みんなで維新の嵐

  
 「4年間で大阪都に移行できるよう法改正を迫る。できる限り、既成政党の国会議員にお願いするが、やってくれないなら維新として国政に足をかける…。近畿一円の小選挙区、比例代表で70人。協議に応じてもらえなければ年内から準備に入りたい」
橋下大阪市長 於:11/27 当選記者会見

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12月10日、自民党の茂木政調会長は、宇都宮市で講演し、政府が来年3月までの国会提出を目指している消費増税関連法案について、野田首相が解散・総選挙の日程を確約しない限り、成立に協力しない考えを示した。

尤も、茂木氏は、11月13日のフジテレビの番組で、この問題について、「成立前か後かは別にして、解散時期を明示するのが最低限の責任だ」と述べているから、問責が可決したこの時期になって初めて言い出したわけじゃない。

また、12月2日には、TBSの番組で、解散総選挙について「来年必ずあると思う。3月以降、夏までの間という可能性が一番高い」と述べている。尤も、来年6月の総選挙と言う声は、今の永田町ではあちこちから聞こえてくるらしい。

前の国会で、一川・山岡両氏の問責が可決した以上、野田首相はまずこの問題から捌かなければいけないのだけれど、更迭なり、内閣改造なりで、なんとか済ましたとしても、すぐに消費増税関連法案を提出する3月なんてすぐにやってくる。

折角、問責をなんとかしても、肝心の消費増税関連法案が通らなければ意味がない。

だからといって、消費増税関連法案の提出を先送りして、野党の協力を得ようとしても、問責が通った以上、一川・山岡両氏を続投させたままでは、やっぱり協力なんて望めない。参院で審議拒否されたら、消費税増税法案はもとより、来年の予算関連法案も通らなくなる。こちらのほうがずっとダメージは大きい。

すでに、野田首相の目の前には、問責問題と、解散総選挙の日程確約という2つのハードルが置かれている。問責が通った勢いを得て、自公は、掛け金を上乗せして、話し合い解散というチップを場に積み上げた。

野田首相の獲り得る手はあまり多くない。

まず、問責というハードルをクリアするためには、急ぐのなら、内閣改造をして、一川、山岡両氏を外すことになるし、ゆっくりやるなら、続投させ、たとえ、国会審議がストップすることになったとしても、法案に協力しない野党が悪いのだという流れに世論を持って行って、野党を協議の場に引きずりだす方法を取るくらいしかない。

前者については、党内の小沢派の反発を抑えられるかというリスクを負うことになるし、後者は、時間がかかる上に果たして、世論が思惑通り、野党が悪いのだ、となってくれるかどうかの保証もない。どちらもリスクがある。

問責決議を巡る、野田首相と小沢氏の対決」のエントリーで、小沢氏は自身のグループに所属する一川・山岡両氏を閣僚から外すのを黙認する代わりに、消費増税関連法案の先送りを約束させるのではないかといったのだけれど、万が一、先送りすることなく、一川・山岡両氏を閣僚から外すことができたとしても、次には、話し合い解散というハードルが待ち受けている。

まぁ、日程を確約せずに、このハードルを飛び越えられないのであれば、いきなり歩き出して、いつまでもハードルの前に行かない、すなわち、消費増税関連法案の提出を再来年とかに先送りして、政権の延命を図るという手も理屈の上では可能だけれど、それでは、これまで野田首相が言ってきたことがなんだったのかということになるし、そこまでなりふり構わない選択をするかどうか…。



その意味では、自民は、野田首相が一川・山岡両氏を来年の通常国会前までに外すことを見越した上で、解散総選挙日程の確約という先手を打ったと見ることもできる。

いずれにせよ、来年の国会からは、総選挙を意識した動きになると思われるのだけれど、これについて、先の大阪ダブル選挙の結果が早くも影響を及ぼし始めている。

大阪ダブル選では、民主・自民は維新の会の対立候補を支援していたのだけれど、維新の会圧勝の結果を受けて、早くも維新の会にすり寄る動きを見せ始めている。

自民の石原幹事長は、大阪都構想に対して「寛容な心で受け入れればいい」と協力姿勢を示しているし、谷垣総裁も「十分研究する必要がある」と語っている。

また、政府与党も藤村官房長官が11月28日の記者会見で、橋下氏との協議に「要請があればもちろん受ける」とすり寄っている。

もっともこれは、橋下大阪市長が、大阪都構想の実現に関して、まず既成政党に連携を呼びかけ、協力が得られず、既成政党側が障害になるなら、次期衆院選に大量70人を擁立する計画をぶち上げたことが大きく効いているように思われる。

大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀、和歌山の2府4県の小選挙区は48しかないから、橋下市長はほぼ全選挙区で候補者擁立を模索していることになる。大阪ダブル選挙で与野党相乗りで平松氏を応援したのに、橋下氏には敵わなかった。

これでは、おいそれと維新の会を敵には回せない。

だから、民主・自民の両党とも、橋下氏にすり寄る気持ちも分からなくはない。だけど、昨日は敵だったけれど、今日からはお友達だと簡単にいくかどうかは分からない。

それに維新の会には、前から良好な協力関係を築いてきた政党がある。「みんなの党」がそう。橋下氏の政策ブレーンは、みんなの党のブレーンでもあるそうだし、政策でも、公務員改革などで一致点は多い。

だから、維新の会とみんなの党が連携して、次の選挙に臨めば、台風の目になる可能性は十分にある。

政治評論家の浅川博忠氏は「みんなの党は次期衆院選で40議席は固いとされる。愛知や名古屋はやや失速しているが、10議席。維新の会が擁立すれば、15人は当選しそう。その他の地域でも連携する勢力が出てくれば、3ケタに届くだろう」と分析しているし、みんなの党の渡辺代表自身、「みんなの党も維新の会も生みの親は同じ。当然連携していく。国政に出ればすごいコラボができる」と期待を見せている。

維新の嵐はそこまで来ているのかもしれない。


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画像自公に「大阪都」推進論=維新の会と連携模索

 自民、公明両党で、地域政党「大阪維新の会」が掲げる「大阪都」構想を後押しする動きが出てきた。大阪府選出の両党国会議員は週明けの13日に「大阪都構想に関する議員連盟」を設立。次期衆院選をにらみ、先の府知事と大阪市長のダブル選挙で圧勝した維新の会と連携を深めたいとの思惑がある。
 議連設立は、自民党の竹本直一府連会長と公明党の佐藤茂樹府本部代表が呼び掛けた。趣意書では「大阪府と大阪市の二重行政は弊害の一つ」と維新の会の主張に同調。「都構想は閉塞(へいそく)感を打破し、大阪経済を再び飛翔(ひしょう)させる起爆剤となる」と高く評価している。
 また、自民党は9日、政務調査会に大都市問題検討プロジェクトチーム(座長・菅義偉元総務相)を設置。政調幹部は「都構想は十分検討に値する」と話しており、年内の中間報告を目指し、週明けから議論をスタートさせる方針だ。
 先月27日のダブル選挙では、自民党は府連レベルで維新の会の橋下徹代表らの対立候補を支援。公明党は対決を避けるため自主投票としたものの、維新の会と一定の距離を置いていた。
 その自公がここへきて橋下氏らにすり寄るかのような動きを見せるのは、維新の会の国政選挙進出が現実となれば、両党への打撃となるのは避けられないためだ。大阪府選出の自民党議員の一人は「次期衆院選を考えれば維新の会を敵に回すわけにはいかない」と危機感をあらわにした。
 ただ、こうした動きには身内にも「変わり身が早すぎる」との批判がある。特に自民党は地方議員レベルで「橋下アレルギー」が強いとされ、谷垣禎一総裁は8日の記者会見で「地方制度の一つの問題として議論していく」と、都構想になお慎重姿勢を崩さなかった。(2011/12/10-14:22)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011121000205&j4

この記事へのコメント

  • 日比野

    ちび・むぎ・みみ・はなさん、sdiさん、どうもです。

    みんなの党+維新の会で指示が集まるかどうかは確かに微妙なところもあるとは思うのですけれども、おもしろいとか、地方公務員に対する反感はもとより、なんというか、ヒーロー願望というか、日本を覆う閉そく感を一気に吹き飛ばして欲しいというような、空気を感じるんですよね。それだけ不満がたまっている。

    まぁ、こういうときは、感情に流されやすくなるので、あまり宜しくない状態だと思います。けれども、その空気を掴んだ政党が議席を伸ばす可能性もあるので、注意が必要な時期ではないかと思います。
    2015年08月10日 15:26
  • sdi

    大阪府知事、大阪市長戦については大阪人の次の特性を考慮しないと本質を見誤るかもしれない、という教訓を昨日、某所に得ました。
    「『オモロイ』のが好き」
    まあ、確かに横山ノック当選あたりはこの特性のせいかもしれないと思いますね。
    今回の首長戦はこの特性プラス「地方公務員に対する反感」という要素もあるでしょう。
    現時点では即断できませんが、それが国政レベルの支持につながるか私は疑問です。
    「アジテーターは民主党だけでたくさん」というのが私の素朴な感想です。
    2015年08月10日 15:26
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    「みんなの党」に支持が集まるかどうかは疑問.
    確かに斬新な主張はしているようだが, 党の
    素性に疑問を持つものも多い. 橋下氏も「維新の党」
    と「みんなの党」の両党並立は第一には考えまい.
    自民党と公明党の腐れ縁を見れば明らかだ.

    しかし自民党. 消費税に対する姿勢がはっきりしない.
    これでは選挙があったとしても大躍進とは無理.
    橋下氏と谷垣氏, 比較すれば理由は明らか.
    2015年08月10日 15:26

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