言論封殺と言論統制の国
これまで、福島第一原発事故対応について、政府方針を定めていた、「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが明らかになった。
原子力災害対策本部とは、総理大臣を本部長として、全閣僚をメンバーに構成された本部で、原発事故当日であった2011年3月11日に設置され、これまで21回にも及ぶ会議を行なってきた。
NHKがこの21回の会議について、議事録や内容をまとめた資料等の情報公開請求を行ったところ、議論の中身を記した議事録は作成されていなかったことが分かったのだという。
民主党政権が議事録を作らないことに関しては、これまでも筆者は触れてきたし、国会でも追及されていたから、何を今更な感がしないでもないけれど、これほど重大な事故に対しての対応をも記録に残さないというのは、やはりあってはならないこと。
福島第一原発事故について、想定外の津波だったとか、1000年に一度の災害だと声高に言うのは勝手だけれど、一度起こった災害はもう想定外にはならないから、次回から想定した災害対策をしないといけないし、1000年に一度の災害なら、尚のこと、1000年後の人達にしっかりとした記録を残して置かなくちゃいけない。
業務が忙しく議事録を作成できないなら、速記人でも何でも参加させればいいだけの話。忙しいなんて言い訳にならない。
更に、事故発生直後に、原子力委員会の近藤駿介委員長が「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」と題した報告書をまとめ3月25日に当時の菅首相に提出していたのだけれど、あまりにもすごい内容だった為、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた上、文書はなかったことされていたことが発覚している。
その文書では、水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出されると想定した場合、福島第一原発から半径170キロ圏内は強制移住。希望者の移転を認める区域は東京都を含む半径250キロになると指摘されていたという。
当時首相だった菅氏が3月16日に笹森清内閣特別顧問に対して「最悪の事態になったときは東日本がつぶれることも想定しなければならない」と発言したことを裏付けるような内容ではある。
最終的には、この文書は公文書扱いになったけれど、やはり、無かったことにするなんてとんでもない話。議事録を作る暇がないくらい忙しいのであれば、こうした各部署から上がってくる文書をこそ、公式記録にして残さなくちゃいけない。
都合の悪い真実は、悉く隠蔽する。こんな政権があってはならない。国民もこんな危険な人々が日本の舵取りをしていることに危機感を覚えるべき。
マスコミは、与野党協議に参加しない野党を批判するけれど、大切な情報を隠す政権であるからこそ、国会の場でのオープンな討論に意味がある。
議事録はない、都合の悪い文書は無かったことにする。こんな政権の下で国民はどう政治に関われというのか。
マスコミも、野党に対して、与野党協議に参加せよというのであれば、協議の議事録の公開請求をして広く報道すべきだろう。
だけど、そのマスコミに対しても、都合の悪いことは報道させないようにしているのが今の政府。
例えば、消費税増税に関しても、増税に批判的なコメンテーターを使うなとテレビ局にプレッシャーをかけていると言われている。特に、元経産省官僚の古賀茂明氏は目の敵にされているようで、『週刊ポスト』(1.27号)では、財務省現職幹部が、テレビ局幹部に電話を入れて「古賀を出演させているような局にうちの(安住淳)大臣は出せない」と圧力をかけたと報道しているし、別のテレビ局のプロデューサーの証言では、「財務省が後ろ盾になっているある政治家は、テレビ出演の際、その条件として、“古賀氏を出さないこと”を挙げる」のだという。
また、産経新聞で増税批判のスタンスを取っている田村秀男・編集委員兼論説委員によると、ある会合で産経新聞社の上層部に、財務省の有力OBから「おたくの田村はひどいな」といわれたことがあるそうだ。
まぁ、一個人としての批判であれば、酷いだの酷くないだの意見をいうことは勝手。財務省出身とはいえ、OBなのだから、産経新聞もご意見は有り難く頂戴しても、それに振り回される必要はない。
だけど、テレビ局となると、増税に批判的な古賀氏や嘉悦大学教授の高橋洋一氏をテレビ番組に出すと、財務省から「あの発言の根拠は何か」と抗議が来るという。それだけ影響力が強いと見られているのだろう。
局の上層部は財務省の抗議を恐れ、収録後に発言やデータをチェックして、財務省の心証が悪くなりそうな部分はカットして自主規制する傾向にあるという。
これでは、もう立派な言論統制の範疇に入るだろう。
言論封殺に言論統制。どこぞの独裁政権を嗤っていられない。
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菅政権「なかったことに」 大量放出1年と想定 民間原発事故調が追及
公文書として扱われず
東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅20 件直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一(きたざわ・こういち)前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。危機時の情報管理として問題があり、情報操作の事実がなかったか追及する方針だ。
文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介(こんどう・しゅんすけ)委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。
政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。
最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられたのを受け、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。
細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。
政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。
【解説】検証阻む行為許されず
東京電力福島第1原発事故の「最悪シナリオ」が政権中枢のみで閲覧され、最近まで公文書扱いされていなかった。危機の最中に公開できない最高機密でも、公文書として記録しなければ、次代への教訓を残すことはできない。民主的な検証を阻む行為とも言え、許されるものではない。
民主党は2年半前、政策決定の透明性確保や情報公開の促進を訴えて、国民の信を得たはずだ。日米密約の解明も「開かれた政治」を求める国民の期待に応えるための作業だった。
しかし、今回明らかになった「最悪シナリオ」をめぐる一連の対応は、そうした国民の期待を裏切る行為だ。
シナリオ文書を「なかったこと」にしていた事実は、「情報操作」と非難されても仕方なく、虚偽の大量破壊兵器(WMD)情報をかざしながらイラク戦争に突き進んだブッシュ前米政権の大失態をも想起させる。
民間の立場で調査を進める福島原発事故独立検証委員会が文書の取り扱いをめぐる経緯を調べているのも、そうした民主的な視点に根差しているからだ。ある委員会関係者は「不都合な情報を握りつぶしていたのではないか」と指摘する。
昨年末に中間報告をまとめた政府の事故調査・検証委員会が「最悪シナリオ」に切り込めていないのも問題だ。政府は民間の事故調査を待つことなく、自らが経緯を明らかにすべきだ。
URL:http://www.47news.jp/47topics/e/224789.php
この記事へのコメント
とおる
管首相は、「民主主義とは、期限を区切った独裁」と言っても、マスコミから軽く聞き流されて(これが、自民党の安倍首相が在任中に発言していれば、相当なバッシングが有ったでしょうに)見逃されていましたが、「議事録を作成しない」というのは、「国民への説明責任は不要。オープンにする必要も無い」という事です。これは、独裁の一歩手前にある危険な状態。
その独裁一歩手前の重要閣僚であり、未だに議事録を作成して無い野田政権の消費税増税に、マスコミは大騒ぎで賛成プロパガンダをしている異様な日本の政権・マスコミ業界。
八目山人
横路が知事になったら、組合が全く批判しなくなって、北海道がとんでもないことになりました。私は民主党が与党になったら同じ事が起きると予想していました。
日本の国民は言論統制や言論封殺に弱いのではなく、プロパガンダに弱いのだと思います。
よくブログの書き込みにあるのは、「父に従軍慰安婦というのは云々・・と説明しても、それは日本の側が言っていることで相手の考えは違う考えなんじゃないか、という言葉が返ってきた。」というやつです。国民は知っているのです。知っていながら洗脳状態にあるのです。
ジャパンデビュー訴訟やフジデモが報道されても、ニュースとして一回さらっと流しただけなら、何の影響も無いと見ます。
日本人が洗脳に弱いのは、オレオレ詐欺が日本にしかないことで実証されています。
ちび・むぎ・みみ・はな
革命のためには社会を個別の人間の集合に
還元しなければならないからだ.
実際には今までもマスメディアにおける
社会主義勢力による統制が行なわれてきている.
今までの自民党政権に対する攻撃は基本的にこれ.
今は政府が社会主義になったものだから,
官僚までが堂々と社会主義思想を開陳し始めた.
こんな時, 保守的メディアが必要なのだが,
インターネットにはそこまでの任は重い.
何故なら, ネットでは情報が錯綜し易いから.
この点, テレビの影響力は大きい.
チャンネル桜を皆で育てていくのが良かろう.
世相を斬る
今も福島原発事故で日本が首の皮一枚で薄氷を踏む毎日なのに、日々報道し続けない。
あえてブレーキさえかけているテレビ状況です。
テレビ報道には裏から手がのびたとしても、最近大変懸念していることは、インターネット個人ブログまで、検閲がはいり、アメーバのブログなど、福島原発事故状況の真実をつたえるブログなどには停止の圧力がかかっているようなのです。
ここまで言論統制に踏み込む事態は、異常であり、水面下での言論封殺には、恐ろしいものを感じています。
よほど、内容が当たっており、国民の関心をそらしたい連中には、困ることなのでしょう。
これでは、戦時中の日本とおなじです。
こちらのブログも圧力には屈しないでいただきたい。
否応なく停止させられる場合もあるようなので、ご注意あれ。
今の日本の統治機構は、むちゃくちゃだと思います。