集団離党と「大地・真民主党」

   
今年も残すところあと2日ですね。

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12月28日、野田首相が主導する消費税増税に反発し、民主党衆院議員9人が離党届を提出した。

離党届を出した9人の内、小選挙区選出は内山晃衆院議員(千葉7区)、斎藤恭紀衆院議員(宮城2区)の二人で、それ以外の7人は比例選出。豊田潤多郎(比例近畿)、渡辺浩一郎(比例東京)、石田三示(比例南関東)、小林正枝(比例東海)、中後淳(比例南関東)、三輪信昭(比例東海)、渡辺義彦(比例近畿)の各氏でいずれも当選1~2回の議員。

下図は、民主党の比例選出議員のうち、今年2月に民主党会派離脱した16名(黄色)と今回離党届を出した7人(赤枠)を示したものだけれど、比例選出で離党届を出した7人のうち6人が会派離脱した議員であることが分かる。

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しかも、これら議員は比例名簿でも下位だから、次の衆院選で民主党で出たとしても当選する見込みは低いと思われる。したがって、彼らが離党して、今の民主党方針に反対の意志を示した上で、別の新党なりなんなりで立候補したほうが、まだ当選の可能性が残されている。

一部マスコミでも、次の選挙を考えての離党だという指摘があるし、実際、離党した内山議員は年明けにも新党を結成する方針で、28日の記者会見でも、「小選挙区で全員候補者になってもらうことを考えている」と述べている。

また、既に民主党を除名され、今回の新党結成の柱になると見られていた、松木謙公衆院議員は、同じく28日、新党大地の鈴木宗男代表と会談し、新党「大地・真民主党」への参画を決めている。

当初、集団離党した9人は当初、松木氏との新党を想定していたため、一部に「はしごを外された」との不満が漏れているそうなのだけれど、松木氏は統一会派などを模索していくという。

単なる憶測にしか過ぎないけれど、この松木氏の不可解な動きは、政党助成金目当ての動きではないかと思う。というのは、新党「大地・真民主党」の参加者は、衆院議員が無所属の松木謙公氏、石川知裕氏、新党大地の浅野貴博氏の3名で、参院議員は、28日に民主党に離党届を提出した横峯良郎氏、無所属の平山誠氏の2名で、合わせて5名となり政党要件を満たしている。

既に、新党「大地・真民主党」の代表を務める鈴木宗男元衆院議員は28日新党設立を総務相に届け出ているから、新党「大地・真民主党」にはほぼ確実に政党助成金が下りる。



それに引き替え、民主党に離党届を出した9氏については、民主党執行部は本人の意志が固いことを理由に慰留せず、党としての処分を来年1月24日の常任幹事会で決めるとしているから、それまでは民主党員のまま。だから、この9氏が新党を結成しても政党助成金は下りない。

そこで、松木氏がいわゆる繋ぎとして、「大地・真民主党」に参画して、政党助成金をゲットした後、離党9氏による新党と統一会派を組んで、次期選挙では選挙協力、若しくは合流するかして、資金面をクリアしようとしたのではないか。

今回の集団離党した9人のうち8人は小沢グループに所属していて、残り1人も鳩山グループだから、小沢・鳩山グループとの親和性も高く、協調行動も取りやすい。だけど、小沢氏側近によると、今回の集団離党は小沢氏主導ではなくて、どうしても納得できない若手の受け皿を作るのを手伝っただけの渋々の"黙認"だという。

ただ、それでも、今の民主党執行部に不満を持つ民主党議員達の受け皿を作り得たという意味は軽くない。いよいよ民主党が泥舟と化して沈むときには、この新党が救命ボートになりうるから。

ただ、今後、更に集団離党者が出た場合、新党がどこまで受け皿になれるかどうかという懸念があることはある。身も蓋もない言い方をすれば、選挙資金をどれだけ用立てできる力があるかということ。

集団離党9氏の新党設立は年明けになるから、9名分の政党助成金が貰えるわけじゃない。かといって、一回生、二回生議員ばかりで、比例名簿下位の人が過半を占める新党にそれほど大きなパトロンがつくというのも考えにくい。元々の地盤が弱い上に鞄もない、あるのは、"増税方針に反対して離党した"という看板だけ。だけど、その看板とて、次期総選挙の争点やマスコミの取り上げ具合などでいくらでも変わってしまうから、果たしてどこまで有効なのかは分からない。

それでも9名とはいえ、集団離党者を出してしまったことには変わりない。これでもなお、野田首相は「離党者がでても構わない」と増税一直線。その先にあるものは…。




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この記事へのコメント

  • sdi

    >それでも9名とはいえ、集団離党者を出してしまったことには変わりない。これでもなお、野田首相は「離党者がでても構わない」と増税一直線。その先にあるものは…。
    以前にもコメントしましたが今回の離党劇は大勢に影響あるとは思えません。
    彼らがいわゆる「小沢シンパ」なら、9人抜けたことで小沢一郎の民主党内の影響力はその分低下します。そして、彼らを見殺しにすれば小沢一郎への求心力そのものが毀損しかねません。逆に現執行部への権力集中が強まる可能性がある、ということは指摘しておきます。
    日刊ゲンダイが「離党予備軍90名」なんてトバシというか願望記事をかいてました。現実にそれくらいの数が離党して野田総理不信任案に賛成票を投じる状況にならなければ、野党側が主導権握る形での解散総選挙は不可能です。今年の春にわれわれはその現実を目の当たりにしたはずです。結局、民主党からの離反者はすずめの涙でした。この状況では「野田内閣倒閣」がせいぜいで民主党内で次の首相が選出されて終わりです。(自民党との連立もありえるか?)何を悠長なことを、と思われるかもしれませんがそんな状況にしてしまったのは他ならぬ自分たちです。自由意
    2015年08月10日 15:26
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 党としての処分を来年1月24日の常任幹事会で
    > 決めるとしているから、それまでは民主党員の
    > まま。だから、この9氏が新党を結成しても
    > 政党助成金は下りない。

    離党の意志が確定した時点で離党であると考える
    と代表戸締り氏が tweeter で述べているが,
    どうだろうか?

    それにしても, 森元首相の発言には驚いた.
    嘘付党が提案するから消費税反対は駄目だと
    言うのはおかしい, の発言には裏があるのか.
    だから議論せよ, 或は, 消費税反対のグループ
    で新党を作れと言っているようだから,
    消費税増賛成なのだろうか.

    新聞は当てにならないから森氏の真意は不明.
    消費税・TPPを選挙の争点にさせないための
    官庁の工作なのだろうか? だとすれば谷垣会見
    騒動の再現か?

    このままでは, 選挙戦の対立軸がなくなり,
    良く分からない状況になると言える.

    あれほど騒いだ消費税・TPPを争点にできない
    となると, 日本の民主政治は落ちる所まで
    落ちたことになる.
    2015年08月10日 15:26

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