耐性マイコプラズマ菌

  
11月6日から入院されている今上陛下のご病状について、宮内庁の金沢一郎皇室医務主管と東大病院の門脇孝院長が15日、公表した。

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陛下は、咳の症状の他、時折39度近くになる発熱があるといい、最適な治療法を見つけるため、病院では複数の抗生物質が使われている。

ただ、今年は、抗生物質が効かない肺炎が大流行しているそうだ。

例えば、11月1日に、皇室の愛子様が掛かった「マイコプラズマ肺炎」がそうで、今年の流行は、過去10年で最大だという。

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)を病原体とする呼吸器感染症で、飛沫感染による経気道感染や、接触感染によって伝播すると言われている。

潜伏期間は2~3週間と長く、初期症状は発熱、全身倦怠、頭痛などで、特徴的な症状である咳は、初期症状後3~5日より始まることが多く、熱が下がっても3~4週間くらい続くとされる。

肺炎マイコプラズマは、直径125~153nmと、ウィルス程度の大きさなのだけれど、ウィルスと異なり増殖に生きた細胞を必要とせず、一部の抗生物質が有効なことから、一応、細菌に分類されるのだけれど、細菌の特徴である細胞壁を持っていない変わり種。

細菌などによる感染症で使用される抗生物質には、大きく分けて次の3つがある。
1)細菌の細胞壁を壊して殺す
2)細菌を分裂させないようにする
3)細胞膜の機能を阻害する

1)については、ペニシリンなどに代表される一般的に広く使われる抗生剤なのだけれど、これは、細菌の一番外側にある細胞壁を破壊し、細菌を殺す。細胞壁は人体の細胞には存在しないので、細菌だけを選択的にやっつけることができる。つまり副作用が少ない。

2)については、細菌の生存や分裂に必要なタンパク質を作らせないようにしたり、細菌のDNA合成を阻害したりして、細菌がそれ以上分裂できなくすることで、殺菌する。

3)は細胞膜の透過性を阻害するもので、細菌や動物が持つ細胞膜によって、細胞に必要な物質を細胞の外側から取り入れたり、外側に出したりする機能を阻害することで細菌を殺す。

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肺炎マイコプラズマは、細菌でありながら、細胞壁を持たないので、1)の細胞壁を壊すタイプの抗生剤が効かない。そこで、マイコプラズマ肺炎と診断した場合には2)のタイプの抗生剤を使うのだけれど、2)のタイプの抗生剤には、細胞分裂に必要なタンパク質を作らせないタイプと細菌のDNAを作らせないタイプとの2種類がある。

通常は、「マクロライド系」と呼ばれる前者のタイプの抗生剤が使われていたのだけれど、今年流行しているのは、このマクロライド系の抗生剤に耐性を持つタイプのものが非常に多いようだ

国立感染症研究所や北里大学北里生命科学研究所、慶應義塾大学感染制御センターなどのグループの調査では、マクロライド系抗生剤に耐性を持つマイコプラズマは、2003年時点では全体の5%ほどだったのだけれど、2006年の流行期には30.6%、そして今年はなんと89.5%にも達しているという。

また、今年東京や広島など5つの病院の患者から検出されたマイコプラズマを調べたところ、86%が「マクロライド系」の抗生物質が効かなかったという報告もある。

今のところは、後者のDNAを作らせないタイプの抗生剤(ニューキノロン系)が有効だそうなのだけれど、初期の段階でマイコプラズマと診断するのは難しいらしく、対症療法での治療が主になるようだ。

ともあれ、今上陛下の一刻も早い御快癒をお祈りする。

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画像陛下、39度近い発熱…宮内庁がご病状を説明 2011.11.15

 気管支炎のため、東京大学医学部付属病院(東京都文京区)に6日から入院されている天皇陛下について、宮内庁の金沢一郎皇室医務主管と東大病院の門脇孝院長が15日、病状を公表した。せきの症状のほか、最高で39度近くになる発熱が時折みられており、抗生物質の投与を受けられているとした。

 陛下のご入院後、医療関係者が詳しい病状を明らかにしたのは初めて。金沢氏は「退院しても、今月いっぱいは御所で静養いただくようお願いしている」と説明している。今月23日には、宮中祭祀の中で「最も重要」(宮内庁)とされる新嘗(にいなめ)祭が予定されている。

 陛下は6日夜、気管支炎による発熱とせきの症状でご入院。退院を予定していた11日朝に37度台の発熱とせきの症状がみられたため、退院を延期された。最適な治療法を見つけるため、病院では複数の抗生物質が使われているという。

URL:http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20111115/dms1111151956015-n1.htm



画像皇室:愛子さまはマイコプラズマ肺炎か

 宮内庁の小町恭士・東宮大夫は4日の定例会見で、東大医学部付属病院(東京都文京区)に入院中の愛子さま(9)の症状について、「マイコプラズマ肺炎の可能性が高い」と発表した。退院の時期は今後の検査結果で決めるという。

 この肺炎は小学生ぐらいの児童に多く、発熱やせきが続くと言われるが、小町東宮大夫によると、愛子さまは熱、せきともに治まってきているという。愛子さまは1日に入院。雅子さまも付き添って同じ病室に寝泊まりしている。皇太子さまは4日も午後5時前に同病院を訪れて愛子さまを見舞った。

URL:http://mainichi.jp/select/wadai/koushitsu/news/20111105k0000m040020000c.html



画像抗生物質効かない肺炎が流行 11月16日 6時11分

マイコプラズマという細菌による肺炎が、ことし、子どもを中心に流行していますが、これまで効くとされていた薬が効かない「耐性菌」が多いことが分かり、専門家は、症状が長引いて重症化するおそれがあるとして、注意を呼びかけています。

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという細菌が原因で起こる肺炎で、発熱や全身がだるくなるなどの症状が出るとともに、せきが長く続くのが特徴です。国立感染症研究所によりますと、ことしは、全国の450余りの医療機関から報告される患者数が、今月6日までの累計で、1万1919人と、この時期としては過去10年間で最も多くなっています。年齢別では、▽0歳から4歳が37%、▽5歳から9歳が30%、▽10歳から14歳が15%で、0歳から14歳までの子どもが全体の80%以上を占めています。マイコプラズマは、これまで、「マクロライド系」の抗生物質が効くとされ、医療現場で最初に選ぶ薬として使われてきました。しかし、北里大学北里生命科学研究所が、ことし、東京や広島など5つの病院の患者から検出されたマイコプラズマを調べたところ、86%が「マクロライド系」の抗生物質が効かなかったということです。調査した北里大学北里生命科学研究所の生方公子特任教授は、「マイコプラズマの耐性菌は、ことし急速に広がっている。症状が長引いて重症化するおそれがあるため、医師は、従来使っていた抗生物質が効かなくなっているということに注意して、診療に当たってほしい」と話しています。

URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111116/t10013989031000.html

この記事へのコメント

  • 福島県は16日夜、福島市大波地区で生産されたコメから
    国の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)を超える
    放射性セシウムが検出されたと発表した。

     同県産のコメが規制値を上回ったのは、10月12日の佐藤雄平知事による
    県産米の安全宣言以来初めて。県は同地区の稲作農家全戸について
    調査を実施する方針で、コメを出荷しないよう要請した。
    政府は、同地区で生産された米の出荷停止を検討している。

     県によると、11月14日に同地区で生産されたコシヒカリを
    JA新ふくしま(福島市)が簡易検査をしたところ規制値を上回ったため、
    15日に県が検査した結果、玄米から1キロ・グラムあたり
    630ベクレルが検出された。出荷されてはいないという。

     同地区の稲作農家は154戸で、水稲作付面積は42ヘクタール、
    生産量は約192トン。86戸については聞き取り調査を終えており、
    4戸が地元米穀店などに出荷していることがわかった。
    県が流通状況を調べている。

     同地区では比較的高い放射線量が測定され、
    政府が特定避難勧奨地点の指定を検討し、
    10月、当面、指定し
    2015年08月10日 15:26
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    陛下の御平癒をお祈りする.

    悪性菌が国会にとりつき, 自民党では全く改善しない
    状況では, 陛下が心の頼み. 自民党総裁が正味期限を
    過ぎていると思う.
    2015年08月10日 15:26
  • かめを愛する者

    天皇陛下もお年なので、この際退位されて京都で余生をのんびり過ごされてはいかがでしょうか。われわれ京都市民は大歓迎しますよ。
    2015年08月10日 15:26

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