一川防衛相への問責決議
12月2日、自民、公明両党は国会近くのホテルで幹事長・国対委員長会談を開き、普天間問題で、前沖縄防衛局長の不適切発言に関して、一川防衛相の監督責任は免れないとして、参院に問責決議案を提出する方針を確認した。
会談では、自民党の大島副総裁が一川氏と山岡賢次国家公安委員長の2閣僚について問責決議案提出を打診したのだけれど、公明は「一川氏問責」には同調したが、山岡氏に対しては「党内でこれから検討する」と述べるにとどめたようだ。
問責の提出時期は今国会会期末の9日で最終調整を進めているのだけれど、自公以外の野党も一川氏の問責には賛成の流れ。
社民党の福島党首は12月1日、一川防衛相への問責決議案が出された場合には「反対することはできないと思う」と同調する考えを表明しているし、新党改革の舛添要一代表は2日の記者会見で、一川防衛相と山岡国家公安委員長への問責について「2人は問責に値する。当然、賛成だ」と述べている。
また、みんなの党の渡辺代表は記者会見で、問責への対応は白紙だとしているけれど、「何でこんな人を大臣にしたのか任命した人の責任が問われる。 山岡賢次国家公安委員長の場合にも同じことがいえる」と、野田首相の任命責任を指摘しているし、更には、連立を組んでいる国民新党ですら、同じく2日に、下地幹事長が「与党だからといって、すぐに反対するとか、守るとかにはならない。それほど深刻な問題だ」と問責反対を明言しなかった。
したがって、問責が出されれば、可決する公算が大きい。
一川防衛相は、閣議後の記者会見で、辞任する考えはないとしたうえで、大臣給与の返納などを含めみずからに対する処分を検討する考えを示し、野田首相も2日の国会審議で、一川防衛相を適材適所だとして庇っている。
だけど、一川防衛相は、就任当初から素人発言だの、ブータン国王を招いた宮中晩餐会をすっぽかしたりだの、失点を重ねていたし、今回の前沖縄防衛局長の不適切発言でも、沖縄県への謝罪に事務方である中江公人防衛次官を派遣し、野党から「なぜ一川防衛相自らが沖縄に足を運ばないのか。問責決議案の材料になるのを逃れるためでないか」などと批判され、外務省幹部からも「すぐに大臣が行くべきだった」と対応のまずさを指摘する声が出ていたことを考えると、いつまでも"適材"だと言い張るには、少々無理がある。
元々、野田政権は組閣時に党内融和を考慮して、党内の各グループから閣僚を起用しているのだけれど、今回問責が取沙汰されている、一川防衛相と山岡国家公安委員長は共に小沢グループだから、この2人を更迭することで、消費税増税で対立している小沢氏と亀裂を生みたくないというのがあるかもしれない。
だけど、党内融和を優先するあまり、国家運営が疎かになるのは本末転倒。
普天間移設問題で、沖縄の不快感は膨れ上がっている。
くだんの不適切発言で、11月30日に中江防衛次官が沖縄県庁を訪ねて仲井真知事に陳謝したときも、仲井真知事は「県民は傷つけられた。信頼関係の回復はなかなか簡単ではない」として15分の予定の会談を5分で打ち切っている。12月2日に、一川防衛相がようやく沖縄に飛んで、仲井真知事に謝罪したのだけれど、知事は「極めて遺憾だ」と不快感を表明し、これまた会談を10分足らずで打ちきっている。
まぁ、それでも、いくら怒り心頭だとはいえ、何度も会談を打ち切るのもどうかと思うけれど、問題がここまで大きくなった以上、政府としても落としどころを見つけなくちゃいけないし、問責が出されれば国会審議もストップする。
辺野古移設にしても、政府は、必要な環境影響評価書を予定通り年内に県側に提出したい意向がある。また、郵政改革法案についても、民主、自民、公明の3党は、12月1日に衆院郵政改革特別委員会で趣旨説明を行うことで合意していて、その審議の時間を確保するために、2週間程度の会期延長の話も政府・民主党内にあった。
だけど、問責がだされれば、それも吹っ飛んでしまう。
民主党内でも、幹部の中には、「政権運営への影響を最小限に抑えるためには、問責決議案が可決されれば辞めざるを得ないだろう」という見方を示していることを考えると、やはり一川防衛相の辞任は避けられないのではないかと思われる。
野田政権の外堀はじわじわと埋まっている。
←人気ブログランキングへ
沖縄知事、防衛次官との面会5分で打ち切る
沖縄の米軍普天間飛行場移設問題をめぐって防衛省の田中聡前沖縄防衛局長が不適切発言で更迭されたことを受け、中江公人防衛次官は30日、沖縄県庁を訪ねて仲井真弘多知事と会い、「心からお詫びする」と陳謝した。
仲井真氏は「県民は傷つけられた。信頼関係の回復はなかなか簡単ではない」と述べ、県民世論の厳しさは極めて深刻だとの認識を示した。
会談は15分間の予定だったが、仲井真氏側が約5分で打ち切った。
会談後、中江氏は記者団に、名護市辺野古への移設の前提となる環境影響評価書を予定通り年内に県に提出する考えを強調。仲井真氏は記者団に「作業だけは強引に進めたいという状況判断は、ピタッと来ない。(政府は)状況判断を間違えないように(してほしい)」と不快感を示した。
この問題をめぐり、30日の衆院外務委員会では、沖縄県への謝罪を事務方にゆだねた政府の判断に批判が集中した。自民党の河井克行氏は、「なぜ一川防衛相自らが沖縄に足を運ばないのか。問責決議案の材料になるのを逃れるためでないか」などと追及。渡辺周防衛副大臣は「まずは事務の責任者が行くことで対応した」と述べたが、政府内からも「すぐに大臣が行くべきだった」(外務省幹部)と対応のまずさを指摘する声が出た。
(2011年11月30日19時33分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111130-OYT1T00755.htm?from=tw
防衛相、沖縄知事に謝罪/問責にらみ辞任論も 2011/12/02 21:27
一川保夫防衛相は2日、沖縄県庁で仲井真弘多知事と会い、米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題をめぐる田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言について謝罪した。これに対し仲井真氏は「極めて遺憾だ」と不快感を表明。会談は10分足らずで打ち切られた。野党側は一川氏の問責決議案を参院に提出する方針で、可決される見通し。与党内では国会審議への影響を懸念し、決議案採決前の辞任論も出ている。
会談で一川氏は「許し難い発言で沖縄県民の心を大変傷つけ、人道的にも由々しき発言だ。最高責任者として知事や県民におわびする」と表明した。
URL:http://www.shikoku-np.co.jp/national/main/20111202000480
一川防衛相の問責決議案、自公が参院へ提出検討
自民、公明両党は30日、一川防衛相に対する問責決議案を参院に提出する方向で検討に入った。
公明党の漆原良夫国会対策委員長は同日午前、BS11の番組収録で、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題を巡る不適切な発言で防衛省の沖縄防衛局長が更迭されたことを受け、「トップの緊張感のなさについて、責任が問われる。問責とか、そういう問題に発展していくと思う」と述べた。自民党も更迭問題について「防衛相の責任だ」(石原幹事長)としており、同調する方針だ。
一川氏は、「安全保障に関しては素人だ」との発言や、宮中晩さん会欠席に関する説明で、野党から追及を受けてきた。漆原氏は「一川氏の責任問題は、一連の言動と、今回の監督不行き届きの合わせ技だ」と語った。
(2011年11月30日14時49分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111130-OYT1T00684.htm
一川防衛相 進退問題に発展の声も 12月3日 4時32分
防衛省沖縄防衛局の幹部の不適切な発言による更迭などを踏まえ、自民、公明両党は、一川防衛大臣に対する問責決議案を提出することにしており、可決される公算が大きくなっています。政府・与党内でも、一川大臣の進退問題に発展するのは避けられないのではないかという声も出始めています。
一川防衛大臣は、防衛省沖縄防衛局の前の局長が、アメリカ軍普天間基地の移設問題を巡る不適切な発言で更迭されたことを受けて、2日夜、沖縄県の仲井真知事に、「県民の心を傷つけ、おわび申し上げたい」と述べ、謝罪したのに対し、仲井真知事は、「極めて、極めて、遺憾だとしか申し上げようがない」と述べ、強い不快感を示しました。また、一川大臣は、1日の国会審議で、平成7年に沖縄で起きたアメリカ軍兵士による暴行事件について、「詳細には知らない」などと述べたことについても、「国会の公式な場で詳細に説明する事案ではないという思いでの発言で、おわび申しあげなければならない」などと釈明しました。こうした一川大臣の対応に対し、自民・公明両党は、「大臣としての資質が欠如している」などとして、来週9日の会期末をにらんで、野党側が多数を占める参議院に問責決議案を提出することにしています。共産党、社民党、新党改革が、これに賛成する意向を示すなど、他の野党も同調する見通しで、可決される公算が大きくなっています。これに対し、野田総理大臣は、2日の国会審議で、「これまでの政治経験や知見を含めて、適材として、私が選ばせて頂いた。いっそう緊張感を持って、職務にあたってほしい」と述べ、一川大臣を続投させる考えを示しました。また、一川大臣も、「与えられた職責を全うしていく」と述べ、辞任する考えはないことを強調しました。ただ、政府・与党内では、民主党幹部が、「政権運営への影響を最小限に抑えるためには、問責決議案が可決されれば辞めざるを得ないだろう」という見方を示すなど、一川大臣の進退問題に発展するのは避けられないのではないかという声も出始めています。
URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111203/t10014379861000.html
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
そもそも, 少なくとも来年の6月までは大丈夫と
思っているのではないか. だとすると大変.
ヒトデナシ首相の例もあるし, 外掘も内堀も
埋まっても6月迄は辞めないだろう.
誰が来年の六月などと言い出したのやら.
とおる
一川防衛相は、就任直後の発言の「素人がするのが、これが本当のシビリアンコントロール」で即死に十分。
こんな無能な防衛相・首相で、「大局・国益を考えて妥当なのか?」。