を忘れれば、その安全は必ず脅かされる」という意味で、軍事的手段によって国家問題を処理する準備の必要性を暗に示している。この言葉にはもちろん道理がある。だが問題なのは、野田首相が第二次世界大戦時に日本の侵略で大きな被害を受けた隣国の人々の感情に配慮しているのかどうかだ。実は「忘戦必危」にはまだ上の句がある。「国雖大好戦必亡」(国大なりと雖も戦を好めば必ず亡び)、すなわち「国がたとえ強大でも、戦争を好めば必ず滅びる」という意味だ。この上の句こそ、日本の首相が本当に引用すべき言葉だ。
あらゆる兆候は、日本の対中警戒・けん制戦略が構想レベルから実行レベルへ移り始めていることを示している。野田首相の発言によって中国人は「発展は絶対的優先事項だ」「軍事力強化は絶対優先事項だ」「後れをとれば殴られるのは不変の道理だ」ということを再び直視したのである。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年10月25日
URL:http://j1.people.com.cn/94474/7625957.html
この記事へのコメント
クマのプータロー
opera
それに、TPPと中国包囲網を絡める発想自体が、経済と安全保障をごちゃごちゃにした筋のあまり良くない考え方(多くの国民を犠牲にして国の一時的な安全を図ろうとするもの)ではないでしょうか。
まぁ、民主党の思惑なんて、以下の程度だと思いますよ。
TPP:政府のTPPに関する内部文書(要旨)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111028ddm005020026000c.html
TPP:政府、文書に本音 11月表明「米が最も評価」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111028k0000m020158000c.html
日比野
中国の発言と動きを見る限り、買いかぶっているのは中国の方でしょうね。人民日報あたりは、《日本の南進戦略「中国を全面包囲」》なんて記事も出してますから相当警戒というか、嫌がっていると思いますよ。(中国のTVのテロップも"日謀:野田…"ですし…)
http://j1.people.com.cn/94474/7627171.html
あと、TPPと国防を絡める件については、アメリカ自身「これは対中国包囲網だ。日本は中国が怖いのだから、入った方がいい」と説明しているようですから、あちらは、はっきりとTPPは国防と絡めたものとして扱っています。(半分、日本向けのハッタリかもしれませんけれども)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/tpp_tpp.html
まぁ、アメリカはTPPをやっても、自分が傷つくよりも得られるものの方がずっと大きい筈ですから、アメリカ国民にとっては全然筋は悪くない。だけど、逆の立場の日本がTPPに参加すると、日本国民に大きくダメージを与えるから筋が悪