「日本旅行を迷っている人に、『急いで!』って言いたい。今なら、観光地が全部ガラガラなんです」ケイティ・モリソン 於:12/23 トラベルボランティア・プロジェクト記者会見
1.トラベルボランティア・プロジェクト
3.11の震災後、日本の観光業初め、多くの業界がいまだに甚大な被害を受けている。そんな折、石川県金沢市の小さな旅行会社、マゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト株式会社が"トラベルボランティア"というプロジェクトを立ち上げた。
これは、100日間で日本の47都道府県をめぐり、土地ごとの伝統や食文化を体感して、それをインターネットで世界に配信するというプロジェクト。
マゼラン・リゾーツ社の朽木浩志社長は、東日本大震災による、外国人観光客の減少を受け、「被災の影響があって、本当に仕事が全てキャンセルになって、悲愴感が漂っている中で、何かやらなければいけない、何か観光の立場でできるんじゃないかという思いだけでスタートしたのが、本当のきっかけ」と語る。
そこで、日本の現状を紹介するブログを書くことを条件に、国内の旅費は全てプロジェクト側が負担し、応募者を募ったところ、85か国、1897人もの応募者が集まり、その中から選ばれたのが、ケイティ・モリソンさんとジェイミー・ラフェッティさんのイギリス出身の20代後半のカップル。
ケイティ・モリソンさんは、写真家兼グラフィックデザイナーで、ジェイミー・ラフェッティさんは、ライター兼ジャーナリストというから、ブログ作りはもってこい。
二人は、2010年6月から14ヶ月をかけて世界を回っていた終盤にこのトラベルボランティア・プロジェクトの存在を知って応募した。2011年3月11日、南米ボリビアにいた彼らは、地震と津波に襲われる日本を報じるニュースを見ながら、その偏った情報に疑問を感じていて、それゆえこのプロジェクトの主旨に共感したのだという。
2011年9月15日に石川・金沢市を出発した二人は、100日間かけて日本列島を1周し、初めて体験する日本の「食文化の豊かさ」や「日本人の勤勉さ」そして「もてなしの心」に心を打たれる場面を多くブログに乗せている。
※トラベルボランティア・プロジェクトのサイトはこちら
訪れた先の市長を表敬訪問したり、川下りをしたり、イカつり体験を楽しんだり。流石に写真家とライターのカップルだけあって、そのブログに掲載された日本の風景は美しく、二人の体験が生き生きと綴られている。
そして、12月23日、二人は無事、JR金沢駅に到着し、感動のゴールを迎えた。
ジェイミーさんは「たぶん、今までで一番ハードだったけど、一番素晴らしい仕事をさせてもらった。今では、日本のことをたくさん知ってるよ!」と語り、ケイティーさんも「田舎を小さな車で案内してくれた70歳の男性もいたわ。日本では、みんなとても親切でした。とても感動したわ」と語っている。
記者会見でも二人は日本観光は、今がベストと語ってくれた。これで少しでも、日本への外国人観光客が戻ってくれることを祈っている。
2.脳残君
また、日本の今を伝えるという意味では、観光客だけじゃない。日本への留学生の中にも、日本を伝える人がいる。
なんでも、「脳残君」というペンネームの中国人留学生が描く漫画が、向こうのネットで話題になっているそうだ。「脳残君」の本名は肖栄(シャオ・ロン)といい、広東省仏山出身の29歳の男性なのだけれど、彼は、幼い頃から日本のアニメや漫画に触れ、大学でデザインを専攻した後、新聞のアニメ・漫画欄の編集者をしていた。
彼は、自身の留学生活を描いた「日在日本」(日本での日々)という漫画をネット連載しており、訪問者数は150万を突破しているという。
こちらでその漫画の一部を紹介しているけれど、中国語が分からなくても画と漢字をみるだけでも、なんとなく内容が分かるのが凄い。それも、漢字文化圏かつ漫画文化に慣れ親しんでいるせいかもしれない。
この「脳残君」は今年5月からわずか半年で50話余りがアップされ、ネット掲示板では「漫画を読んで日本への見方が変わった。すごい作品だ!」大きな反響を呼んでいて、更には、日本留学を希望するファンからも問い合わせが殺到し、現在は震災のために学生獲得に苦心する学校のPR活動にも協力しているのだという。
ただ、街中にゴミが落ちてないとか、信号をきちんと守ってるという日本なら当たり前のことが、マンガのネタとなり、それが中国人をして、日本への見方が変わったと言わせるあたり、まだまだ両国の溝は深いものがあるのではないかと思ってしまう。
漫画の影響力が高まるにつれ、日本留学を希望するファンからも問い合わせが殺到しており、現在は震災のために学生獲得に苦心する学校のPR活動にも協力している。
昨今の中国での漫画・アニメの人気は凄まじく、日本で本場のアニメ制作を学びたい「80後」や「90後」(80年代、90年代生まれ)の若者が増えているという。
まぁ、それだけで日中関係が良くなるとは言わないけれど、双方が没交渉のままであるよりは、まだマシだとは思われる。ただ、筆者としては、日本に留学している中国人がどこまで日本人化してゆくのか、また彼らを通じて、中国人の反応がどこまで変わり得るのかついては注目したいところではある。
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