二枚舌外交

 
TPPに関する政府の方針がどうにも見えづらい。

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11月15日の参院予算委員会で、野田首相はTPP交渉参加に関して、「何が何でも、国益を損ねてまで参加することはない」事前協議の結果によっては参加しない可能性もあるとの認識を示した。

まぁ、何を持って国益とするのかが定義されていないから、どうなったら参加しないのかについては、なんとも言えないのだけれど、答弁で、コメの関税を除外品目にするかどうかについて、「譲れないものは譲れないという中で判断していく」といい、また公的医療保険制度についても「根本から変えることがあった場合は拒否する」と話していることから推測すれば、少なくとも、コメの関税と公的保険制度については、それを維持するは国益だと考えていると思われる。

ところが、先の日米首脳会談で、野田首相は、TPP交渉参加に関して、「すべての物品とサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる」と発言したと、アメリカ政府が発表している。

これに対して、日本の外務省は「首相がそのような発言を行った事実はない」と否定するコメントを出し、アメリカも会談ではそのような発言はなかったと認めたものの、アメリカ政府は発表内容については、「両首脳が非公開で行った発言と、野田首相と日本政府による公式見解に基づくものだ」と説明し、発表を訂正するつもりはない、としている。

これについて、野田首相は、発表の訂正は求めないという。

だけど、訂正しないということは、それを認めているという意味にしかならないから、対外的には、日本は「すべての物品とサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる」方針であるということになるし、そもそも、TPPの主旨からいけば、そちらのほうが自然。

要するに、日本は、全面自由化についてイエスかノーかの2択を迫られているのが現状であって、護るべきものだとか、譲れないものだというような条件闘争が出来る立場にはないのだけれど、野田首相はそれを言わずに逃げ続けている。

ただ、こうした逃げだっていつまでも続けられるものじゃない。

たとえば、TPPへの参加交渉の事前協議で、アメリカは、アメリカ産牛肉の輸入規制撤廃や自動車市場の規制の改善、日本郵政の優遇措置見直しを重点3分野として話し合う意向を示しているし、それ以外にも取り上げられる可能性が十分にある。

何より対外的に「すべての物品とサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる」ことを認めている以上、それを押しとどめるものは何もない。だから、コメや保険も議題になると見ておくべきだろう。

今は国内に対して、あいまいな言葉で誤魔化せるかもしれないけれど、事前協議が進み、時間が経つにつれ、交渉の中身がどんどん明らかになるだろうから、あいまいにして誤魔化せる部分はどんどん狭まっていく。

だから、遅かれ早かれ、イエスかノーかの選択の時がくる。それはそう遠い話じゃない。




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画像「国益損ねて参加せず」=TPP交渉で首相―首脳会談、米側発表を否定・参院予算委 時事通信 11月15日(火)9時43分配信

 野田佳彦首相は15日午前の参院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を表明したことに関し、関係国との事前協議の結果によっては参加しない可能性もあるとの認識を示した。自民党の山本一太氏が「交渉に参加しない選択肢もあるのか」と質問したのに対し、首相は「何が何でも、国益を損ねてまで参加することはない。百パーセント、とにもかくにも(参加)ということではない」と述べた。
 鹿野道彦農林水産相も、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や日米首脳会談での首相のTPP交渉をめぐる発言について「私は交渉参加を前提とするものではないと理解している」と述べた。
 首相はまた、自身が日米首脳会談で「全ての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と発言したとする米側発表について、「一言も言っていない」と否定。発言がなかったことを米政府も認めていると指摘した上で、発表の訂正は求めない考えを示した。 

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111115-00000026-jij-pol


画像発表訂正せずと米政府 野田首相のTPP発言「すべてを交渉のテーブルに乗せる」 産経新聞 11月15日(火)9時52分配信

 【ワシントン=柿内公輔】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への日本の交渉参加表明をめぐり、日米首脳会談での野田佳彦首相の一部発言に関するホワイトハウスの発表内容を日本側が否定していることについて、アーネスト米大統領副報道官は14日、発表を訂正するつもりはないことを明らかにした。

 12日の日米首脳会談後、ホワイトハウスは「全ての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せるとの野田首相の発言を、大統領は歓迎する」との報道文を発表。これに対して日本の外務省は「首相がそのような発言を行った事実はない」と否定するコメントを出した。

 しかし、アーネスト氏は記者会見で、「発表は、両首脳が非公開で行った発言と、(これまでの)野田首相と日本政府による公式見解に基づくものだ」と説明した。

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111115-00000511-san-int

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    新聞は「ノー」と言わせないために既成事実の
    でっちあげに大童. 世界と協調しなければ
    やっていけないと言うのが脅し文句.

    ただ, WTOがあるからブロック経済は実施不可能.
    結局, 今迄通りの商売をする. 何の問題もない.
    2015年08月10日 15:26
  • くっくり

    野田佳彦首相が12月12、13両日に中国・北京を初訪問する方向で
    調整を続けているが、13日は旧日本軍の南京占領74年に当たる。中国では南京大虐殺
    (1937年)をめぐる行事が予定され、首相の発言に注目が集まるのは必至だ。

     日中両国の国民感情が沸騰しやすい話題だけに、野田氏が不適切な発言をしたり対応を
    誤ったりすれば、政権運営に深い傷を負う恐れもある。

     「野田氏が何か発言してくれないと国民の対日感情をかえって悪化させてしまう。
    日本側と発言の事前調整をしっかり行う必要がある」。中国外交筋はこう指摘し、強い
    警戒感を示した。

    ソース:http://www.47news.jp/CN/201111/CN2011111601000730.html

    今こそ、たちあがれ日本党首の平沼が無意識に閣議決定署名した村山談話の勝利を願おうではないか。
    2015年08月10日 15:26

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