政治の現状に満足していないと感じる人が増えている。
去年の12月17,18日に行なわれた日本世論調査会による「政治意識」に関する全国面接世論調査で、政治の現状に「全く満足していない」「あまり満足していない」と感じている人が合せて85%に上ることが、分かった。
また、今後について「悪い方向に進む」「どちらかといえば悪い方向に進む」との答えが合わせて65%になった上、政治のどこに問題点があるかという質問に対しては「政党・政治家」が63%でトップで、不満の理由が「政治家の力量不足」40%、「国民の意思が反映されていない」36%、「政局優先の国会」26%となっているから、民主党政権は、国民からはっきりと、力量不足かつ国民の声を聞かないという二重の駄目出しを食らってる。
自民党の谷垣総裁は、NHKのインタビューで、消費税率の引き上げについて、「野田総理大臣は『政治生命をかける』と言っているが、野党が協力しなければ法案は国会を通らない。野党が協力できる前提を政府・与党は作るべきで、われわれは国民に信を問い直せと言っている」と消費税増税法案を提出する前に衆議院の解散・総選挙を行うべきだという考えを強調し、今年は民主党を追い込んでいく『政治決戦』の年と位置付けた。
また、公明党の山口代表も都内で街頭演説を行い、今月24日召集予定の通常国会での平成24年度予算案について、3党協議で農業の戸別所得補償制度や子ども手当を見直して予算に反映させる約束だったにもかかわらず、打ち切り予算を勝手に組んだとして、反対の意向を示している。更には、問責決議を受けた、一川、山岡両氏が更迭も辞任もせず閣僚のままであることから、「民主党政権に正当性はない。国民に信を問うべきだ」と早期解散を訴えている。
このように、消費税増税法案では、野党が対決姿勢を強めていることに加え、民主党税制調査会で、一応素案が纏まったととはいえ、党内の反対論は根強く、先日、内山晃衆院議員ら11人が、消費増税の党方針などに反発して、離党届を提出している。
今月2日には、野田首相が先月中旬に首相経験者をひそかに公邸に招いて、消費税増税関連法案が成立しなかった場合、衆院解散に踏み切る意向を伝えていたと伝えられている。これを聞いた首相経験者は「首相は本気だ。解散すれば民主党は分裂するかもしれないが、政界再編が進むならばそれでよい」と感じたそうなのだけれど、このタイミングでこんな大事なことが漏れてしまうこと自体、どうなのかと思ってしまう。
野田首相が首相経験者を招いたという、先月中旬が具体的に何日なのかは分からないけれど、一川、山岡両氏の参院問責決議が12月9日に可決しているから、野党が対決色を鮮明にしたのがこの時期。この時期に、消費税増税関連法案が成立しなかったら解散するなんて漏らしたことが野党に知られたら願ってもないこと、と益々野党は解散総選挙に向けて対立するに決まってる。
その意味では、野田首相が招いた首相経験者が誰なのかというのがポイントになると思うのだけれど、"解散すれば民主党は分裂するかもしれないが、政界再編が進むならばそれでよい"という感想が本当のなのであれば、民主党の首相経験者である可能性は低いと思う。
鳩山元首相では、自分がオーナーでいる積りの民主党が壊されることに唯々諾々としているとは思えないし、菅前首相にしても、去年6月の内閣不信任案に絡んだ偽装辞任騒動のときの鳩山元首相との覚書の一番が民主党を壊さないこと、二番が自民に政権を渡さないことだった。だから両氏が民主党が分裂しても政界再編を望んでいるとは考えにくい。
もしも、野田首相に招かれた首相経験者が民主党以外だとすると、その情報はすでに野党には伝わっている筈で、畢竟、総選挙準備モードになって行かざるを得ない。
既に、自民党は、246の小選挙区で支部長を決定し、選挙協力を継続する公明党が擁立予定の9選挙区を除いた空白区のうち約30でも選任の目途を立てており、同時に「自民党ならどうするのかを発信しなければならない」と景気対策を中心とした公約づくりにも本腰を入れる意向でいる。
公明党は去年11月に前回の衆議院選挙で全敗した8つの小選挙区に北海道10区を加えた9つの小選挙区の公認候補を決め、次の衆議院選挙でも自民党との選挙協力を継続する方針を固めている。
また、みんなの党は、、二大政党に対抗する「第三極」を狙って、「大阪維新の会」と連携して、選挙区と比例で計100人超を擁立する方針だという。
このように、永田町では総選挙への準備が進んでいる。
政府が先月24日に閣議決定した2012年度の一般会計予算案では、基礎年金の国庫負担率引き上げに必要な財源2.6兆円を年金交付国債で手当てする方針なのだけれど、この国債の償還財源は、消費税引き上げによる税収増を当て込んでいる。
だから、消費税増税法案が通らなければ、来年度の予算も見直さなければならなくなるという背水の陣のような予算案になっているともいえる。これで国会をどう乗り切っていくつもりのなのか。仮に、何か強烈な隠し玉でも持っていたとしても、国民にそれを分かるようにしっかりと伝えられなければ意味がない。
波乱の国会の幕開けが近づいている。


野田佳彦首相が先月中旬、自らの指南役である首相経験者をひそかに首相公邸に招き、消費税増税関連法案が成立しなかった場合、衆院解散に踏み切る意向を伝えていたことが2日、分かった。複数の首相周辺が明らかにした。
首相は、消費税増税に向け「不退転の決意」を表明しており、3月に関連法案を閣議決定し、通常国会で成立を期す構えだが、衆参ねじれに加え、民主党に反対論が強く成立は困難な情勢。首相は解散権を振りかざすことで事態を打開したいようだが、早期解散にかじを切った自民、公明両党の協力を得るのは難しく、3月にも政権は重大な局面を迎える公算が大きい。
首相は首相経験者との会談で「首相の座に延々ととどまり続ける気は毛頭ない。ただ、消費税率の引き上げは任期中に必ず成し遂げたい」と強調。「もし不成立となった場合は総辞職をすることはない。衆院解散・総選挙で国民の信を問いたい」と語ったという。
これを聞いた首相経験者は「首相は本気だ。解散すれば民主党は分裂するかもしれないが、政界再編が進むならばそれでよい」と感じたという。
消費税増税をめぐり、政府は先月30日、消費税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%と2段階で引き上げることを柱にした社会保障と税の一体改革大綱素案を決めた。
ただ、民主党内で小沢一郎元代表に近い勢力が「消費税増税はマニフェスト違反」と反発しており、強引に法案提出に踏み切れば離党者がさらに増え、採決で大量造反を招きかねない。
一方、首相は2日放送の政府広報ラジオ番組で「国民に負担をお願いする以上、政府だけのそろばん勘定だと思われぬように、きちっと説得をしないといけない」と強調。「行政改革もしないといけない。議員定数削減も不退転の決意でやる」と語った。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120103/plc12010309230005-n1.htm
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
これは自民党にとっても良くない.
自民党の主張は「民主党はマニフェスト破り」.
しかし, そんな事は国民も良く分かっている.
その上で消費税はどうなるか, TPPはどうなるか,
災害復興とインフラ整備はどうなるかを見ている.
そもそも, 政党への不信感を招いたのは自民党.
谷垣総裁はそこが分かっていない.
もしくは, そこを改善できない.
何故なら, 心情的には小泉・福田だから.
消費税とTPPを争点にできないとすると
自民党の大勝は望めず, 政治は益々流動化し,
国民の政治離れが拡大する.
何度でも書く:「全ては自民党にかかっている.」
(嘘付党なぞできの悪い「おまけ」みたいなもの.)
mayo5
人権擁護法案が通っていたらやるかも。
sdi
民主党内部では「総選挙があとになるほど選挙後の民主党の議席は減るからとっとと解散」VS「総選挙後野党決定なら今のうちに好きなことをやろーぜ」のせめぎ合いです。
私個人としては「半殺しは愚策。やるからにはきっちり止めまで」のほうに賛成です。民主党側としては止めを刺されたくないから「消費税増税&社会保障改革」のシングルイシュー選挙で、なんとか与党にとどまりたいのでしょうね。