政府は、2014年4月に消費税率を8%に引き上げた場合、個人住民税や所得税の課税が免除される低所得者に現金を支給する案の検討を始めたとの報道があった。
支給する金額は年間1万円が有力とされているけれど、支給対象者は最低でも数百万人と見られ、必要経費は最大で年間1000億円規模となるようだ。政府は14年度予算に計上する方向で検討しているという。
これは、昨年12月に、民主党が消費税引き上げの際の低所得者対策として、税額控除の恩恵が少ない層に手当を支給する「給付付き税額控除制度」を採用する方針を決めたのだけれど、実際の導入は、納税者の所得情報等を集める必要があることから、早くても2017年以降になると見られているために、それまでの"つなぎ"として支給しようというもの。
「給付付き税額控除」とは、社会保障給付と税額控除を組み合わせたもので、控除額が所得税を上回る場合、控除しきれない額を給付する制度のこと。
例えば、控除額が10万円であった場合、所得税が20万円の人は、10万円が控除されて、差し引き10万円を納付するのだけれど、所得税が10万円の人の場合は、控除額の10万円と相殺されて、税金はゼロになる。逆に所得税がゼロの人は、控除額分である10万円が支給されるというもの。
給付付き税額控除は、近年諸外国でも導入が進んでいるのだけれど、中央大学の森信茂樹教授の分類によれば、給付付き税額控除は、大きく次の3つに分けられる。
1.勤労税額控除
2.児童税額控除
3.消費税逆進性対策税額控除
1の勤労税額控除とは、勤労所得のある世帯に対して、勤労を条件に税額控除し、所得が低くて控除しきれない場合には給付するというもので、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、スウェーデン、カナダ、ニュージーランド、韓国等、10ヶ国以上が採用している。
2の児童税額控除は、母子家庭の貧困対策や子育て家庭への経済支援を目的としたもので、子どもの数に応じて税額控除額は決定され、所得が一定額を超えると逓減されるのが一般的。アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、ニュージーランド等で採用されている。
最後に3の消費税逆進性対策税額控除だけれど、これは、消費税が、高所得者も低所得者も等しく同じ割合の税負担であり、且つ、高所得者の方が消費に回す割合が少ないことから、所得全体に対する消費税負担率は低所得ほど高いという、所謂「逆進性」の問題を解消するための仕組みで、平たくいえば、申請すれば現金支給される直接給付制度。現在はカナダやシンガポール等で導入されている。
カナダは、1991年に日本でいうところの消費税に当たる、付加価値税を導入しているのだけれど、その当時の税率は7%だった。(2009年現在は5%)
その際に年収3万カナダドル以下の世帯の負担軽減を狙いとして、GSTクレジット(Goods and Services Tax Credit)と呼ばれる「消費税逆進性対策税額控除」が創設された。
GSTクレジットは、(i)19歳以上であること、(ii)配偶者を有すること、(iii)扶養する18歳以下の子供を有することの内、いずれか一つを満たせば適用される。
この消費税の「逆進性」を緩和するためには、GSTクレジットのような税額控除の他に、食料品など生活必需品の税率を下げる軽減税率(複数税率)の導入するという方法もある。
実際、EU諸国は、軽減税率を導入していて、「標準税率は15%以上とし、これに対して、1本または2本の、5%を超える軽減税率を持つことができる」とEUでは既定されている。具体的には、アルコールを除く、飲食料品、医薬品、旅客輸送、書籍、新聞などが例示されていて、EU加盟各国は、この範囲の中で、実際の軽減税率を規定している。
ただ、やはり、軽減税率の適用については、どこからどこまでが適用の範囲なのかという問題があるようで、たとえば、マクドナルドでハンバーガーを買うとき、テイクアウトにすると食料品扱いで軽減税率が適用され、その場で食べると飲食サービス扱いになって、標準税率が適用されるという事実がある。
イギリスでは、そうした混乱を避けるために、食料品かレストランサービスを分ける基準として、提供された食料品が温かいかどうかで、食品かレストランサービスかを区別するといった、冗談のような方法が取られている。
また、カナダでは、ドーナツ等の菓子の販売個数が5個以下の場合には飲食サービスとして標準税率、6個以上は食料品としてゼロ税率にするというようになっているのだけれど、ドーナツ屋の店先で見知らぬ購入者が集まって、「ドーナツ購入クラブ」を結成し、6個以上になるのを待って共同購入・清算するという事態も生じているという。
政府・民主党が進める給付付き税額控除制度に対して、自民党は消費税率を10%に引き上げる際には、生活必需品の税率を下げる軽減税率の導入を求めているのだけれど、その際にはこうした、軽減税率の適用範囲でモメることはほぼ間違いないように思われる。
政府が進める、給付付き税額控除制度が、勤労控除型なのか、児童控除型なのか、はたまた、消費税逆進性対策税額控除型のどれになるかは分からないけれど、しっかりとした議論の上で進めることを望む。


政府・民主党は26日までに、2014年4月に消費税率を8%に引き上げる際に、低所得者に現金を支給する方向で検討を始めた。金額は年間1万円が有力だが、次期総選挙へのダメージを減らしたい狙いがミエミエ。「1万円やるから増税に賛成しろ」といわんばかりのバラマキ手法に、批判が集まりかねない。
26日の日経新聞によると、支給対象は、個人住民税や所得税の課税が免除される層とする案が有力。対象は最低でも数百万人とみられ、必要経費は最大で1000億円規模となるという。
政府試算によれば、消費税率が5%から8%に上がると、低所得者層の負担は1人あたり年間2-3万円、10%になれば3・5-5万円増える。年1万円もらえれば、やや圧縮できる計算だ。
表向きは、低所得者ほど負担感が強くなる消費税の「逆進性」をやわらげる目的だが、実際には「選挙向けの現金バラマキだ」(自民党関係者)と見る向きが多い。
消費税増税を争点とした衆院解散・総選挙が取り沙汰されるなか、世論調査では、60%前後が増税に反対するなど、世間の風当たりは強い。1万円支給案は、こうした世論を軟化させるための“アメ”とみられている。
政治評論家の森田実氏は「あまりにも卑しい手段だ。欧州では、低所得者向けに食料品非課税などをしており、そちらをやるべきだ。日本ではできないという理屈は、怠慢だ」と話している。
政府与党内でも「恒久的なバラマキになる可能性がある」として現金支給には慎重な声があり、今後、国会審議などで紛糾する可能性は高い。
URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120126/plt1201261142004-n1.htm
この記事へのコメント
CNN
いつになったらましな政治が出来る様になるのかな。
政治家になる前に政治家育成講座とかさせたほうが良いんじゃないww
ちび・むぎ・みみ・はな
> 引き上げた場合、個人住民税や所得税の課税
> が免除される低所得者に現金を支給する案の
> 検討を始めたとの報道があった。
まあ, めちゃくちゃだね.
ローマ皇帝の方がよっぽど政治が高度だ.
こんなのはまともな政府のやることではない.
皆がため息をついている. にも関わらず,
谷垣自民党は嘘付政権を追放することができないのか.
能力のないものをトップに頂くほど状況に余裕はない.
谷垣総裁は即刻退場.
白なまず
世界中のお金の仕組みがおかしい時に金で釣ろうとしても釣れるのは餓鬼ばかり。
先の世では食料を元に契約行われると言うときに。先が見えてないんですね。
腐りきった日本統一には桃太郎さんにお出まし頂くしかなさそうです。
草薙の剣でお墓の草を刈り、日本統一を行う印を出すときが近づいて来ました。
日向族のみなさん長らくお待たせしております。
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桃太郎さん 桃太郎さん お腰につけた 黍団子 一つわたしに くださいな
やりましょう やりましょう これから鬼の 征伐に ついて行くなら あげましょう
行きましょう 行きましょう あなたについて どこまでも 家来になって 行きましょう
そりゃ進め そりゃ進め 一度に攻めて 攻めやぶり つぶしてしまえ 鬼が島
おもしろい おもしろい のこらず鬼を 攻めふせて 分捕物を えんやらや
万々歳 万々歳 お伴の犬や猿雉子は 勇んで車を えんやらや
sdi