民主党の良心とショックドクトリン

 
「代表選の演説が若い人の心を掴んだという人もいるが、ああいうのは一国のリーダーがスピーチに盛り込むべきものではない。この政権は早ければ年内までに行き詰まる。遅くても来春までにはどうにもならなくなる」
故西岡参院議長 於:政治解説者の篠原文也氏との電話のやり取りにて

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1.民主党の最後の良心

口内にできた帯状疱疹の影響で、療養を続けていた参院議長の西岡武夫氏が11月5日午前2時24分、肺炎のため東京都港区の虎の門病院で死去した。

西岡氏は、1936年長崎市に生まれ。早稲田大学在学中に、父・竹次郎氏が創刊した長崎民友新聞の経営に携わり、卒業後に長崎日日新聞社と合併させ、長崎新聞社を発足。論説委員などを務めた。

1963年の衆院選挙では、無所属で出馬し初当選、自民党の追加公認を受けた。1976年には、田中角栄元首相のロッキード事件を批判して、河野洋平氏らと新自由クラブを結党し、幹事長に就任。1980年に自民党に復党し、竹下内閣で文部大臣として初入閣した。

1993年には、「政治改革」を実現するため自民党を再び離党し、小沢氏らとともに新進党結党に参画。自由党を経て、2003年に民主党合流に参加した。自由党時代には、民主党との合併に慎重論を唱えて小沢氏を困惑させるなど、小沢氏も一目置く存在で、政策・政局課題などでは、しばしば相談相手になっていて、小沢氏に直言できる数少ない政治家の一人だったという。

2010年7月に参院議長就任した後、史上初めて議長による記者会見を定例化させた、現役最古参の国会議員だった。

菅政権時は、菅首相の政権運営を批判し退陣を求めるなど、歯に衣着せぬ発言が論議を呼び、ネットなど一部では、"民主党の良心"とまで言われていた。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

西岡氏は、10月27日の産経新聞に「決断」と称するコラムを寄稿しているけれど、そこでは、日本が抱える政治的問題を明確に示し、野田政権に対して、歯に衣着せぬ厳しい言葉を残している。

西岡氏の指摘は、次の3点に集約される。
・今、税の問題で論ずべきは、年金給付の財源をいかに確保するか。年金基金に余裕を持たせるための手当てをどこまでできるのか。このことのみに尽きる。

・東日本大震災による甚大な被害、福島第1原発事故を沈静化させるための途方もない資金は、税の問題とは別であり、かなりの財政支出を伴う大掛かりな対応をする義務と責任が国際的にもある。私は、建設国債・特例債による大胆な財政出動が必要だと考える。

・国難にあたって、何をすべきかを時の首相は自ら決定する責任がある。首相の孤独な決断を民間の有識者に責任分担させるべきではない。私は先の国家戦略会議の閣議決定の取り消しを求める。責任の分散化は許されない。

と、野田政権が震災対応を口実に増税することを厳しく批判し、国家戦略会議を取り上げ、首相の責任を分散化すべきでないと戒めている。




2.ショック・ドクトリン

筆者は、この震災に便乗して、通常は有り得ない増税をしようとする、野田政権のやり方は一種の「ショック・ドクトリン」ではないかと疑っている。

「ショック・ドクトリン」とは、徹底した自由市場主義を主張したシカゴ学派の経済学者ミルトン・フリードマンが「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べたことに対して、カナダ人の女性評論家のナオミ・クラインが、「大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」だと批判した際に名付けたもの。

クラインによると、この「ショック・ドクトリン」、すなわち、大災害や戦争、権力者たちによって仕組まれたテロ事件などによって、民衆、一般大衆を、恐怖に陥れ、ショックとパニックで、正常な判断力を、国民から奪い取ることで、権力者たちのいいように、非常事態を宣言して、国家を非合法的に支配し操る手法は、これまでも数多く使われてきたという。

クラインは、その例として、1973年の軍事クーデターで独裁体制を打ち立てたチリのピノチェト政権の時代に、「小さな政府」主義が金科玉条となり、公共部門の民営化、福祉・医療・教育などの社会的支出の削減が断行されて、多くの国民が窮地に追い込まれた事例や、2003年に始まったイラク戦争のあと、連合軍暫定当局(CPA)のブレマー代表が。意図的に無政府状態と恐怖の蔓延を煽り、その混乱のなかで、治安維持やテロ対策にまで民間企業が入り込んだことなどを挙げる。

確かに、東日本大震災と原発事故は、国民を恐怖に陥れ、正常な判断力を奪い取るには十分な"ショック"だと思われる。だから、このショックにかこつけて、復興増税をするなんてのも「ショック・ドクトリン」の一種とみていいように思う。

ショックドクトリンは、人々のショックが大きく、冷静な判断が出来ない段階、すなわち、震災なら震災直後の間もないうちに、どさくさに紛れてさっと変えてしまうのが一番都合がいい。時間が経てば経つほど、国民は頭を冷やして、冷静な判断をするようになる。

事実、震災から約一か月後の4月17日に毎日新聞行なった全国世論調査では、復興財源の確保に向けて、増税することについては「賛成」が58%、「反対」は33%だったのだけれど、今月6日の同じく毎日新聞の世論調査では、増税に「賛成」が52%、「反対」が45%と差が縮まっている。

これも、震災から半年以上たって、国民の判断力が徐々に戻りつつ証左であると思う。

ところが、野田首相は、11月7日の衆院本会議で、2012年の通常国会で、消費税増税法案を通し、その後、増税実施までの間に、衆議院の解散・総選挙を行うと答弁した。

そして、それを裏打ちするかのように、11月4日、藤村官房長官は閣議後会見で、来年度予算案で、基礎年金の国庫負担分は、将来の消費増税分を財源に当て込んだ編成になると述べている。まるで、もう増税は既定路線だと言わんばかり。

だけど、来年の通常国会で、消費税増税法案が成立しなければ、たちまち政権は行き詰まる。そのとき野田首相は西岡氏の"遺言"の意味を噛み締めることになる。




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画像参院議長・西岡武夫 今こそ必要な首相の覚悟 2011.10.27 02:51

 いま、私の目の前には子供たちの顔しか見えない。子供たちのために何ができるのだろう。ただそれだけである。

 私は9月24日付の新聞のような重要なニュースが凝縮された紙面をかつて読んだことがない。ひとつにはアインシュタインの相対性理論を覆す実験結果が示された。光より速い「ニュートリノ」の実験結果公表。これが事実であれば物理学の世界が一変する。一方、欧州経済危機。ギリシャ危機が決定的になりヨーロッパの経済全体に大変な混乱をもたらしている。中東パレスチナの国連加盟申請提出、これも極めて大きな政治的な出来事である。また、大統領選挙に出馬表明したロシアのプーチン首相率いる「統一ロシア」党大会開幕。日本においては野田佳彦首相の国連演説。文化では、かつて小澤征爾(せいじ)氏を輩出した若手指揮者の登竜門であるコンクールでの垣内悠希(ゆうき)氏の優勝。

 これらの出来事が一度に一日の新聞紙面に掲載されることは極めて稀有(けう)であり、すなわち世界全体が大きな変化の動きを見せ始めていることを意味する。

 福島第1原発で起こった出来事は、現政権が考えているような生易しいものでない。政府は、次の世代に負担を残さないなどと称して短期国債の発行を決めたが、大きな経済の流れの中で、そんなことはありようもないことである。

 今、税の問題で論ずべきは、年金給付の財源をいかに確保するか。そして基礎的財政収支をとったとしても、なおそこに残る付加的年金をどう確保するか。さらに年金基金に余裕を持たせるための手当てをどこまでできるのか。これがすべてであって、このことのみに尽きる。

 従って、東日本大震災による甚大な被害、福島第1原発事故を沈静化させるための途方もない資金は全く別の問題であって、同じように論ずべき問題ではない。

 一方で、われわれは日本のこれからの税制全体の体系を、明確にしなければならない時に来ている。私は、まだ日本は、外国からの借り入れを経ずにやっていくことができると考える。ゆえに、特段の年金関係以外の国債の発行を必要とするとは思っていない。

 今後の日本経済のあり方を考えるとき、今回のような大災害とそれに伴う原発の危機に対し、どのように対応するか。かなりの財政支出を伴う大掛かりな対応が当然求められるが、日本としてそれだけの対応をする義務と責任が国際的にもある。私は、建設国債・特例債による大胆な財政出動が必要だと考える。

 国難にあたって、私は、首相の指導力というものがいかに求められ、必要であるかということを今更のように痛感している。わが国はこれから多様な選択肢の中から決断していかなければならない。そのために何をすべきかを時の首相は自ら決定する責任がある。首相の孤独な決断を民間の有識者に責任分担させるべきではない。私は先の国家戦略会議の閣議決定の取り消しを求める。責任の分散化は許されないというのが私の考えである。

 首相のトップリーダーとしての明快な姿勢がある限り、日本の未来はいかなる局面においても閉ざされることはない。(にしおか たけお)

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111027/plc11102702530003-n1.htm



画像消費増税分、来年度予算編成に織り込み 官房長官見通し

 藤村修官房長官は4日の閣議後会見で、来年度予算案では将来の消費増税分を財源に織り込んだ編成になるとの見通しを示した。野党側が求める衆院解散・総選挙の時期に影響を与える可能性もある。

 藤村氏が消費増税分を財源に充てることに言及したのは、2009年度に3分の1から2分の1に引き上げた基礎年金の国庫負担分。年2兆5千億円程度の必要財源は今年度まで3年続けて埋蔵金を充てたが、昨年12月に当時の野田佳彦財務相ら3大臣が「12年度以降は税制の抜本改革を実施したうえ安定財源を確保する」と合意していた。

 藤村氏はこの合意を踏襲する方針を表明。その実現に向けて「年度内に(消費増税の)法案をきちんと出して、成立させるのに全力をあげる」と述べた。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/1104/TKY201111040146.html



画像消費増税法案化へ年内とりまとめに意欲 財務副大臣 

 五十嵐文彦財務副大臣は7日の記者会見で、野田佳彦首相が主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で明言した消費増税について「退路を断って具体化を図らなければならない」と述べた。法案化に向けた議論を年内にとりまとめることに意欲を示した。

 野田首相はG20サミットで「2010年代半ばまでに消費税率を10%まで引き上げる」と説明し、行動計画にも盛り込まれた。五十嵐氏は、サミット中にイタリアが国際通貨基金(IMF)に監視を求めたことに触れ、「イタリアより累積債務(借金)の状況が悪い日本も、きちんと財政運営していかないといけない」と述べ、改めて増税を急ぐ必要性を訴えた。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/1107/TKY201111070523.html

この記事へのコメント

  • 統帥権を持つことで在韓米軍基地を日本に移設しましょ

    在韓米軍内にもギャング構成員…「犯罪活動できるよう意図的に入隊」

    米国の組織暴力団のギャング構成員が在韓米軍をはじめとする在外米軍内で活動していることが
    確認された。

    米連邦捜査局(FBI)国立ギャング情報センター(NGIC)は最近発刊した「2011ギャング脅威評価
    および新しい傾向分析」報告書で構成員が米軍に入っているギャングが53組織に達すると明らかに
    した。

    53組織の中には韓国系組織の「コリアンドラゴンファミリー」も含まれている。

    FBIはギャング構成員が服務を終えたり現在服務中の海外駐屯地として、アフガニスタン、ドイツ、
    イラク、イタリア、日本とともに韓国を挙げた。ギャング構成員は米陸軍と海軍、海兵隊、予備軍、
    州防衛軍など軍組織の要所要所に入ってきていると調査された。

    報告書は、「ギャング生活から抜け出したくて入隊する場合も少なくないが、武器や麻薬密輸など
    犯罪活動をより容易にできるよう領域を拡張するために意図的に米軍に入ってくる場合もある。軍に
    入り込んだギャング構成員は部隊配置と服務地変更などを利用して国内だけでなく国際的にまで
    新し
    2015年08月10日 15:26
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > ショック・ドクトリン

    機会主義者ということですな.
    増税氏も, ルーピー氏もヒトデナシ氏も同じ.

    佐藤首相への反感は権威に逆らうと言う意識
    があったが, ルーピー, ヒトデナシ, 増税各氏
    への反感は単に汚いものを遠ざけたい気持ち.
    増税氏は三番目, 四番目の谷垣氏を議論する
    意味がないのと同様以上に意味がない.
    2015年08月10日 15:26

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