花王デモと反格差デモ
10月21日の昼、東京茅場町で、第2回の花王デモが行なわれた。
平日にも関わらず、主催者発表では、約700人超、200~250人の梯団が3つほどできたようだ。前回の二千人と比べれば、人数は減ったものの、同一主旨での2回目のデモで、これほど集まるのも珍しい。
それ以前に、何処か特定の団体が主催して、デモをするというのではなくて、ネットでの呼びかけに応じる形で人が集まり、また、デモを開催するたびに主催者が異なるというのが、運動の広がりを感じさせる。
今の日本で数百人、数千人規模で人を集めるのがどれほど難しいか。
ウォール街では、相変わらず「反格差デモ」が続いているようだけれど、それに呼応して、10月15日には、世界一斉に抗議活動をしようと、世界各地に呼びかけがされていた。
実際、10月15日には、「反格差デモ」が日本、オーストラリア、台湾、韓国、香港のアジア各地で行われたようだ。
台湾の台北では「台北を占拠せよ」と書いたプラカードを持った約500人が、高級ブランド店などが入居する観光名所の高層ビル「TAIPEI 101」前に集まり、「仕事が欲しい」「資本主義反対」などと叫んで行進し、オーストラリアのシドニーでは銀行が立ち並ぶ市中心部の広場に市民ら千人近くが集結、メルボルンでも市民ら数百人が集合したという。
また、香港でも15日午後に、金融街で集会が開かれ、学生や民主活動家ら300人余りが参加。横断幕を広げて座り込み、「資本主義反対」などと声を上げ、韓国では、ソウル中心部の広場で集会が開かれ、約500人の参加者が、若者の雇用状況改善や米韓自由貿易協定(FTA)反対などを訴えたようだ。
で、日本がどうだったかというと、千代田区の日比谷公園や港区六本木の公園などでデモや集会が開かれたのだけれど、参加者は、ホームページやツイッター、フェイスブックなどで募った約100人に留まったようだ。
土曜の午後の100人と金曜の昼の700人のどちらに人を集めるのが難しいのかなんて言うまでもないけれど、「反格差デモ」なるものが2回も3回も行われるのかどうか。どこまで人を集める訴求力があるのか。
是正という意味では、花王デモの元になっているフジテレビデモだって、情報の偏り、偏重を是正する主旨から始まったもの。だから、フジテレビデモや花王デモは、"情報格差"の是正を求めるものだと言える。
従って、フジデモや花王デモに人が集まって、ウォール街発「反格差デモ」に人が集まらないとするならば、少なくとも日本に置いては、経済格差よりも情報格差のほうが問題視され、その是正が要求されていることになる。
象徴的なのは、その反格差デモが行われた、10月15日に、東京駅近くでフジテレビデモが行われていたのだけれど、マスコミは、反格差デモだけを取り上げ、フジテレビデモは黙殺した。
東京を占領せよ、と格差に反対を唱え、デモをした当人達が、逆に情報格差の餌にされてしまっているのは、なんとも皮肉としかいいようがない。
また、同じく10月15日に、自民党の谷垣総裁がテレビ東京の番組で、TPPの参加交渉について、「もう少し情報を集めて状況をよく検討しないといけない・・・あまり拙速に判断してはいけない」と答えたことに関して、新聞メディアなどが一斉に、"谷垣氏がTPP交渉に「参加すべき」"との見出しを打って報道したことがあった。
筆者がくだんの番組を見た限り、谷垣氏はあくまでも、もっと情報を集めて議論すべきだ、ということであって、参加すべきだとは、どう贔屓目に見ても発言していない。
しかも番組ではキャスターが、自民党内に反対派がいることを取り上げ、自民党は反対なのかと水を向けたのに対して、谷垣氏は「議論しなければいけない」と中立の発言をしていた。これをもって「TPPに参加すべきだ」とするのは、やりすぎ。「議論はすべきだ」でないといけない。
だから、「反格差デモ」だって、本当は、日本の情報格差、情報のゆがみにこそデモをすべきではないのかと思う。
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ウォール街デモ東京にも出現 経済格差是正に加え「反原発」叫ぶ J-CASTニュース 10月15日(土)18時2分配信
米ニューヨークのウォール街で、格差の是正や失業問題の解決を訴えて連日続いている抗議活動が、東京にも広がった。都心の日比谷や六本木で、市民らが参加してデモ行進が行われたのだ。
この日は、米国の抗議活動に賛同する世界中の人たちが、各地でデモを開催。日本の場合は「原発反対」という独自の主張も加わった。
■「東京を占拠せよ」という横断幕
「原発いらない、福島返せ」
2011年10月15日正午過ぎ、東京・千代田区の日比谷公園を出発したデモ隊が声をあげた。雨模様のため、ビニール傘をさしたり雨がっぱを着たりした人の姿も見られる。
米ニューヨーク中心部で9月中旬から続く、若者を中心とした抗議活動は、米国にとどまらず海外にも拡大した。東京でも、ウォール街デモの趣旨に賛同した人たちが集結。一連の活動で使われている「オキュパイ(占拠)」という合言葉を用いて、「オキュパイ・トウキョウ(東京を占拠せよ)」という横断幕を掲げて行進した。外国人も複数、隊列に混じっている。
もともとウォール街の抗議活動は、格差や貧困、失業といった経済問題が深刻化する米社会において、1パーセントの富裕層に対して「私たちは99%」と不公平を正すよう訴える人たちが決起したものだ。都内のデモも「雇用を守れ」「産業を守れ」といったコールが響く。
■世界各国の「同志」から励ましのメッセージ
だが日本の場合は「特殊事情」として、反原発の主張も込められた。デモのコースは東京電力本店や、経済産業省も含まれている。参加者は格差是正だけでなく、「原発反対」と叫んだ。東電前に来ると、掛け声も一段と大きくなった。
日比谷コースのデモは1時間ほどで日比谷公園に戻ってきた。大きなトラブルはなかったようだ。SNSのフェイスブック上に開設されている「東京を占拠せよ」のページにはこの日、世界各国の「同志」から励ましのメッセージが寄せられた。「『シアトルを占拠せよ』はあなたたちと共にあります」「イスタンブールから大きな愛をこめて」と、連帯感を表現していた。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111015-00000003-jct-soci
ウォール街デモ、東京にも波及 約100人が参加 2011/10/15 19:20
米ニューヨークのウォール街で続く「反格差デモ」の世界一斉行動日の15日、東京でも千代田区の日比谷公園や港区六本木の公園などでデモや集会が開かれた。
日比谷公園周辺でのデモを主催したのは「Occupy Tokyo(東京を占拠せよ)」というグループ。ホームページやツイッター、フェイスブックなどで募った約100人が参加した。
参加者は銀座や新橋などを約1時間かけて行進し、東京電力本店や経済産業省前も通過。プラカードには格差是正を求めるメッセージのほか、「放射NO」と書かれたものもあった。
友人と参加した埼玉県所沢市の男子大学生(21)は「米国のデモで若者が経済格差の広がりを訴えていたことに触発された。日本でも集団で声を上げていくことが大きな力になると思う」と話した。
URL:http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E38A8DE3E7E3E2E0E2E3E39191E3E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2
「協議しないでよいか」 自民・谷垣氏が前向き 2011.10.15 21:28
自民党の谷垣禎一総裁は15日のテレビ東京番組で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について「全然協議をしないということでいいのか。協議をしながら日本の国益にかなうかを判断しなければいけない」と述べ、米豪など9カ国が進める交渉には参加すべきだとの考えを示した。
ただ、TPP自体への参加は「まだ情報が少なく、もう少し議論しなければいけない。拙速に判断してはいけない」と述べた。
党内では今後、新設された外交・経済連携調査会(高村正彦会長)で交渉参加の是非について議論を始めるが、反対論も根強く谷垣氏の発言は波紋を呼ぶ可能性もある。
公明党の斉藤鉄夫幹事長代行も同日のTBS番組で、「大きな流れとしては日本が生き残っていく上で、そういう方向性(で進めるべきだ)との認識はある」と述べた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111015/plc11101521290009-n1.htm
この記事へのコメント
クマのプータロー
日比野さんが仰るように、メディアに取り上げられる事でメディアに潰されてしまうのは皮肉と言うよりはこれまでの「慣例」のような気がしてなりません。逆に言えば、情報格差是正のデモは報道すればメディアが返り血を浴び、しなければ規模が拡大していくという八方ふさがりの状況なのかもしれません。
メディアの自浄作用は、電波媒体・印刷媒体以外に情報を得る手段が出来た事を既存メディアがいつ認識するのかに懸かっているのではないでしょうか。
ちび・むぎ・みみ・はな
情報格差デモは所得格差デモを高所得者がやる
様なもの. ということは, 情報の「格差」が問題
ではなく, デマゴーグが問題ということだ.
メディアのデマゴーグが新しい問題かと言うと,
どうもそうではなく, GHQ占領政策に始まる
のではないかと思う. 何せ, 民主主義の国が
祖国を落しめる「嘘」を報道しても良いと言った
のだから, メディアとしては日本を落しめること,
或は内向きなことは安心して書ける.
安保改正問題のときもそうであったらしい.
「らしい」と言うのは, 自分が判断できる年齢で
あったにも関わらず, 改正安保条約詳細の報道が
なかったことに気付かず, ベテランのジャーナリスト
が書いた論評で始めて気が付いたため. だから,
民主党支持の中核である全学連世代はメディアの
デマゴーグにいとも容易く乗る人達と,
私も掠っているので, 言える.
今後の日本で問題になるデマゴーグは原子力発電
に関わる様々なことだろう. 例えばトリウム発電が
何らかの某略で抑制されているような言い方を
する人が多いが, 私には単に技術的な問題の