世論調査による世論誘導
今日は簡単に…
1月7日から9日にかけて、NHKが行った世論調査で、野田内閣の支持率は30%、不支持率は49%との結果となった。これは、先日、共同通信が行った世論調査の結果である支持率35.7%、不支持率50.5%に近く、現状がおおよそこのあたりのあることを伺わせる。
そして、消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げるとしていることについては、「賛成」が26%、「反対」が38%、「どちらともいえない」が33%とほぼ3等分の結果となり、さらに、議員定数削減や公務員の総人件費削減と消費税率の引き上げとの関係をどう考えるかとの質問に「議員定数削減などにかかわらず引き上げるべきだ」が9%、「議員定数削減などが行われない限り、引き上げるべきでない」が71%、「議員定数削減などにかかわらず、引き上げるべきでない」が14%となった。
ここで、ひとつ注意すべき点がある。それは、消費税増税の可否の質問の後に、さらっと、議員定数削減や公務員の総人件費削減と消費税率の引き上げとの関係と称して、"削減するなら消費税増税してもよいかどうか"を質問していること。
普通に読んでいるだけだと軽く流してしまうかもしれないけれど、これは世論誘導になりかねない質問。なぜなら、消費税率引き上げとの関係を考える項目として、何故、"議員定数削減や公務員の総人件費削減"なのかを示していないから。
消費税率の引き上げとの関係を問うのであれば、、「景気の回復状況」であるとか、「GDP成長率」なんかとの関係で考えたって全然おかしくない。景気が回復したり、GDPが拡大すれば税収は増えるのだから、そのとき、消費税の在り方を考えるというやり方だってある。
実際、年金についていえば、68歳以降の既裁定者は物価変動率を基準として、それぞれ毎年度の受給額を改定するのが基本的ルールになっている。つまり、景気が良くなれば受取額は増え、悪くなれば減るという景気連動型の仕組みになっている。
だから、消費税だって、景気に連動して税率が変わったり、実施時期をずらしたりするという考えだってあるはずなのに、そうしたことに触れずに、議員定数や人件費を減らすかどうかだけで、消費税を上げる上げないを質問するのは、ちょっとフェアじゃない。
まぁ、実際の世論調査では、これ以外の項目と消費税率引き上げとの関係を質問したのかもしれないけれど、紙面に載らない限り、読者はそれを知る由もない。
事実、2009年度の税制改正法の付則104条では改正には、景気回復に向けた集中的な取組により経済状況が好転することが前提になっている。
だから、本来はこの世論調査の質問は、"政府の景気回復に向けた集中的な取組と消費税率の引き上げとの関係"を問うべきで、「景気回復に関わらず引き上げるべきだ」「景気回復しない限り引き上げるべきでない」「景気回復に関わらず引き上げるべきでない」という3択になる筈。
それがいつの間にか、「議員定数削減などが行われない限り、引き上げるべきでない」が71%と、まるで、議員定数削減や公務員の総人件費削減さえすれば、消費税引き上げをしても構わないというものにすり替わっている。
筆者は「2012年は大変な年」のエントリーで、この問題に触れて、公務員人件費や議員定数削減法案がいつ提出され、国会を通過するかどうかのほうがポイントになると述べているけれど、その意味では、今回のNHKの世論調査は、その片棒を担ぐというか、地ならし的な役割を負っていると言える。
これを狙ってやっているとしたら、実に巧妙な誘導であり、気をつけなければいけない点だと思う。
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野田内閣支持率 4か月で半減 1月10日 19時19分
NHKが行った世論調査によりますと、野田内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より7ポイント下がって30%でした。野田内閣の支持率は、発足から4か月で半減しました。
NHKは、今月7日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で、世論調査を行いました。調査の対象となったのは1653人で、65%に当たる1068人から回答を得ました。それによりますと、野田内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より7ポイント下がって30%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は、7ポイント上がって49%でした。野田内閣の支持率は、発足直後の60%から4か月で半減しました。支持する理由では、▽「他の内閣より良さそうだから」が42%、▽「人柄が信頼できるから」が27%だったのに対し、支持しない理由では、▽「政策に期待が持てないから」が45%、▽「実行力がないから」が27%などとなっています。次に、政府・与党が社会保障制度と税の一体改革の素案を決定したことに対する評価を尋ねたところ、▽「大いに評価する」が5%、▽「ある程度評価する」が41%、▽「あまり評価しない」が31%、▽「まったく評価しない」が18%でした。一体改革の素案で、消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げるとしていることについては、▽「賛成」が26%、▽「反対」が38%、▽「どちらともいえない」が33%でした。さらに、議員定数削減や公務員の総人件費削減と消費税率の引き上げとの関係をどう考えるか聞いたところ、▽「議員定数削減などにかかわらず引き上げるべきだ」が9%、▽「議員定数削減などが行われない限り、引き上げるべきでない」が71%、▽「議員定数削減などにかかわらず、引き上げるべきでない」が14%でした。次に、参議院で問責決議が可決された一川防衛大臣と山岡消費者担当大臣を交代させるべきだと思うか尋ねたところ、▽「交代させるべきだ」が40%、▽「交代させる必要はない」が13%、▽「どちらともいえない」が38%でした。また、理念や政策によって政党の枠組みが変わる「政界再編」が起きることを期待するか聞いたところ、▽「大いに期待する」が18%、▽「ある程度期待する」が34%、▽「あまり期待しない」が31%、▽「まったく期待しない」が11%でした。そして、衆議院の解散・総選挙の時期については、▽「できるだけ早く行うべきだ」が15%、▽「新年度予算案の成立後すみやかに行うべきだ」が18%、▽「通常国会の会期末までに行うべきだ」が10%、▽「国会閉会後、年内には行うべきだ」が15%、▽「任期が満了する来年夏頃まで行う必要はない」が31%でした。
URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120110/t10015170591000.html
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
前から分かっている. しかし, それは彼ら
の思想から来ていることは分かっているから
別段不思議はなかったが, こんなことも
やっているとすれば, 嘘付党政権になってから
日本は官庁も含めてもう立派に某略国家に
なったということか. 嘘付党政権は腐ったリンゴ.
存在するだけで皆が同じ臭いを出すようになる.
とおる
野田首相が、チャーチル首相を真似て、「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー・ギブ・アップ」と発言しても、チャーチル首相の「Never Give In」()http://gurigurimomonga.blogspot.com/2012/01/blog-post_08.htmにはダンマリ。