「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか。書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。それはマニフェストを語る資格がないというふうにぜひみなさん思っていただきたいと思います。」野田佳彦 2009.8.15
1月24日、野田首相が行った施政方針演説で、自民党政権時代の福田、麻生両元首相の施政方針演説を引用して自身の正当性を主張したことについて、案の定、野党の反発を招いている。
演説を引用された福田元総理は「なかなか良いことを言っている。だけど、あのころを思い出すとひどいことを言われてえらい目に遭った」と不快感を隠さず、麻生元総理も「いいとこ取りされた。民主党は限りなく自民党化し、抱きつかれてきている感じ」とコメントしている。
また、自民党の谷垣総裁は「消費税で何をするか、ほとんど言及がない。マニフェストへの真摯な反省があってしかるべきだ」と、事前協議に応じる考えはないと言明し、公明党の山口那津男代表も「(国債発行額を)単に自ら膨らませておいて、財政再建だと、あるいは与野党協議だと。こういうところも、やはり反省が欠けている大きな一面だと思います。協議するなら環境を整えてほしい」と批判している。
最早、口でどうこういったところで、どうしようもないところまで来ている。
そして、野田首相についていえば、その口すら、一貫性がない。
今回の施政方針演説について、自民党の小泉進次郎議員は、「もし、野党の時に野田首相が『首相の思いと同じです』と言っていたら、説得力がありますよ。でも、麻生首相の麻生内閣不信任案の賛成討論をしたのは(野田)首相ですよ、当時。ちょっと説得力がないですよね」 と指摘しているのだけど、当時幹事長代理だった野田氏は、「私が申し上げたいのは、麻生内閣に繋がる、小泉内閣、安倍内閣、福田内閣、そして今回の麻生内閣、それに連なる自公政権そのものに内閣不信任案を、 私達は突きつけているわけであります」と小泉内閣以降の自民党政権を纏めて批判している。
野田氏は麻生内閣に不信任である理由として、「予算を成立させても、国民の生活が良くならない。結果が出ない責任は重大だ。バラマキを何回やっても日本は良くならない。官僚政治をコントロールする能力と気概がない。」などを挙げているのだけれど、翻って今の野田政権はどうなのか。当時、野田氏が突きつけた不信任理由をそっくりそのまま熨斗をつけて、自民党から、野田内閣不信任案の理由にされても文句は言えない。
更に、冒頭で引用したけれど、民主党が野党時代の2009年8月15日に、野田氏は、大阪府第16区で立候補した森山浩行氏の応援演説で、「マニフェストに書いていないこと平気でやるのはおかしい」と厳しく批判している。是非、今の野田首相に対して、その演説をもう一度ぶつけて貰いたい。
こんな2枚舌、それもバレバレの2枚舌を使うものだから、信頼は失われる一方。
そんな中、野田首相は、なんとか増税法案を通すための与野党協議をしようと、次々と自公案の丸飲みし始めた。
1月25日には、国家公務員の給与を引き下げる臨時特例法案に関して、民主、自民、公明の3党が実務者協議を開いて、今年3月から平均0.23%引き下げる人事院勧告を実施したうえで、さらに4月から平均7.8%を上乗せし、合計で平均8.03%減額する修正案を提示して、3党が基本合意しているし、また、輿石幹事長は、公明党が年金抜本改革案の提示を消費増税協議に応じる条件としていることから「年金問題を最大の焦点に一つの方向性を出していきたい」と同じく25日に開かれた民主党の両院総会で述べ、譲歩の姿勢を示している。
さて、野田政権が自公案をどんどん丸飲みして、すり寄ってくると、今度は増税法案の与野党協議参加へのプレッシャーが強くなるし、世論も野党は何だと思い始める可能性がある。
それを踏まえてか、自民も予防線というか、牽制を始めた。
麻生元総理は消費増税に関して、「私の演説では『景気回復が前提』という条件が付いていた。首相は景気が回復したと思っているんだろうが、世の中にそう思っている人はいない」と景気回復が増税の前提だと指摘し、安倍元総理も25日、京都市内で開かれた党府連の会合で、「税率を増やして税収が上がらなければ、国民は踏んだり蹴ったりだ。日銀の協力も得て金融緩和をし、政府が需要をつくってデフレから脱却する。そういう要件をそろえて消費税を上げる必要がある。…今の民主党案には条件が書いておらず、経済にちゃんと対応できないので賛成できない」と述べ、こちらも景気回復を条件に挙げている。
まぁ、増税を行うタイミングは、景気回復が前提だというのは、常識で考えてもそのとおりだし、また、これまで筆者は何度も指摘しているように、税制改正法附則104条にもしっかりと掛かれている。
だから、麻生、安倍両元総理の指摘には正当性があるし、特に批難される謂れはない。
ただ、次期総選挙も近いを囁かれる中、自民もそろそろ、自身の景気回復策や、税と社会保障の一体改革案を打ち出していく時期ではあると思われる。単に反対のための反対だけでは国民はついてこない。
とはいえ、野田政権が、政府としての具体的な景気回復策や、税と社会保障の一体改革案を出さないうちに、自公で独自案を出してしまうと、また野田政権に丸飲みされてパクられてしまう可能性があるのが悩ましいところではある。
逆に、野田政権の側からいえば、政府案を出さずに、与野党協議参加だけを呼びかけ続け、自公案が出てくるのをひたすら待つことで、責任も批判も野党に擦り付けることができるとも言える。
かくして、今国会では、どちらが先に法案を提出するかのチキンゲームが行なわれるような気がしてならない。


国家公務員の給与を引き下げる臨時特例法案をめぐり、民主、自民、公明3党は25日午前、国会内で実務者協議を開いた。民主党は今年3月から平均0.23%引き下げる人事院勧告(人勧)を実施したうえで、同4月からさらに平均7.8%を上乗せし、計平均8.03%減額する修正案を提示。自公両党は受け入れる考えを示し、基本的に合意した。
民主党は通常国会の開会を受け、消費増税の前提となる「身を切る改革」である公務員給与引き下げで合意を急ぐ必要があると判断し、大幅譲歩した。政府案は人勧実施を見送ったうえで、13年度末まで7.8%削減する内容。これに対し、自公両党は人勧を実施したうえで、引き下げ幅を7.8%まで拡大する案を主張していた。
修正案は自公案よりも削減幅が拡大するため、自民党幹部は「これなら乗れる」と述べ、公明党幹部も「人勧をやってくれさえすれば、うちはOKだ」と語った。【木下訓明】
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120125-00000047-mai-pol

民主党は25日午前、通常国会召集を受けて国会内で両院議員総会を開いた。野田佳彦首相(党代表)はあいさつで「この国会で日本立て直しの成果をたくさん出していかないといけない」と強調。党内に根強い消費増税反対論を念頭に「政府・与党、衆参の緊密な連携が問われる国会になる。最後まで心を合わせて支援をお願いする」と結束を訴えた。
輿石東幹事長は、公明党が年金抜本改革案の提示を消費増税協議に応じる条件としていることを踏まえ、「年金問題を最大の焦点に一つの方向性を出していきたい」と述べ、消費税率の上げ幅を含む財源の明確化を急ぐ考えを表明。「300小選挙区で、有権者の中に入って党の方針を理解してもらうべく努力していく」と、次期衆院選を意識しながら増税方針の浸透を図るよう求めた。 (2012/01/25-11:32)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012012500338&j4
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
政府が痛みを堪えて建設国債を発行すれば良い.
建設国債でいたみを感じる国民はいない.
財務官僚は悔しいだろうが.
また, 現在のように輸出競争力の落ちて
いる時に TPPで外需を求めるのは不可能.
だから,
自民党は痛みを堪え, 財政健全化法案を
一時棚上げにし, 自由貿易主義を一時
棚上げにしてTPP反対をやれば良い.
そりゃ, 国民にとって選挙の争点は明確になる.
増税+TPP: v.s. :国内投資
どちらに国民が投票するかは明らかだ.
国民に痛みを耐えろと言う前に, 政府と自民党が
自らの痛みに耐えるべきだろう. 国を治めるとは
国民のために政府が痛みに耐えるものだ.
現在は逆になっているのに誰も気がつかない.
とおる
昨夜のBSフジ「PRIMENEWS」にて、自民党の石原幹事長が、30月20日頃に政府が「税と社会保障の一体改革案」を閣議決定する頃に、「自民党としての将来像を公表する。議員定数削減についても、妥協案を持っているが、先に出すとパクられるので、与党が本気で妥協案を出すまでは、こちらの案は出さない」と。
また、公明党の人だったか石原幹事長か、どちらが言ったかは記憶が定かではありませんが、次のような事も発言。「消費税増税について、最初は財政破綻すると大変だからと言っていたのが、税と社会保障の一体改革では社会保障に使うと言い始めたが、財政破綻の件は大丈夫なのか?」
民主党の首相というのは、
・鳩山首相: 東アジア共同体。普天間基地は国外、最低でも県外 → 外交破綻
・管首相 : 原子力の専門家 → 原発爆破
・野田首相: 財政の専門家 → 財政破綻(不景気・デフレ下での増税)
と