民主党は12月19日、新橋のSL広場前で、野田首相の街頭演説を行うことを決めた。
1.小沢る、鳩る、野田る
野田首相が街頭演説を行うのは就任以来初めてのことで、蓮舫行政刷新相も参加する予定だそうだ。野田首相は、「税と社会保障の一体改革」を控え、無駄削減など行政改革にも取り組む姿勢をアピールすると見られている。
これは、急落を続ける内閣支持率に危機感を持った野田首相や党執行部が、直接有権者に訴えることで、局面を打開しようと見られているのだけれど、これまで説明不足だなんだと言われ、先日、野田首相が自身のブログで「まずは隗より始めなければ」と発言し、それを形に表そうとする姿勢は評価できる。
だけど、一度や二度、街頭演説をやったくらいで、それを聞いた有権者が、すぐさま政府の政策を理解して、野田内閣の支持率がぐっと持ち直すとは考えにくい。第一、時間が少なすぎる。一々政策を説明しても、そうとう上手く説明しても、なかなか短時間で理解してもらうことは難しい。
となると、改革の姿勢をアピールして、その姿を持って信頼を勝ち得るしかない。
だけど、野田内閣が発足してから100日経った。国会討論や閣僚答弁も行った。有権者も野田内閣がどういうものかの感触を得る時間は十分過ぎた。だから、単に改革の姿勢をアピールしただけでは、どこまで有権者が受け取ってくれるか分からない。
12月15日付の産経新聞に、大修館書店が中学・高校生から募集した「国語辞典に載せたい言葉」から民主党政権に関する新語を拾うと、今どきの若者も、政治家を見る目は案外正確で本質を射貫いているという記事を掲載している。
たとえば、次のとおり。
【小沢(おざわ)る】=(1)裏で牛耳る(2)子分をたくさんもつ(3)子分を見捨てて雲隠れする
【鳩(はと)る】 =(1)無責任なことを言う(2)話すたびに内容が変わる(3)悪いと思わずにウソをつく
【菅(かん)る】 =(1)いつまでも同じ地位に居座ろうとする(2)何もせずにダラダラしている(3)無意味に粘る
とまぁ、確かに良く見ているなと思わされる。
この記事を書いた記者(阿比留瑠比氏)は、これにあやかって、
【仙谷(せんごく)る】=(言わずもがなの暴言で相手を挑発する。法律用語を駆使しシロをクロといいくるめる)【前原(まえはら)る】=(口先で威勢よく言うだけ)
なんてのを挙げている。
ならば、野田首相はどうなのかというと、"野田る"というのもあったようで、
【野田(のだ)る】 =(1)泥臭く頑張る(2)上手にスピーチする
というものだのだけれど、記事を書いた記者曰く、中高生の作品は応募期間が今年5月上旬~9月下旬だったために、現状とはそぐわなくなったのだそうだ。
記事を書いた記者のブログには"野田る"新解釈として、
【野田(のだ)る】=「目先だけごまかして状況が一向によくならないこと」、「官僚に取り込まれてしまうこと」、「よく通る声で中身のないスピーチをすること」
などが寄せられていると締めくくっているけれど、確かに今募集すれば、このあたりも集まるようにも思われる。
2.橋下大阪市長と首相公選制
さて、有権者に向けての発信という意味では、やはり先日の大阪ダブル選挙を制した、橋下新大阪市長の発信力には、その正否は兎も角として、ズバ抜けたものがあると思う。
橋下新市長の発言などは、テレビやネット動画などで見ることができるけれど、あれを見ると、はっきりと野田首相の答弁とは違うことがよく分かる。
橋下新市長は、とにかく臆せず議論をする、自分の主張を明確に発言する。これは、安全運転に徹し、右とも左とも分からない曖昧答弁が多い野田首相とは決定的に違う。
まぁ、橋下氏自身が、今回の大阪市長選では、既得権益がない人が自分を支持してくれたと言っているけれど、逆に言えば、既得権益がない層が支持したからこそ、橋下氏もああした発言ができるのかもしれない。
翻ってみると、今の国政の議院内閣制というのは、議員を選ぶまでは民意が反映するのだけれど、総理の選出は有権者が直接選ぶ訳じゃない。
まぁ、それでも、民意によって選ばれた、個々の議員が有権者の声を政府にしっかり届けて、政治に反映してくれるのならいいのかもしれないけれど、何某かの事情で、それが出来なくなると、政府と民意がどんどん乖離していって、それが内閣支持率に反映する。畢竟、短命政権になってしまう。
先の産経新聞の記事を書いた、阿比留瑠比氏は自身のブログで、ある野党議員との雑談の中で、財界関係者は民主党議員に陳情なり要請なりをしても、おおむね実現することはないそうだ。それも議員側が要請をはねつけるからではなく、むしろ「分かった」と返事はよいのだけど、実際は何も進まないのだという。
つまり、今の民主党の個々の議員には、陳情や要請を実現する力に欠けているということを意味してる。
これでは、有権者のフラストレーションは溜まる一方で、逆に、今の閉塞感を吹き飛ばしてくれる、スーパーな指導力を求める気持ちが高まっているのではないかと思う。
橋下氏が圧勝したのが、もしも、こうした気持ちが転化したものだったとしたら、有権者が今後の政治家に求めるものが変わる可能性がある。
筆者は、橋下氏の発言や発信の仕方を見ていて、大統領制の国はこういう感じなのかもしれないという印象を持ち始めている。
日本にとってそれがいいのか悪いのかはまだ分からないけれど、日本で首相公選制を機能させるためには、テレビなどで、トコトンまで議論する、4時間でも5時間でもノーカットで流すようなことが必要なのではないかと思う。
たとえば、以下に添付する動画は、橋下氏のテレビで生出演したときの発言を纏めたものなのだけれど、35分15秒あたりから、12月19日に、ニュースアンカーに橋下氏が出演して、「教育基本条例」について、山本浩之キャスターと議論しているのだけれど、これくらい激しい議論をして当たり前。そして、国会答弁だけじゃなくて、こうした議論をテレビが報道するのは義務であるくらいの政治文化というか、政治意識を有権者が持たないといけないように思う。
それが日本に合うのか合わないのかは別として、日本国民の意識が変わっていくのかどうか注視したい。
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首相が19日に都内で初の街頭演説 2011.12.16 20:57
民主党は16日、政権発足後初となる野田佳彦首相(党代表)の街頭演説を19日昼に東京・新橋のSL広場前で行うことを決めた。
「つるべ落とし」の内閣支持率に危機感を募らせる首相や党執行部は、政権運営への決意を首相が有権者に直接訴えることで局面を打開しようとの狙いがありそうだ。もっとも、党内には、国会審議や記者会見で「安全運転」の発言を繰り返す首相が、街頭で有権者の琴線に触れる演説ができるのかとの見方もあり、かえって逆効果だとの指摘も出ている。
また、党執行部は16日、党の秘書会に街頭演説に参加するよう要請した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111216/stt11121621000007-n1.htm
「野田る」「小沢る」「菅る」…どんな意味? 配信元:2011/12/15 00:00更新
政治への関心が薄いとされる今どきの若者だが、政治家を見る目は案外正確で本質を射貫(いぬ)いているようだ。大修館書店が中学・高校生から募集した「国語辞典に載せたい言葉」(応募総数8万4090語)から民主党政権に関する新語を拾うと、あふれるユーモアの中に適量のスパイスがぴりりと効いている。
例えば、小沢一郎民主党元代表を語源とする【小沢(おざわ)る】の意味は(1)裏で牛耳る(2)子分をたくさんもつ(3)子分を見捨てて雲隠れする-とある。都合が悪くなると側近や時の首相からの電話にも出なくなり、行方をくらます小沢氏の性癖をよく見ているものだと感心する。
また、鳩山由紀夫元首相からとった【鳩(はと)る】はとみると(1)無責任なことを言う(2)話すたびに内容が変わる(3)悪いと思わずにウソをつく-だそうだ。
鳩山氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、「最低でも県外」と無責任な発言をし、迷走の果てに元の名護市辺野古移設案へと戻り、最近になって再び「辺野古以外」と言い出して全く悪びれない。中高生にとって、こんな大人にはなりたくない反面教師役を務めているのではないか。
さらに、菅直人前首相に由来する【菅(かん)る】はというと(1)いつまでも同じ地位に居座ろうとする(2)何もせずにダラダラしている(3)無意味に粘る-とある。これも無為徒食で延命を自己目的化し、見るべき成果のほとんどなかった菅政権の約1年2カ月のありようをよく喝破している。
大修館書店によると、応募作品には特に菅氏に対してもっと辛辣(しんらつ)なものもあった。その中で「平均的なものを紹介した」という。確かに、【菅る】については(4)ペテンを恬(てん)として恥じない(5)思いつきで大風呂敷を広げてほったらかす-などの語釈もあっていい。
記者も中高生を見習い、仙谷由人政調会長代行をモデルに【仙谷(せんごく)る】(言わずもがなの暴言で相手を挑発する。法律用語を駆使しシロをクロといいくるめる)や、前原誠司政調会長から連想した【前原(まえはら)る】(口先で威勢よく言うだけ)などを考えてみた。政治の惨状にはもう笑うしかない。
もっとも、中高生の作品は応募期間が今年5月上旬~9月下旬だったため、現状とはそぐわなくなったものもある。その代表が野田佳彦首相をもとにする【野田(のだ)る】だろう。
その意味は(1)泥臭く頑張る(2)上手にスピーチする-とある。だが、政権発足から100日余がたった現在、国民は首相にもっと厳しい視線を向けている。
首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など重要政策について、積極的に発信して自ら国民に説明することは避け続けた。民主党の選挙公約だった公務員給与引き下げも国会議員定数の削減も実施せず、経済成長戦略もあいまいなまま。それでいて消費税率アップなど国民に負担を強いることばかりに熱心だ。
「党内融和が第一」とばかりに起用した小沢氏に近い一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長は参院で問責決議を受けた。それでも首相は適材適所と強弁を繰り返す。当然、内閣支持率も急落している。来年の「国語辞典に載せたい言葉」では【野田る】はどんな意味となるだろうか。
「目先だけごまかして状況が一向によくならないこと」「官僚に取り込まれてしまうこと」「よく通る声で中身のないスピーチをすること」…。記者のブログには、【野田る】の新解釈について早くもこんな声が寄せられている。
辞を低くしてやり過ごそうとしても、国民の目は欺けない。(阿比留瑠比)
URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/538413/
この記事へのコメント
せみまる
ちび・むぎ・みみ・はな
政治の具合が悪くなると「改革だ」となるが,
現在の日本のシステムで改革すべき事はない.
問題は「人」であり, 教育である. 教育は
法令に基づかない日教組の「自主改革」により
ボロボロになっている. これを如何に戻すか.
そして, 戦前の教育勅語を再認識する.
我々が「改革」と言っているのは, GHQ洗脳や
米国のグローバリズムの結果であったりする.
若い人達はそれに気が付き始めているようだ.
「改革だ」と言って喜ぶのは全学連世代.
「改革」と共に引退してもらえばよろしい.
日本の伝統をどの様に再構築するか. そして,
その伝統をどの様に有効に活用していくか.
必要なのは「最適化」であり, 「改革」は
ブチ壊しなのだから国民を困らせる方が大きい.
> 今の民主党の個々の議員には、陳情や要請
> を実現する力に欠けている
嘘付党が政党でさえないから当然だし,
伝統が分からない者に事が起こせる筈もない.
嘘付党は日本の「道理」に反した方法で政権を
簒奪した正当性のない政権党.
「違法でなければ正当」は日本国民には成立しない.
彼ら
almanos