野田政権を密室に逃げ込ませるな

  
「財務省の政務三役はみんな官僚の書いた作文を読む。シナリオがあって最初から最後まで全部読む」
片山前総務相 於:10/2 フジテレビ「新報道2001」

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10月3日、野田首相は、埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎「朝霞住宅」の建設現場を約15分間視察した後、同住宅の建設を凍結する考えを表明した。

これは、先日の予算委員会などで、「復興予算や復興住宅にお金が要るときに、宿舎建設を続けるのか」と批判を受けていたことや、復興増税を掲げる中、建設続行は世論の反発を招くと判断したと見られている。

視察後、野田首相は、建設を5年間凍結することを指示。更に、安住財務相は4日の閣議後の記者会見で、近く設置する公務員宿舎削減の検討会で、11月末までに宿舎全体の見直しの結論を出し、場合によっては、建設中止もあり得るとの認識を示している。

元々、公務員宿舎については、 2009年11月の仕分け第1弾で、全国25か所、約7700戸が凍結され、総額4200億円の節約をしたことになっていた。

ところが、財務省は2010年末の有識者会議で、凍結解除の方針を決めて、当時、財務大臣であった野田氏に働きかけて、建設再開の関連予算をつけさせた。そして、今年の7月末に、政府の復興対策本部が国有財産を売却して復興財源にあてる方針に対して、古い官舎の跡地を売却するためには、新しい宿舎が必要という理由で、今年の9月から工事を再開していた事情がある。

工事再開については、9月22日、藤田幸久財務副大臣が会見で、「建設費用は105億円、同時に廃止する公務員宿舎の跡地売却で114億─128億円の税外収入が見込まれ、差額の10億─20億円を復興財源に回す」と説明していた。

ならば、建設を凍結すれば、建設費用がまるまる浮くかというと、そんなに世の中甘くない。



なぜなら、朝霞宿舎については、9月1日に工事が着工していて、建設業者が、そのための資材調達や人員の雇用をしているから、たとえ凍結であっても、一定の賠償責任が発生するから。その額は、最大40億円規模になるという。

もうこの時点で、復興財源に回すつもりの10億だか、20億だかは吹っ飛んで、逆にマイナスになっている。仮に5年後に建設再開したとしても、このマイナスは消えるわけじゃない。結果的に復興財源に回す金を減らすことになる。八ッ場ダムと同じケース。

それに、100歩譲って、凍結止む無しの判断が仕方なかったのだとしても、朝霞宿舎の視察など、今の首相がやる仕事じゃない。

それよりは、沖縄訪問して、普天間問題に取り組む方がまだ分かる。これでは単なる国民ウケのためのパフォーマンスにしか見えない。

日本の首相として、やるべきもっと大事なことがある筈なのに、そこから逃げて、より優先順位の低いものからやろうとしているように見えて仕方がない。

今回の復興財源にしても、野田首相も安住財務相も最初から"増税ありき"の頭でいて、国会で野党からいくら、今増税しなくても、いろいろ方法はある、と指摘されても、「次世代にツケを残さないため」の一点張り。

片山前総務相がテレビで暴露したように、野田政権、特に、財務省の政務三役が官僚の書いた作文を、最初から最後まで全部読むのであれば、傀儡政権ならぬ傀儡大臣も同じ。

そこまでしなければ、官僚が協力しないというのであれば、それは政治家としての力量の不足以外の何物でもないのだから、潔く職を辞して官僚をきちんと使いこなせる人に代わってしかるべき。

よしんば、首相や大臣が、官僚のいうことと同意見なのであれば、"作文"など読まずに、きちんと自分の言葉で述べ、しっかりと国会で議論すべきであって、3党協議をしてくれとしかいわないのは筋が違う。



片山前総務相は、「政治が役人に小突き回されている印象を受ける」と指摘しているけれど、これが本当であれば、政府・官邸が、役人の気を引くために、若しくは、役人の協力を得んがために、財務省の軍門に下っていることになる。

なぜ、そんな情けないことになってしまうのか。そんなことをしてまで、政権を維持し、自らの保身を図ったところで、せいぜいあと2年かそこらしか伸ばすことはできない。途中解散しなくても、2年後には嫌でも総選挙が待っている。

たった2年間の保身のために、その後何十年も国民を苦しめるのなら、彼らは国民の代表ではない。

野田政権発足から、まだ1ヶ月しか経っていない段階で、こんなことをいうのは、多少躊躇うところもあるのだけれど、筆者がみる限り、野田政権は、国会での議論はその場しのぎでもなんでも、適当にやり過ごしておいて、肝心なところは国会外の3党協議ですべて片づけてしまおうという下心というか、密室政治をしたがる傾向があるように感じている。

3次補正については、民主、自民、公明3党による、幹事長会談を10月6日に開く方向でいるようだけれど、民主党は、更に、ほかの与野党にも全党による幹事長・書記局長会談を呼び掛けて、3次補正の早期成立をしようとしていると報道されている。

だけど、全党による幹事長・書記局長会談で3次補正の中身が決まってしまったら、それこそ、この全党幹事長・書記局長会談が、「裏密室国会」となってしまって、何でもかんでも、そこで決まってしまうことなる。これでは国会の意味がなくなる。

震災復興といえば、何でもかんでも許されると思ったら大間違い。野田政権を密室政治に逃げ込ませてはいけない。




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画像「財務省三役は官僚作文棒読み」 片山前総務相が暴露 2011.10.2 21:04

 「財務省の政務三役はみんな官僚の書いた作文を読む。シナリオがあって最初から最後まで全部読む」

 片山善博前総務相は2日、フジテレビ番組「新報道2001」で、野田佳彦首相の「財務省依存」の実態を“暴露”した。

 片山氏は政府税制調査会の審議中、当時財務相だった野田氏らに対し「もう(官僚の作文を)読むのをやめましょう。これだけ政治家が集まっているから議論しましょう」と呼びかけたものの、改善されなかったという。

 官僚出身の片山氏だが「政治が役人に小突き回されている印象を受ける」と首相に苦言を呈した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111002/plc11100221080006-n1.htm



画像朝霞住宅の建設凍結、首相が事実上の表明 読売新聞 10月3日(月)10時54分配信

 野田首相は3日午前、埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎「朝霞住宅」の建設現場を約15分間視察した後、記者団に同住宅の建設を凍結する考えを事実上表明した。

 首相は記者団に「東日本大震災復興などの財源確保をしようという中で、いろいろな批判もあり、進捗(しんちょく)状況を見たいと思った。自分の中では腹を固めたつもりなので、戻ったら財務相を呼んで指示したい」と述べた。復興のための臨時増税で国民に負担を求める中、建設について、野党だけでなく与党内からも批判が出るなどし、世論の理解を得にくいと判断したとみられる。

 同住宅は13階建て2棟850戸で、建設費は105億円。2009年11月の「事業仕分け」で建設が凍結されたが、首相が財務相時代の昨年末に建設を認め、9月1日に着工した。 最終更新:10月3日(月)11時31分

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111003-00000362-yom-pol



画像朝霞宿舎、建設中止「あり得る」=年末にも政治決断―安住財務相 時事通信 10月4日(火)9時52分配信

 安住淳財務相は4日の閣議後記者会見で、公務員朝霞宿舎(埼玉県朝霞市)の建設凍結問題に関し、近く設置する公務員宿舎削減の検討会で建設中止を判断することも「あり得る」との認識を示した。財務相が中止の可能性に言及したのは初めて。検討会は11月末までに宿舎全体の見直しについて結論を出す予定で、財務相は「12月以降、政治決断したい」と表明した。
 朝霞宿舎については野田佳彦首相が3日、財務相に5年間の凍結を指示した。藤村修官房長官も4日の会見で「あらゆる可能性がある」と述べ、検討会の議論で計画を白紙に戻すと判断することも排除しない考えを示した。 

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111004-00000032-jij-pol



画像損害賠償、最大40億円=建設中止なら-朝霞宿舎

 野田佳彦首相が凍結を指示した埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎の建設事業(建設費105億円)を中止した場合、政府が関係業者に支払う損害賠償金が最大40億円規模に上る見通しであることが3日、分かった。政府関係者が明らかにした。朝霞宿舎は9月1日に着工。業者は既に資材調達や人員の雇用を進めており、中止でなく凍結でも一定の賠償責任が発生する見込み。政府は今後、業者側と折衝を進める。
 朝霞宿舎の建設凍結は、東日本大震災の復興財源を賄うための臨時増税として新たな国民負担を求める中、公務員を優遇するのかとの批判が高まったためだ。政府は、同宿舎の整備に併せて埼玉県と東京都の12カ所で計画した宿舎廃止の方針を今後も維持する考えで、宿舎廃止・売却により114億~128億円を捻出できる見通し。(2011/10/03-21:02)

URL:http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011100300747



画像11年度第3次補正予算案:民自公幹事長会談、6日にも 自民の党人事待ち

 民主、自民、公明3党は3日、11年度第3次補正予算案の編成に関する幹事長会談を6日にも開く方向で調整に入った。民主党の輿石東幹事長が3日、平野博文国対委員長を通じて自民、公明両党に4日の開催を呼び掛けたが、自民党が「新しい執行部人事の決まる5日まで応じられない」と回答したため、6日以降にずれ込むことになった。

 民主党は3党協議を進める一方、ほかの与野党にも全党による幹事長・書記局長会談を呼び掛け、3次補正の早期成立へ向けた与野党協調の機運をつくりたい考え。公明党の山口那津男代表は3日夜、BSフジの番組で「被災地の望む復興をやるのは優先度の高い課題だ」と述べ、3党協議に応じる考えを改めて示した。

 自民党内には協調路線への抵抗も強いが、公明党の積極姿勢を受け自民党執行部も3党協議の拒否は難しいと判断。石原伸晃幹事長は3日夜、東京都内の会合で「5日中に人事を決め、新体制で民主党の皆さん方にお会いしたい」と表明した。

 ただ、自民党は3次補正の細部まで3党協議で決めることには否定的で、谷垣禎一総裁は2日のNHKの番組で「協力は惜しまないが、国会提出前に3党で全部決めるなら国会の議論が形骸化する」と協議の対象を大まかな方向性に限定する意向を示した。これに対し輿石氏は3日の会見で「形骸化とは一概に言えない。協議に入ってほしい」と呼びかけた。【横田愛、吉永康朗】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111004ddm002010118000c.html

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    嘘付党にとっては後二年と言うのが重要なのに違いない.
    彼らにとっては日本の将来や経済はどうでも良い.
    やりたいのは国の枠を消すことだろう. 彼らの頭は
    始めからそれで固まっている.

    > 野田政権を密室政治に逃げ込ませてはいけない。

    これは自民党に言わなければならない.
    しかし, 自民党の誰がこれを理解しているのだろうか?
    日本の様に国への信頼の高い国ではネットによる国民運動
    には限界がある. 政党が動かなければならない.

    日比野庵殿も自民党の問題点に正面から切り込まねば
    ならない状況になっているのではないか.

    扉を開けると何が出てくるか?
    2015年08月10日 15:26

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