1月4日、先日、民主党に離党届を出した衆院議員9名は、1月4日、総務省に「新党きづな」の結成を届け出た。
1.新党きづな
「新党きづな」の党代表は内山晃元総務政務官が務め、幹事長に渡辺浩一郎氏、幹事長代行兼政調会長に斎藤恭紀氏、国会対策委員長には豊田潤多郎氏が就任した。
代表の内山氏は記者会見で、党名について「国民との約束を守ることは『絆』を守ることに通じる」と説明。党としては、震災復興やデフレ脱却に全力で取り組み、民主党から新たな離党者が出た場合にも、前向きに受け入れる考えだという。新党「大地・真民主党」や、民主党の小沢一郎元代表グループとの連携については答えを避けた。
厳密にいえば、「新党きづな」の9名は、民主党の離党届を出しただけで、まだ正式に民主党を離党できたわけじゃない。この段階で新党を結成しても認められるのかどうか分からないけれど、一応、4日に届出はしているから、「新党きづな」が正式に認められれば、政党交付金が貰える可能性はある。
一部新聞では、新党結成を急いだことについて「政党交付金目当て」だと報じていたけれど、内山氏は「当然の活動費としてしっかり政党交付金を活用して、国民の豊かな生活を目指す政治をさせていただく」と明言した。
政党交付金については、既に法で認められていることで特段問題があるわけじゃないし、何よりただで政治活動はできない。要は貰った政党交付金の額以上の働きをしてくれればよいだけの話。
仮に政党交付金として「新党きづな」が10億貰ったとしても、「きづな」の議員の働きで10億円以上の無駄の削減なり、経済効果が果たされるのならば、払う価値がある。
もしも「きづな」にそれくらいの力があるのなら、きづなにも陳情にくる団体や人もあるだろう。
だけど、いや、だからこそ、これから「新党きづな」は党としての実力を問われることになる。つまり、政策立案能力や国会質疑など、陳情するに足る政党であるのかを厳しく問われるようになる。
衆院議員が9名所属する「新党きづな」は、民主・自民・公明に次いで、共産党と肩を並べる第4勢力。みんなの党の5名より多い政党になっているから、国会でも代表質問などの時間が与えられる可能性がある。だから、国会の場で「新党きづな」の力がいかほどのものかが明らかになる。
「橋下大阪市長と首相公選制」のエントリーで触れたけれど、民主党議員に陳情なり要請なりをしても、「分かった」と返事だけはよいものの、実際は何も進まないという。そんな民主党に所属していた「新党きづな」の議員の政策立案および実現能力は未知数といっていい。
しかも、「新党きづな」の議員の殆どは、先の総選挙では民主党比例選出の当選1~2回の議員ばかり。こんな状態で、議席数こそ共産党と同じではあるけれど、果たして国会の場で共産党並みの存在感を発揮できるのか。
2.実より名を求める人達
次期総選挙に向けて、各党が準備に入っているけれど、民主や自民など既成政党は、先日の大阪ダブル選挙で圧勝し、勢いに乗る「大阪維新の会」に色目を使い、連携を取りたがっている。
だけど、そう簡単に問屋は降ろさない。連携を取るのなら、それなりの見返りが要る。
「大阪維新の会」は"大阪都構想"を進めているけれど、その実現に必要な法改正については、みんなの党が案をまとめ、自民党も準備を進めている。だけど、肝心の与党である民主党はというと、大阪府の松井一郎知事によれば、「人によって温度差を感じる。手応えはあまりない」という状況のようで、印象は良くない。
「大阪維新の会」は、法改正に賛同が得られない場合、次期衆院選で自前の候補を擁立する方針を示しているから、民主党が何もしないと、場合によっては、民主党に対立候補が出されてしまうかもしれない。
要するに、民主党の政策立案能力や政策実現能力の無さが仇となってしまってる。
「週刊ポスト」2011年12月16日号に掲載されている「覆面官僚座談会」によれば、総務省のあるベテラン官僚は、橋下大阪市長について次のように語っている
「官僚にとって厄介なのは、彼が名より実を求めることだ。大阪の地域行政に実権があるのは府知事ではなく大阪市長だとわかると、リスクを取ってすぐに転身を図った。わが省の連中は大阪都構想や教育基本条例など橋下氏の政策の細かな不備を突こうとしているが、的外れだろう。彼は間違いとわかれば大胆な修正を厭わないはずだ。勢いのある政治家の周りには人も知恵も集まるから、政策の修正など簡単にできる。実より名を求める民主党の政治家の方がやりやすい。総理や民主党の若手リーダーたちよりよほど手強い」「週刊ポスト」2011年12月16日号「覆面官僚座談会」より
とまぁ、はっきりと、民主党の政治家は"実より名を求める"タイプでやり易いと指摘されている。民主党の政治家が、実より名を求めるのであれば、簡単な話、政策の中身という"実"はすべて官僚に任せて作らせて、自分達はその法案を国会に提出したという"名"だけを取ればいい。官僚の操り人形になるだけで、"名"は得られる。
だけど、今や民主党は、その"名"ですら、総選挙マニフェストの全撤回で消えようとしている。
名実共に正統性を失った政党に明日はない。
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新党きづな結成、衆院第4勢力に 議員9人が参加
昨年末に民主党に離党届を出した内山晃元総務政務官は4日、総務省に「新党きづな」の結成を届け出た。代表の内山氏を含め、衆院議員9人が参加し、政党交付金の対象となった。衆院では共産党と並ぶ第4勢力になる。基本政策として、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加反対や脱原発、デフレ下での増税反対などを打ち出した。
会見した内山氏は「国民との約束を守ることは国民との絆を守ることに通じる」と指摘。2009年衆院選で民主党が掲げた政権公約の実現を政策の柱に据え、郵政改革法案の成立もめざす。「野党として、政策は是々非々でやっていく」とも語り、野田政権との対決姿勢を鮮明にした。
メンバー9人中8人が消費増税に慎重な小沢一郎民主党元代表のグループ出身。鈴木宗男前衆院議員が結党した大地・真民主党とともに、民主党を離党する議員の受け皿となる可能性がある。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0104/TKY201201040283.html
大阪府知事、都構想の法改正「通常国会で成立を」 2012/1/4 13:28
大阪府の松井一郎知事は4日の記者会見で、府と大阪市を再編する新たな大都市制度「大阪都」の実現に必要な法改正を巡る民主党の対応について「人によって(協力姿勢の)温度差を感じる。手応えはあまりない」と述べた。法改正についてはみんなの党が案をまとめ、自民党も準備を進めており、知事は「通常国会で成立させてもらいたい」と期待を寄せた。
ただ、法案の成立には衆院で過半数を占める民主党の協力が欠かせない。知事が幹事長を務める地域政党「大阪維新の会」は、法改正に賛同が得られない場合、次期衆院選で自前の候補を擁立する方針を示している。
知事は「どういう数ならば過半数で成立するのかを考えながら、賛成していただく既存政党の候補の支援と、独自候補を考えなければならない」と述べ、自民党やみんなの党とも連携し次期衆院選に臨む考えを示唆した。
会見に先立つ職員向けの年頭あいさつでは「(大阪市の)橋下徹市長とタッグを組み(2011年末に発足した)府市統合本部で活発に議論しながら、新たな大都市制度に向けた協議会の準備など、山積する課題にスピード感をもって精力的に取り組む」と述べた。
府市統合本部には府と市の職員25人が参加している。松井知事は「市職員とはこれまでにない新たな絆の下で、大阪の明日を切り開く思いを共有し、各部局同士が大いに議論しながら前に進んでほしい」と強調した。
URL:http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819A91E2E6E2E3868DE2E6E2E3E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;at=ALL
大胆な修正厭わぬ橋下氏に「それは潰し甲斐ある」と財務官僚 2011年12月06日16時00分 提供:NEWSポストセブン
ジャーナリスト・武冨薫氏の司会&レポートによる本誌伝統企画「覆面官僚座談会」。橋下徹氏率いる「大阪維新の会」が勝利した大阪のW選挙について官僚はどう考えたのか?
* * *
常軌を逸したメディアのネガティブ・キャンペーンをはねのけて大阪選挙に圧勝した橋下徹・大阪市長の勝利宣言は、真っ先に官僚に向けられた。
「市役所の職員は政治に踏み込みすぎだ」
そのうえで今選挙の意味を明快に総括して見せた。
「民意が役所の主張ではなく、われわれを選んだ」
戦後、旧内務官僚がつくった地方自治制度は、「自治」とは名ばかりで、中央集権を強化するシステムだった。現在も全知事の4分の3にあたる34人を官僚出身者で占めている。中央政府が知事を任命した戦前の“官選知事”の時代に逆戻りしたかのようだ。
野田政権の「官僚支配」が日本の地方自治に露骨に現われているのである。大阪W選挙では役人たちが民主、自民という既成政党を操って橋下氏を「独裁者」と批判した。しかし、有権者は、政治的に中立で民に奉仕すべき公務員が政治の領域に介入する姿勢こそ越権だと見抜いた。
それゆえに、W選挙の結果は一地方にとどまらず、中央政界を震撼させ、国のありかたの根幹を揺るがす。
前回の座談会では、官僚たちは「官僚主導政治」に対する国民の怒りを怖れる本音をのぞかせた。「大阪の乱」でそれがついに現実のものとなった。
総務省のベテランC氏が即座に応じた。
「最初は橋下氏をしょせんトリックスターだろうと見ていた。今春の統一地方選では、古色蒼然たる保守系の地方議員に『大阪維新の会』というたすき一本を掛けさせるだけで府議会過半数の地方政党を立ち上げた。そこまでは追い風の勢いだ。
だが、市議選でも第一党を得ながら、過半数に届かないと敗北を宣言して他党に協力を呼びかけたことで見方が変わった。政治経験が浅いのに、『政治は数』であり、1議席でも足りなければ負けなのだ、と割り切り、戦った相手との合意形成を求める現実政治家のしたたかさが垣間見えた」
「中央集権の本丸に乗り込まれた総務省のCさんから意外な言葉を聞く」と、経産省中堅B氏が割り込んで先を促した。C氏が続ける。
「官僚にとって厄介なのは、彼が名より実を求めることだ。大阪の地域行政に実権があるのは府知事ではなく大阪市長だとわかると、リスクを取ってすぐに転身を図った。わが省の連中は大阪都構想や教育基本条例など橋下氏の政策の細かな不備を突こうとしているが、的外れだろう。彼は間違いとわかれば大胆な修正を厭わないはずだ。勢いのある政治家の周りには人も知恵も集まるから、政策の修正など簡単にできる。実より名を求める民主党の政治家の方がやりやすい。総理や民主党の若手リーダーたちよりよほど手強い」
「それは潰し甲斐のある相手ですね」と語る財務省中堅A氏の目は笑っていない。
※週刊ポスト2011年12月16日号
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/6094555/
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
「大阪維新の会」伝々の話しだが,
4日の橋下大阪市長記者会見のビデオを見て変更.
新しいリーダというのはこういうものか.
彼には最終的には国政まで出て欲しいものだ.
それと, 何でも実際に見てみないといかんね.