増税と捨石
12月3,4日に毎日新聞が行った世論調査で、内閣支持率は38%と前回より4ポイント下落、逆に不支持率は34%と3ポイント上昇し、支持・不支持が拮抗してきた。
また、消費税増税については、「賛成」が45%、「反対」が54%と反対が上回った。10月時点での世論調査では「賛成」が48%、「反対」が50%と拮抗していたことを考えると、「反対」の声が強くなってきたように見える。
特に、消費増税法案の国会提出前に衆院解散・総選挙を行うことについて「賛成」が64%で、「反対」の34%を大きく上回っていることは注目に値する。
野田政権になって特に顕著にみられるのは、国民に情報発信を殆どすることなく、外遊先とかで、勝手に約束するという国民無視の密室政治。
先月のTPP交渉参加のときもそうだったけれど、当時の世論調査でも、TPPに参加した場合の影響を政府が十分説明していないとの回答が78・2%にもなっていた。
政府は、「社会保障と税の一体改革」というけれど、社会保障で聞こえてくるのは、年金の削減や支給先送り、そして、外来受診時の定額負担に介護給付や生活保護の抑制と、保障を削る方向の話ばかり。
それならば、減税するかといえば、逆に消費税増税するという。政府が支出を減らして、税金を上げるのだから、政府の懐が温まる方向。では、その温まった懐で何をやるのかについて殆ど説明がない。
仮に、これまでの政府の借金の穴埋めに使うのだ、というのであれば、少なくとも、どれくらいの期間でどのようにしていくかの見通しとしっかりとした説明がなければならない。この間の復興財源の償還期限を巡っても、民主党は当初、後の世代に負担を残したくないという理由で15年を主張していた。
後の世代に負担を残したくないというのは聞こえはいいけれど、そうした場合、その負担を背負うのは今の現役世代。後の世代ばかりに目を向けて、重税を現役世代に負わせて、その現役世代が潰れてしまったらどうするのか。何事もバランスが大事。
そうでなくても、今はデフレが続いて増税は避けるべき時期のはず。
事実、世論調査では、国民は、増税する前には信を問うべきだと意思表示をしている。密室政治で暴走されるのは厭だといっている。
12月3日、野田首相は東京都内のホテルで若手企業経営者らの会合に出席し、その挨拶の席で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加と消費税率の引き上げ、安全保障問題を挙げて「自分の代で国難をしっかりと受け止め、不退転の覚悟でやりたい。捨て石になってけりをつける」と述べたという。
捨て石とは、囲碁からきた言葉で、囲碁では、意図的に相手に取らせることで利益を得るために打たれる石のことをいい、転じて、大きな目的を達成するために見捨ててしまう事柄や犠牲のことを指す。
だから、野田首相が捨て石になると発言したということは、捨てただけの見返りを必ず得る、ということに他ならない。この場合は、TPP参加と消費税引き上げと安全保障問題が見返りということになるだろうから、少なくとも、それらの法案を通して、方向を「定める」までは、決して解散しないことを意味してる。
だけど、それがその通りにいくためには、党内が固まっていることと、ねじれ国会である以上、野党の協力如何にもかかってくるのだけれど、党内は、小沢元代表に近い議員グループが、「『消費税は4年間は引き上げない』と国民に約束したことを反故にし、国民を裏切ることとなる」として、消費税の増税に反対する署名集めを始める動きが出てきているし、野党は、一川防衛相の問責決議や、増税法案前の衆院解散を要求して対決姿勢を強めている。
これらを押し切って、進めるためには、国民世論の後押しがないと、かなり厳しいと思われるのだけれど、今のように国民に説明しないで、密室で進める態度を続ける限りは、世論の応援はそうそう得られないだろうと思われる。
野田政権は厳しい国会運営を迫られる。
←人気ブログランキングへ
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
ばかばかしいから, どぜうは早うドブに捨てましょ.
almanos