TPP交渉と御要望のお伺い

 
11月16日、参院予算委員会で野田首相は、TPP交渉参加時点では、ネガティブリストを作成・提出しない考えを明らかにした。

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予算委員会で、社民党の吉田忠智議員が、ネガティブリストに、コメ・砂糖の関税や国民皆保険を守るなど、明記すべきと思うがどうかと質問したのだけれど、これに対して野田首相は「ネガティブリストを持って交渉するというやり方が、本当に交渉になるかどうかというと、心の中に守るべきもの、そういうものをしっかりやっていくことは当然でありますけれども、リストを持って、これじゃあ入らないというのは、これは交渉ではないと、わたしは思います。」と、ネガティブリストは予め作らないとした。

ネガティブリストとは、原則として規制がない中で、例外として禁止するものを列挙した表のことで、ネガティブリストに載っていない品目は自由化対象となるから、仮に、日本がTPP参加において、守るべきもの、勝ち取るべきものというのがある場合は、ここに載せておかなくちゃいけない。

その意味では、参院予算会議での吉田議員の質問は、守るべきものは、ちゃんと書いておくべきだ、という至極当たり前の内容。

ところが、野田首相は交渉参加時点では、ネガティブリストは作らないという。

国家間で交渉が行われるのは、基本的に互いの利害が対立する中で、対話や取引を通じて、双方の妥協点を見出すために行われるもの。したがって、交渉が妥結するということは、たとえ何某かの妥協をしたとしても、双方譲れる範囲内で納得の上での結論になっているのが普通。どうしても折り合いがつかなければ、交渉は決裂するだけ。

だから、野田首相のいうように、ネガティブリストなしで交渉に臨むなんてことは、相手のご要望を"お伺い"するというべきで、交渉ではない。

まぁ、玄葉外相は、交渉に正式に入ってから、関係国にネガティブリストを提示したい考えを示しているから、或いは、参加事前交渉の段階では、ネガティブリストなしで、相手国のご要望を一通り"お伺い"して、その上で対策を練って、正式交渉が始まってからネガティブリストをどんと出すのかもしれない。

ただ、先日、TPP参加9ヶ国で大枠合意して、来年中に交渉妥結を目指している中で、こんなやり方が通用するのかどうかは分からない。

民主党のTPPに関するプロジェクトチームは、TPP交渉にあたっての提言を纏めているけれど、その中の論点整理で、コメに関しては、TPP推進派も慎重派もどちらも「コメはまもるべき」という意見があがっていたから、現時点で、コメのネガティブリスト入りはほぼ確実なのではないかと思うのだけれど、なぜ今から入れることができないのか。少なくともコメについては、ネガティブリストに入れていっても何処も反対するところはないと思われる。

同じ予算委員会で、野田首相は、公明党の山本議員から、TPPへの参加を争点に、解散総選挙に踏み切る覚悟があるかを質したところ、「国難とも言うべき、いろんな課題を抱えているときに、民意を問うという視点は大事ではありますけど、民意をしっかりふまえた十分な議論をしながら、与野党の合意形成をしていくことが、まずは大事だというふうに思います」と、これを否定した。

だけど、民意を踏まえた十分な議論をするのであれば、もっと情報を開示して、TPPの内容を国民に分かりやすく説明すると同時に、民意を吸い上げる努力をちゃんとしなくちゃいけない。

TPPに参加する意義についても、「高いレベルでの経済連携」なんて言葉でいくら説明されたところで、具体的に何がどうなるのかちっとも分からない。

先の民主党のTPPに関するプロジェクトチームの提言には、「政府は懸念事項に対する事実確認と国民への十分な情報提供を行い、同時に幅広い国民的議論を行うことが必要である。」と書かれているし、つい先日の世論調査でもTPPの説明不足と感じている人が8割にも達していることを考えれば、それは明白。

善処を求む。




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この記事へのコメント

  • クマのプータロー

    TPPの問題はつくづく「国内問題」なのだと痛感します。国内が割れている中で外交交渉をするのはどれだけ危険な事か、そこが現政権には理解できないのが大変な事だと思います。
    2015年08月10日 15:26
  • くっくりの無職の旦那の身内東条

    和歌山東署は16日、 和歌山市北新の暴力団
    六代目山口組四代目山健組五代目健竜会志成会組長、 奥村成克容疑者 (47) を
    道交法違反 (飲酒・無免許運転) の容疑で逮捕した。

    同署によると、 奥村容疑者は2日午前1時17分ごろ、 同市鈴丸丁の路上で無免許かつ
    酒を飲んだ状態で原付を運転した疑い。
    署員がヘルメットをしないで原付を運転していた奥村容疑者に停止を求めると、逃走しようとして転倒。
    市内の病院に運ばれた際、 容疑が分かった。
    奥村容疑者は平成18年に飲酒運転で免許取り消しになっていた。 無免許運転については認めているが
    「酒は転倒した後に飲んだ」 と容疑を一部否認しているという。
    2015年08月10日 15:26

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