1月13日、野田首相は閣僚5人を交代させる内閣改造を行った。
先に参院問責を受けた一川、山岡両氏と中川文科相、平岡法相、蓮舫行政刷新担当相が退任、代わりに田中直紀防衛相、松原仁消費者相兼国家公安委員長、平野博文文科相、小川敏夫法相、そして、岡田克也副総理兼税と社会保障一体改革・行政改革担当相という布陣となった。
問責を受けた一川、山岡両氏については、 「問責可決と適材適所」 のエントリーでも触れたように、筆者は、なんだかんだいっても交代せざるを得ないと見ていたから、特段驚きはない。
今回の内閣改造は、岡田氏の入閣が目玉だと言われている。それは、与野党協議を進めるため。野田首相は会見で、岡田氏の起用について「行政改革、政治改革、社会保障と税の一体改革を着実に推進するための最善かつ最強の布陣をつくるためだ」としている。
確かに、岡田氏は前の菅政権の時代、民主党幹事長として自民、公明両党との3党協議を重ね、子ども手当など民主党マニフェストに基づくばらまきの見直しの合意や、特例公債法を成立させたという実績があり、野田首相もそれを評価したということなのだろう。
だけど、それはあくまでも3党合意レベルの話であって、それが民主党内をきっちりとまとめた上でのものとは必ずしも言えない。
以前「ビラと連立」のエントリーで触れたけれど、昨年の8月、子ども手当を止めて、児童手当を復活させるとの3党合意をしたにも関わらず、広報委員長を務める藤本祐司参院議員の指示で、「誤解しないでください 『子ども手当』存続します」と書いたビラ約35万枚を全国の総支部に配ったことがあった。
結局、この件で、当時幹事長だった岡田氏が、自民、公明両党の幹事長に電話で「出すぎたまねをした」と陳謝することになったのだけれど、3党合意しても、足元からそれを引っくり返す動きがあった。
消費税増税にしても、民主党内で小沢氏を中心として消費税増税に反対する勢力があるし、離党して新党を結成した議員も出した。このまま消費税増税で中央突破を図ったら、党内の亀裂が益々深刻にならないとも限らない。
仮に今後、消費税増税法案に向けて、3党合意に漕ぎ着けたとしても、また、"子ども手当存続しますビラ"のように、ちゃぶ台返しされたら堪らない。今回の消費税増税は、ビラなんぞとはレベルが違う。
だから、その意味ではしっかりと党内を纏めてから国会に法案を出せと野党が主張するのは一理ある。昨年末に政府税調が増税法案の素案を纏めているけれど、これがどこまで、民主党内を纏めた上でのものなのかが問われるということ。
足元がフラフラなのに、頭上にブロックを積み上げても、いずれ崩れてしまう。
今回の改造内閣は、増税シフトに重きをおいたものと言われているけれど、筆者は、一見そのように見えて、実際は野田首相の負担が増えたとみている。
それは、先にも述べたように、より党内の圧力に対応しなければならなくなったから。去年の政府税調の増税法案取り纏めにしても、最後は野田首相が税調総会に9時間出席して自ら説得にあたっていた。それで党内が意見集約されていればいいけれど、現状はそのようにはちょっと見えない。
永田町に伝わる有名な法則として、「青木の法則」と呼ばれるものがある。これは、自民党政権下で永らく"参院のドン"として君臨し、一昨年引退した青木幹雄元参院議員会長が唱えた説で、ある条件を満たすと政権が瓦解するというもの。それは次の二つ。
1.退陣の法則 :内閣支持率+与党第1党支持率 < 50%
2.安定政権の法則:内閣支持率+党内首相支持率 =100%
1についていえば、時事通信が今月6~9日に実施した世論調査で、野田内閣の支持率は28.4%に下落し、不支持率は48.3%に上昇している。また、民主党の政党支持率は11.6%になっているから、合わせても40%と50%を割り込んでいる。
また、2についてみても、党内支持率が100%から内閣支持率である28.4%を引いた71.6%もあるとは思えない。党内で7割も支持があれば、離党者なんて出ないだろう。だから、青木の法則が民主党政権に対しても成り立つのであれば、野田政権の先行きは長くないことになる。
尤も、これは内閣改造前の世論調査だから、今回の改造でどこまで支持率が回復するのかしないのかで状況は変わってくるだろうけれど、岡田氏の入閣について、小沢グループからの反発が強いというから、少なくとも2については、内閣支持率がちょっとやそっと回復した程度では100%を超えてくることはないと思われる。
不安定な野田内閣。ブロックはいくつまで積み上げられるのか。
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この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
というのが唯一の得点だね.
副総理はかつての米公認の最低の外務大臣.
勢力も持たず, 意見を聞く能力のない人.
評価以前.