5割を超えた野田内閣不支持率

 
「僕は、本当の世論は大新聞の世論調査結果よりもはるかに厳しいと思っています。それを国会議員たちは実感して国会に帰ってくる。…現実はもっと厳しいから、ほとんど支持者がいない状況です。そんな時に選挙になったら、民主党はほぼ全滅ですよ。かといって、自民党も過半数を得られない。今年は選挙の年になるとみていますが、このままでは、自民も民主も安定した政権をつくれません」
小沢一郎 於 1月7日 日刊ゲンダイ


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内閣支持率が下げ止まらない。

12月7、8日に共同通信が実施した全国電話世論調査によると、野田内閣の支持率は35.7%と昨年12月の前回調査より8.9ポイント減少し、不支持率は10.2ポイント増の50.5%となった。

また、消費税増税に絡んだ、社会保障と税の一体改革についても、野田首相が国民に十分「説明していない」との回答が計74.4%に上り、消費税率素案に賛成は45.6%、反対は52.9%と反対が上回った。

野田政権が発足した当初の9月2、3日の世論調査では、支持率は62.8%、不支持率は18.1%だったから、僅か3ヵ月で支持率は半減。不支持率は3倍近くにまで跳ね上がったことになる。特に、不支持は自分の意思として"支持しない"ということだから、不支持率が5割を超えたというのは結構深刻。

尤も、政権終盤には不支持が7割を超えた菅政権には及ぶべくもないけれども、TPPに続いて、社会保障と税の一体改革についても説明不足だと感じている国民が7割を超えている以上、このまま増税路線でいっても、支持率が下がりこそすれ、上がることは考えにくい。

そんな折、仙谷政調会長代行は8日のフジテレビ番組で、通常国会で消費税増税関連法案が否決されたら、増税を争点にした衆院解散に打って出ることを検討すべきだとの考えを述べた。

菅政権の時には、どんなに支持率が下がっても、"解散はない"とあれほど突っ張っていた仙谷氏がここにきて、「そのくらいの気迫を持って好戦的に行かなければいけない」と衆院解散を口にするということは、このままではどうにもならないと自覚しているということ。

その証拠に、同じフジテレビの番組で、税と社会保障の一体改革実現のために、自民党との大連立の可能性を問われると「今の段階でも連立協議をしてもらえるなら喜んで明日からでもしたい。時代状況がそれを要求している」と答えている。



要するに、時間が経てば経つほど、民主党が不利になってゆくという読みがあるのだろう。仮に、3月に増税法案を提出したとしても、野党はもとより、小沢グループを中心とした党内の猛反発も予想される。

こうなると、法案成立どころか、 逆に内閣不信任案が提出される恐れすらある。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏によれば、小沢氏は3月にも70人規模で新党を立ち上げて、野田首相に引導を渡す決意を固めているという。

小沢グループは昨年末に「新しい政策研究会」を結成して、100人以上の議員を集めたけれど、もしも、内閣不信任案が提出された場合、それに賛成する造反議員は70人前後いるという。70人も造反されてしまったら、不信任案は可決する。可決した場合、彼らは離党、新党へと動くことになる。

そうなってしまうと、野田首相は完全に追い込まれてしまう。70人も離党したら、衆院過半数を割り込む可能性はかなり高いから、仮に総辞職して、民主党の新代表を選出したとしても、彼が国会で首班指名される保証はない。

従って、消費税増税を掲げて解散総選挙に打って出るしかなくなってしまうのだけれど、そこまで追い込まれてしまってからでは、民主党は壊滅的打撃を受ける。

仙谷氏が「そのくらいの気迫を持って好戦的に行かなければいけない」と解散を口にするのも、内閣不信任案を出される前に解散総選挙に打って出たほうが、まだ望みがあるとみているのだろう。

昨日のエントリー「追いつめられてからリアクションする首相」で、筆者は野田首相は、追いつめられてからようやく動き出すため、タイミングが1テンポ、2テンポ遅れているといったけれど、解散についても、追い込まれての自爆解散になるような気がしている。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > かといって、自民党も過半数を得られない。
    > ...
    > 自民も民主も安定した政権をつくれません

    さすが選挙のプロ.

    仙谷氏の強気には戦略の決まらない自民党の現状あり.
    消費税増税は必要だ, 一体改革も必要だ, と言って
    いるのでは嘘付党と変わらん. むしろ, 財政健全化
    の分だけ経済界には厳しく感じられるかも知れない.
    このまま選挙に突入すれば, ドブ板選挙の泥試合が
    全国で繰り広げられ, 財テク選挙プロ氏の言う通り.

    自民党は長期戦略と中期戦略, 短期戦略という経済
    回復キャンペーンをどうして考えられないのか.
    キャンペーンを通して戦えずに敗北した大東亜戦争を
    忘れたのか. (忘れたのだろうね.)

    もし選挙があるなら, この数年で行なうべきことが
    選挙の争点だろう. どんな政党でも多様な意見がある
    から絞り込むのは難しいが, 自民党の最大の問題は,
    執行部の思想が嘘付党とさほど変わらんと言うこと.
    仙谷氏からはそれがはっきりと分かるのだろう.
    2015年08月10日 15:26

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