12月9日、自民、公明両党が提出した、一川防衛相、山岡消費者担当相に対する問責決議が賛成多数でそれぞれ可決した。
一川氏の問責の投票結果は賛成130票、反対109票。山岡氏の問責の投票結果は賛成125票、反対109票。民主、国民新両党は両問責に反対したそうなのだけれど、参院での民主党の議席は106議席、国民新党は3議席だから、一応、数は合う。
問責可決を受けた一川氏は記者団に対し「職責を全うしたい」と辞任を否定。山岡氏も「職務に全力を挙げて取り組んでいく」と述べ、輿石幹事長も「辞める必要はない」と記者団に強調している。
野田首相は、首相官邸での記者会見で、問責可決について「大変残念だが厳粛に受け止めなければならない」としたものの、「それぞれの担当分野で懸案事項が山積している。襟を正して職務遂行に全力をあげてもらいたい」と両氏を続投させることを明言した。
まぁ、ここまでは想定内。野田首相はまたステルス・モードに入って、来年の通常国会までに事態の打開を図るだろうけれど、野党に審議に応じてもらうには、一川、山岡両氏に辞めて貰うしかないのだから、行き着くところはやっぱり内閣改造しかないと思われる。
まぁ、ここまで、醜態を晒してしまっていては、マスコミによる、野党は審議に応じるべきだという援護射撃も期待できないし、国民も見抜いてる。早く手を打たないと、また内閣支持率は下がるのは目に見えている。
野田首相は、自身の任命責任を問われ、「閣僚の任命にあたっては、政治家としての経験と蓄積、政策能力などを勘案し、それぞれ適格であるとの判断に基づき任命した。閣僚として職務を着実に遂行しており、任命責任を問われるものではないと考えている」としているから、ロジックだけでいえば、一川、山岡両氏は問責に当たることはしていないと認識しているということ。
では、自公が両氏に対して問責決議を出した主旨は何かというと、自民党のHPから次に引用する。
一川保夫君問責決議案 趣旨
一川防衛大臣の就任後の軽率な言動及び行動は、政権交代後、危機的状況にある日本の安全保障環境をますます悪化させ、国益を損ねているのは明らかであります。
≪中略≫
一つ、就任時、自分は防衛の素人だから、これが本当の文民統制だといった。
二つ、事故が発生した小松基地には行かず、民主党石川県連のパーティーに行った。
三つ、さらにそのパーティーで受けを狙い、来賓の前原政調会長を指し私より防衛に詳しいと言ってひんしゅくを買った。
四つ、沖縄県仲井眞知事に空自の小松基地と普天間基地を同一視して知事にあきれられ、知事から玄葉大臣に苦言を呈された。
五つ、ブータン国王の宮中晩さん会を欠席して同僚議員のパーティーに行き、こちらの方が大事だといった。
六つ、ブータン国王に申し訳ないと言いながら、国王の名前を知らなかった。
七つ、田中前局長の発言のお詫びに自分でなく事務次官を行かせた。
八つ、沖縄に謝罪に行って局長発言で「また大きなお荷物を背負った」と、まるで自分が被害者のようなことを言った。
枚挙にいとまがないとは、このことであります。
一川防衛大臣は自覚と資質の欠如には、与野党を問わず批判が集中しています。一川防衛大臣は、ほんものの素人であり、防衛大臣として失格だということは天下に明白であります。一刻も早く職を辞すことが、野田内閣による日本の国益への損失を少しでも抑えることにつながると確信いたします。
≪以下略≫自民党HP「国会トピックス」より
と、一川防衛大臣に沖縄の問題解決などできるわけがなく、自分で職責を全うできると胸を張る神経を疑うと断じている。
次に、山岡消費者担当相の問責決議の主旨は次のとおり。主旨説明から一部引用する。
山岡賢次君問責決議案 趣旨
山岡大臣は、平成20年6月、マルチ商法業者が開いた大会で講演し、マルチ商法を宣伝し、グループに勧誘するような演説を行いました。あたかもマルチ商法が合法であるかのように発言し、会員を煽動する等、この業者の広告塔の役割を担ったのであります。
さらに問題なのは、この大会の主催者は、社長以下三人が脱税で在宅起訴され、また、社長が覚せい剤保持で逮捕されているという、極めて問題の多い反社会的な会社であったことです。
このような会社に、山岡大臣は、親族、元秘書等を通じて深く関わっているのです。まさに、多くの被害者を生みだしているマルチ商法の片棒を担いでいると言わざるを得ません。
加えて、山岡大臣は、国会答弁でもマルチ商法を正当化する発言を繰り返しており、反省する姿勢は全く見られません
≪中略≫
また、パチンコの換金の合法化という、政府方針と違うことを目指している「パチンコ・チェーンストア協会」の政治アドバイサーに就いていることを、参議院消費者問題特別委員会で指摘され、辞任しています。
さらに、民主党は拉致実行犯と関わりのある団体に献金をして、問題となっていますが、その際の民主党の出納責任者たる財務委員長は山岡大臣でありました。このことに対する説明責任も全く果たしていない山岡大臣は、拉致問題担当大臣としても極めて不適格であります。
本年12月5日衆議院予算委員会において、自民党佐藤勉議員が提出した質問主意書について、同僚の河井克行議員が質問し、これに対して、「ふだん質問主意書など一回も出したことのない佐藤勉さんが、私とJRが付き合っていることを誹謗中傷しようという趣旨で出したのではないか」と答弁しております。
佐藤議員への侮辱であり、国会における質問主意書の意義を全く無視した許せない発言であります。
その他、マルチ商法業者やマルチ商法業界の政治団体からの献金、資産隠し、論文盗用、選挙運動者への金銭供与・約束疑惑、選挙運動員の買収等々、山岡大臣に関し、委員会で指摘・質問された疑惑は多岐にわたります。
このような多くの問題を抱えている山岡大臣は、消費者・拉致担当大臣及び国家公安委員長としての資格はなく、その重責を全うできるはずがありません。
≪以下略≫「たむたむの自民党vs民主党」より
と、マルチ商法業者やマルチ商法業界の政治団体からの献金疑惑を受けている人物を消費者及び拉致担当大臣や国家公安委員長に任命するなど国民に対する冒涜である、としている。
つまり、両者とも、国務大臣の任を果たすには、その言動からみて不適切であるというのが、問責の理由。より厳密にいえば、一川氏は、これまでの言動によって国益を損なったということに力点が置かれ、山岡氏については、その資質に問題があり、国務大臣の資格はないとする点に力点が置かれている。
野田首相は、閣僚の任命について"政治家としての経験と蓄積、政策能力などを勘案して適格である判断"したことと、"閣僚として職務を着実に遂行している"という2点によって、任命責任は問われない、としているけれど、問責決議案の主旨説明は、一川氏については後者に、そして、山岡氏については前者に対して、違うとしている。
だから、野田首相が、問責決議を否定するのであれば、ロジックからいえば、一川氏については"職務を着実に遂行している"事実を示し、山岡氏については、"政治家として閣僚となるのに適格である"ことを証明しなければならない。
そういった証明もなしに、ただ、適材適所であるといつまでも言い張るだけでは、かつて、"トラスト・ミー"と叫んだ方のように「思いを頂いた」と自分勝手に解釈するのとなんら変わらない。
それに「適材適所」、「職務をこなしている」、「更迭はしない」と押し通しておいて、年明けにいきなり内閣改造したら、去年は適材適所といってたじゃないか、となる。また別の理由が必要になる。
何度も何度も、その場凌ぎで取り繕っている言葉が続くと、国民に見透かされてしまう。いくら肝心なことはステルスモードで進めたいったとしても、内閣改造などのように、誰の目にも見えるものはステルス不可能。
野田政権は、どんどん苦しくなっている。
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参院が一川、山岡氏問責を可決=野田首相は更迭拒否、政権苦境に-臨時国会閉幕
参院本会議は9日午後、自民、公明両党が共同で提出した一川保夫防衛相、山岡賢次消費者担当相に対する問責決議を、両党などの賛成多数でそれぞれ可決した。野田佳彦首相は一川、山岡両氏の更迭を拒否する方針だが、野党は辞任しない場合、来年1月召集の通常国会での審議拒否を辞さない構え。最重要課題に据える消費増税の与野党協議もめどが立たず、首相は一段と厳しい政権運営を迫られる。
問責可決を受け、一川氏は防衛省内で記者団に「職責を全うしたい」と辞任を否定。山岡氏は国会内で「職務に全力を挙げて取り組んでいく」と述べた。民主党の輿石東幹事長も「辞める必要はない」と記者団に強調した。
両問責決議は、自公両党が9日午前に参院に提出。このうち、一川氏については、1995年の米兵による少女暴行事件の詳細を知らないとした国会答弁や、不適切発言で更迭された前沖縄防衛局長への監督責任などが問われた。両党に加え、みんな、共産、社民、たちあがれ日本、新党改革が賛成。投票結果は賛成130票、反対109票だった。
山岡氏の問責はマルチ商法業界との関係などが理由。社民党は「閣僚在任時の問題ではない」として棄権した。投票結果は賛成125票、反対109票。民主、国民新両党は両問責に反対した。
参院での問責決議は、昨年11月に尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に関し当時の仙谷由人官房長官、馬淵澄夫国土交通相に対して可決して以来。
10月20日に召集された第179臨時国会は9日、一川、山岡両氏の問責決議を可決して閉幕した。会期中、東日本大震災の本格的な復興策を盛り込んだ2011年度第3次補正予算や、「復興債」の償還に充てるための25年間の所得増税を定めた復興財源確保法などが成立。しかし、国家公務員給与を平均7.8%削減する特例法案や郵政改革法案などは、与野党の対立から通常国会に先送りされた。(2011/12/09-16:34)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011120900610&j4
一川防衛相・山岡消費者相の問責可決 政権に打撃 2011/12/9
参院は9日午後の本会議で、一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長・消費者担当相の問責決議を、自民、公明両党など野党の賛成多数で可決した。自公両党は両相が問責可決後も続投すれば来年の通常国会で審議に応じない構えを見せており、野田佳彦政権には大きな打撃となる。
防衛相問責は有効投票総数239票で、賛成が130票、反対は109票。消費者相は有効投票総数234、賛成125票、反対109票だった。自公に加え、みんなの党、共産党、たちあがれ日本、新党改革の野党6党が両相問責に賛成を示し、参院過半数の議席を確保していた。社民党は防衛相に賛成、消費者相に棄権する方針を示していた。
一川防衛相に次ぎ、山岡消費者担当相の問責決議も可決した
一方、消費者相は問責決議を受け、記者団に「引き続き職務に全力を挙げて取り組む」と述べ、辞任を重ねて否定した。防衛相も可決前の記者会見で「引き続き職責をしっかり果たしたい」と語っている。
自公両党は9日午前、両相の問責決議案を参院事務局に提出。防衛相問責について、不適切発言で更迭された前沖縄防衛局長の監督責任や就任時に「安全保障は素人」と発言したことなどを理由にあげた。消費者担当相に関しては、マルチ商法(連鎖販売取引)業界から献金を受けていたことへの説明責任を果たしていないなどと指摘した。
自民党の脇雅史参院国会対策委員長は9日午前、両相が問責可決後も続投する場合、「重い参院の意思だ。否定した人のもとで審議することはあり得ない」と強調した。来年の通常国会は、政府・与党が早期成立を目指す今年度第4次補正予算案と関連法案を巡り、冒頭から紛糾する可能性がある。
URL:http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E2EBE2E09D8DE2EBE3E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
何が起きるか分からない. 国会を開かない
という選択もあるかも知れない. 勿論, 憲法違反
になるのだろうが, 国会で嘘を言っても
良いと言う嘘付党だからね. 官僚はその間に
サクサクと増税体制やTPP体制の検討を進める
ことができるから気にしないのではないか.
しかし, それでは世も末か.