問責決議を巡る、野田首相と小沢氏の対決

  
「問責が通る公算が極めて大きい。問責決議を受けた閣僚を残しておく選択はあり得ない」
谷垣禎一自民党総裁 於 12/8 記者会見

画像


12月9日、自民、公明の両党は、一川防衛相と山岡消費者担当相に対する問責決議案を参院に共同で提出することを決めた。

野党7党は12月7日に参院国会対策委員長会談を開いて、一川防衛相と山岡消費者相に対する問責決議案について協議したのだけれど、席上、公明党は山岡消費者相の問責決議案について賛成する方針を示し、みんなの党は、「可決の邪魔はしない」と述べ、賛成または棄権の方針を述べていた。

翌8日には、共産、社民両党も、それぞれ幹部会などを開き、一川防衛相の問責決議案に賛成を決めた。山岡消費者相の問責について、共産党は賛成、社民党は採決を棄権することとなったのだけれど、新党改革も問責に賛成を表明していることから、一川防衛相の問責は可決確実とみられ、山岡担当相についても可決の可能性が高いと見られている。

現時点で、野田首相からは、一川、山岡両氏について更迭する意志は示していないから、このままいけば、問責決議が成立して、来年の通常国会はノッケから空転する。

従って、民主党内では、次の通常国会までに、野田首相は小幅の内閣改造をして、一川、山岡両氏を閣僚から降ろすべきだという案が出ているようだ。筆者もそれしかないだろうと思う。

だけど、一川、山岡両氏を降ろしたら降ろしたで、また党内の混乱を生む可能性がある。それは、一川防衛相、山岡消費者相の二人とも、小沢グループだということ。

元々、野田首相は党内融和を掲げ、党役員人事や閣僚人事で小沢グループにも配慮している。今の野田内閣は、その小沢氏から「バランスのいい人事だ」と評されたほど。

だから、仮に両名を降ろしたとしても、また小沢グループから誰かを引っ張ってくる、バランス人事を採る可能性は十分にある。

だけど、その当の小沢氏は、12月1日、民主党衆院議員の政治資金パーティーで、野田首相の消費税増税に積極的であることについて、「国民を無視し、馬鹿にすると、必ず大きな鉄槌が下される」と厳しく批判し、また、民主党所属議員を対象に消費税増税反対の署名集めを始めるなと対決姿勢を強めている。

だから、野田首相にとっては、別の人どころか、一川防衛相、山岡消費者相を更迭することさえ悩ましい状況に置かれているのかもしれない。

だとすると、一川防衛相、山岡消費者相への問責が可決したとしても、今国会を閉じ、次の国会までになんとか小沢氏と話をつけようとしているのかもしれない。



筆者は、小沢氏は小沢氏で、野田首相からこの件について、話を持ちかけてくるのを待っているのではないかと思っている。つまり、小沢氏は、この機会を自らの党内への影響力を維持するための駆け引きの道具として使っているのではないか、ということ。

たとえば、野田首相が、一川、山岡両氏を閣僚から外すことについて、相談を持ちかけられたとき、小沢氏が野田首相が目指している、増税法案の来年3月の提出を見送ることとバーターで、それを容認するとした話をつけることができれば、小沢氏にしてみれば、誰にも止められなかった野田首相を止めて見せたということで、党内に自身の力を見せつけることができるし、野田首相にとっても、党内に亀裂を入れることなく、なんとか両氏を降ろすことができる。双方にとって悪い話じゃない。

現状の民主党の支持率を考えると、今、解散総選挙をしても、惨敗することは目に見えているし、新党を立ち上げたとしても、民主党から分裂しただけでは、そう簡単に勝てる見込みもない。与党300議席なんてもう夢の世界の話になっている。

唯一あるとすれば、先日の大阪ダブル選挙で与野党相乗り候補を敵に回して圧勝した、維新の会と連携することくらいだけれど、現時点ではそんな動きは見られない。小沢氏としても、維新の会と連携できるという確実な目算が立たない限り、党を割ることはないと筆者はみる。

だから、このタイミングでの消費税増税反対の署名集めは、野田首相へのプレッシャーが第一の目的だと思う。

12月6日の衆院本会議で、日本とベトナムなどとの原子力協定の承認案を巡る採決の際、10人を超える民主党議員が反対や退席などをして造反したのだけれど、造反者の多くは小沢グループの一年生議員達だという。

穿った見方をすれば、この造反劇すら、小沢氏が野田首相にプレッシャーをかけている一環だと見えなくもないから、野田首相としても気が気ではないかもしれない。

そこへきて小沢氏は、12月6日の夜、東京都内の中国料理店で自らを支持する参院議員と会談し、「野田君が会いたいというなら、別に僕は拒まない」と、首相と会談する考えがあることを明らかにしている。早く頭を下げにこい、とサインを送ってる。

虚々実々の駆け引き。答えは来年の通常国会までに出る。



画像 ←人気ブログランキングへ


画像2閣僚問責9日可決=首相は更迭拒否、国会閉幕へ

 自民、公明両党は9日、一川保夫防衛相と山岡賢次消費者担当相に対する問責決議案を参院に共同で提出する。既に可決が確実となっている一川氏に加え、山岡氏の問責案も可決される公算だ。野田佳彦首相は、可決されても両氏を更迭しない方針で、今国会は会期延長なしに同日で閉幕する。野党の態度硬化により、来年1月召集の通常国会に向け、首相の政権運営が一段と厳しさを増すのは避けられない。
 公明党は8日、自民党が提出を決めている山岡氏問責案について、共同提案することを決定。また、たちあがれ日本が新たに賛成を決めた。11議席を持つみんなの党は賛成か棄権で調整しているため、問責案は可決される見通しとなった。
 自民党の谷垣禎一総裁は同日の記者会見で「問責が通る公算が極めて大きい。問責決議を受けた閣僚を残しておく選択はあり得ない」と述べ、首相に一川、山岡両氏の更迭を求めた。
 これに対し、首相は8日の参院外交防衛委員会で、一川氏について「職務をしっかりと果たしていただきたい」と続投させる考えを強調した。山岡氏についても「適材適所」との立場を崩していない。
 ただ、両氏を続投させた場合、通常国会は野党の審議拒否により、冒頭から空転することが予想される。このため、民主党内では「次の国会までに交代させざるを得ない」と、小幅の内閣改造で事態打開を図る案が出ている。 
 一方、民主党の輿石東幹事長は8日、国会内で自民党の石原伸晃、公明党の井上義久両幹事長と会談。郵政改革法案と国家公務員給与を削減するための特例法案の成立へ協力を求めたが、石原氏は難色を示した。この後、首相と亀井静香国民新党代表の与党党首会談を経て政府・民主三役会議が開かれ、「重要法案を成立させる見通しが立たない」として、会期を延長しないことを最終的に決めた。
 積み残した法案で9日に成立するのは復興庁設置法案などにとどまり、郵政法案などは通常国会へ継続審議となる。(2011/12/08-20:20)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011120800790&j4



画像小沢氏「野田君が会いたいなら、僕は拒まない」

 民主党の小沢一郎元代表グループが6日、消費税増税反対を巡る動きを活発化させ始めた。

 元代表は同日、自らを支持する衆院当選1回生の会合で講演し、出席者約40人を前に「財源が足りないから消費税率を上げるというのでは国民は納得しないし、次の選挙では支持されない」と強調した。2回生以上でつくる「一新会」も国会内に約30人が集まり、社会保障政策などを学んだ。同会会長の鈴木克昌筆頭副幹事長は近く増税反対の署名活動を始める構えだ。

 小沢グループには選挙で「風」に左右されやすい衆院比例単独議員や支持基盤の弱い若手が多く、「首相が増税を強行するなら、離党して新党で戦いたい」との声も出ている。

 元代表は6日夜、東京都内の中国料理店で自らを支持する参院議員と会談し、「野田君(首相)が会いたいというなら、別に僕は拒まない」と述べ、増税問題で首相と会談する考えがあることを明らかにした。

(2011年12月6日23時17分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111206-OYT1T01052.htm?from=main1

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    嘘付増税鰌と裁判被告人とがねえ.
    日比野庵殿が予想する通りだと思うが,
    GHQ洗脳の腕白全学連世代の作品には
    清いイメージは湧いて来ない.
    2015年08月10日 15:26

この記事へのトラックバック