今日のエントリーは今年についての雑談を…。
もう、既に色んな方が指摘していると思いますけれども、2012年は去年以上に大変な年になると思いますね。
昨年末、民主党税制調査会は消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%とする案を提示して了承されましたけれども、最後には野田首相も議論に加わって議論しました。野田首相は増税反対派に対して、消費税率引き上げ関連法案提出のお尻は3月と決まっている、と言ったそうですけれども、元々これは、2009年度の税制改正法の付則104条に「平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずる」とあるのを根拠にしていると思われるのですね。
ところが、この付則104条には、「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提」と記されていて、更に当時(2009.2)の予算委員会で、2011年までには法律だけはつくっておくが、具体的にスタートするのは別の判断だ」としているのですね。
けれども、現政権は景気回復に向けた集中的な取組もしていない上に、増税時期について2014年に8%、2015年に10%といきなり出してきて、その判断となる根拠について何も説明していません。
法案提出の根拠に付則104条を使っておきながら、附則104条に規定している前提を守らず、実施時期の根拠も示さないのは、どうかと思います。
尤も、今回の法案には、増税慎重派議員との妥協策として「公務員人件費や議員定数の削減を実施したうえで、消費増税を実施する」、「経済状況を総合的に勘案したうえで、引き上げの停止を含める」などの文言が盛り込まれていますので、これが、付則104条にある前提なのだという言い方も出来なくはありません、
けれども、このロジックに従えば、景気回復に向けた集中的な取組は、"公務員人件費や議員定数の削減"ということになってしまいます。筆者には、これが景気回復に向けた"集中的な取組"だとはとても思えません。
そして、引き上げの停止を含めるとした条件も、"経済状況を総合的に勘案"というまたどうとでもとれる表現ですから、これは実質あってないようなもの。つまり、結局は、公務員人件費や議員定数の削減が出来るか否かというのが最後の砦になる、或いはなってしまった、というわけです。
公務員人件費や議員定数の削減は、野党も世論も求めていることなので、こちらは法案として纏まれば国会を通る可能性があります。従って、こちらの法案と消費税率引き上げ関連法案が通ってしまうと、消費税の引き上げを阻む障害は全て取り除かれることになります。
ですから、消費税引き上げ法案について、国会やマスコミなどが騒ぐでしょうけれども、筆者としては、公務員人件費や議員定数削減法案がいつ提出され、国会を通過するかどうかのほうがポイントになるのではないかと見ています。
また、世界情勢も風雲急を告げています。まず、イランと北朝鮮がその筆頭に挙がるであろうことは異論のないことだと思いますけれども、昨年12月27日に、イランのラヒミ第1副大統領が、欧米がイラン産原油の禁輸に踏み切った場合ホルムズ海峡を封鎖する可能性に触れたことは、多少はブラフの要素があるとはいえ、世界中に緊張が走りました。
実際にイランがホルムズ海峡(最も狭いところで34キロある)に機雷を敷設してみたり、ミサイル攻撃を継続的に行うだけの能力があるか疑問なところもあるのですけれども、本当にやればアメリカも黙っていません。実際、この地域を担当するアメリカ第5艦隊はホルムズ海峡の通行を阻止する行為は容認しないと表明しています。
大統領選を控えたオバマ大統領としても、強気の姿勢は崩さないでしょう。ただ、大規模な戦争になるのかといえば、ちょっと分かりません。なぜなら、大規模軍事行動は、なんといっても戦費がバカにならないからです。
2008年にスティグリッツとリンダ・ビルムズはその著書で、アメリカのイラク戦争のコストは、当初ブッシュ政権が、戦争はすぐに終わり、イラクの石油を売却すれば戦費もごくわずかしかかからないと主張していたにも関わらず、アメリカに課される財政的・経済的コストの総額は約3兆ドルになるという試算を発表しています。
これは、直接の武器・人件費及び駐留費に加え、帰還兵への各種ケアや退役軍人の障害補償や将来の医療費、負傷した退役軍人を介護するために離職を余儀なくされる家族の収入の喪失、石油価格の値上がりによるマクロ経済的損失なども含めたトータルの額なのですけれども、3兆ドル(=230~240兆円)は半端な額ではありません。
もちろんイランと戦争になった場合、イラク戦争のように何年にも渡る駐留が必要になるとは限らないというのは、もちろんありますけれども、たとえ、3兆ドルの10分の1であっても、今のアメリカがそんな戦費を負担するのは大変だと思われます。
ただ、イランが軍事独裁国家とされていることを考えると、万が一イランと戦争になったとしても、表向きは無人機による空爆をしている間に、昨年、アメリカがオサマ・ビンラディンを特殊部隊の急襲によって殺害したように、特殊コマンドを送り込んで、イラン首脳部を殺害する、いわゆる"斬首戦略"で片をつけるかもしれません。
これだと、アメリカ兵の損耗も最低限で抑えられ、人件費や障害補償も安くあがります。そして、戦争経済によって、アメリカには不況脱出の可能性があります。
或いは、アメリカはそれを狙って、半ばわざと戦争を煽ることで、世界中にドルを買わせ、頃合いを見計らって、斬首戦略で片をつけ、後始末は国連に丸投げして自分は引っ込むとかそんなことを考えているかもしれません。
要するに、後始末を含む戦争に必要な戦費・経費と、イランとの戦争でもたらされる利益を天秤に掛けて、黒字になるのかどうかも戦争に踏み切るファクターになり得るということです。
同じことは、北朝鮮に対しても言えますけれども、いずれにせよ、正義の旗を掲げるための"口実"は必要になりますから、今後の情勢は予断を許さないと思いますね。
更には、戦争以外にも、ユーロの問題や中国のバブル崩壊などの要因もあります。下手をすれば、世界中がしっちゃかめっちゃかになる可能性すら考えられますから、日本もよほどしっかりしないといけない。国家運営能力に欠ける政権を長い目で見たあげるような、"悠長な時期"は、最早過ぎ去ったと考えるべきだと思います。

この記事へのコメント
日比野
明けましておめでとうございます。
>愛読しています。m(_ _)m
日頃のご愛顧ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
(^o^)風顛老人爺
愛読しています。m(_ _)m