言うだけ番長と歳入歳出の3パターン


言うだけ番長がまた…。

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1.「言うだけ番長」推参

2月23日、民主党の前原誠司政調会長が、定例の記者会見で産経新聞の記者を排除した。その理由は、産経新聞が記事内で前原氏のことを『言うだけ番長』と書いているからだそうで、前原氏曰く、「事実に基づかず、ペンの暴力の次元」なのだそうだ。

この産経記者の排除に対しては、複数の記者が抗議していて、前原氏のいう、"事実と反する"という具体的な記事の内容の説明を求めたのだけれど、前原氏は「私からは控える」と明確にしなかったという。

では、一体、誰なら控えずに答えてくれるのか。締め出しされた記者とて、いくら直したいと思っていても、何処が駄目なのかを具体的に指摘しないと、直しようがない。これでは、子どもが駄々を捏ねているのとあまり変わらない。大人の態度じゃない。

この件について、政治評論家の三宅久之氏は、「民主主義下で与党が批判されるのは健全な政治のために当然であり、それを謙虚に受け止めることなく、気に入らない者を排除することで自分の正当性を守ろうとする前原氏の対応は、政治家として幼稚としか言いようがない」と呆れている。

永田町でも、小川敏夫法相が、閣議後の記者会見で「一般論としては、報道が気に入らないから記者会見に来るなということは好ましくない」と述べているし、公明党の井上義久幹事長も「基本的にオープンにして行うのが記者会見ではないか。取材拒否はあまり良識的とはいえない」と述べ、その上で、「ぜひ良識的な報道をしてもらいたい」と加えている。

確かに、報道は時として行き過ぎることはあると思うけれど、そうであるならば、尚の事、それを指摘して善処を求めるべきであって、度重なる指摘にも関わらず、それでも直らないのであれば、名誉棄損でもなんでも提訴すればいいだけのこと。

2月22日、任天堂の岩田社長が、ツイッターで、「月曜日に電子版媒体で当社に対する不正確な報道がありました。」と、自社を批判する記事について「まるでゴシップ誌のような手法が採られていることに驚いている」と呟いていて、名指しこそしていないものの、「日経新聞」に掲載された記事をさしていると、ちょっと話題になっているけれど、批判された側としても、岩田社長が、何処が悪いか、何が悪いかを指摘しているから、善処のしようがある。

だから、前原氏のような気分の害したから取材拒否では駄目で、少なくとも何処がどう駄目なのかを指摘しないと、説得力に欠ける。

それに、政治家は公人。批判の一つ二つ、綽名の三つ四つなどあって当然。ましてや、民主党代表を務め、次期首相候補にも挙がる人ならば尚更のこと。



因みに、新聞記事だけではないけれど、歴代首相は何と呼ばれていたかをざっと挙げると次のとおり。
吉田茂・・ワンマン、和製チャーチル、白足袋宰相、馬鹿野郎解散
片山哲・・グズ哲          
芦田均・・イエスマン
鳩山一郎・・ぶた、アンパン、友愛馬鹿
石橋湛山・・心臓大臣
岸信介・・昭和の妖怪、A級戦犯、ファシスト、保守の権化、黒幕、CIAのスパイ
池田勇人・・暴言総理「貧乏人は麦を食え」
佐藤栄作・・佐藤無策、栄ちゃん、政界の団十郎
田中角栄・・角さん、目白の闇将軍、今太閤、コンピュータ付きブルドーザー、脱税犯
三木武夫・・議会の子、バルカン政治家、クリーン三木
福田赳夫・・昭和の黄門、明治38才
大平正芳・・鈍牛、あーうー宰相   
鈴木善幸・・暗愚の総理、棚ぼた総理
中曽根康弘・・バーコードヘッド、ヤス、刑務所の塀の上を歩く男、政界風見鶏、大勲位、田中曽根内閣
竹下登・・言語明瞭意味不明瞭  
宇野宗佑・・指三本、無能助べえ、買春総理
海部俊樹・・財布閉じき、水玉ネクタイ
宮沢喜一・・ヨーダ、ディスインテリ、増田明美  
細川護煕・・(バカ)殿
羽田孜・・鶴太郎、孜ちゃん、半袖  
村山富市・・眉毛、トンちゃん
橋本龍太郎・・オールバックの小学生、ポマード、龍様、橋龍
小渕恵三・・冷めたピザ、ブッチホン、凡人、平成おじさん
森善朗・・蜃気楼、サメの脳みそ-ゾウの身体-ノミの心臓-オットセイの下半身、買春総理、メタボ、キングメーカー
小泉純一郎・・強姦魔(自称結城純一郎)、アメポチ(土下座外交)、経団連の犬、聖域ある構造改悪、バカ殿、変人、平成無責任男、ファシスト、異形の宰相、芸者殺し野郎、DV亭主、Stupid、糸くず(のような目)、スネ夫、稲川会系小泉組三代目、小鼠
安倍晋三・・ミスター偽装、(統一教会)壷三、KY、血統書付のファシスト、下痢P総理、へタレウヨ
福田康夫・・ウータン、レイプ容認派、フフン、チンパン
麻生太郎・・(とてつもない)アホウ、阿呆太郎、ドキュソ、馬鹿太郎解散(まだー?)、麻生恐慌、ひょっとこ(タコ助)、池沼(自称外交の麻生,自称経済の麻生,自称英語の麻生)、Ass Hole、ローゼン閣下、漫画太郎、KY(Kanji Yomenai)、フロッピー麻生
鳩山由紀夫・・脱税王、宇宙人、ルーピー、鳩ポッポ、自愛(自称友愛)、(アホウドリの次は鳩じゃなく)サギ、裸踊り
菅直人・・イラ菅、お遍路、カイワレ、増税王、ダマ菅、トンチン菅

とまぁ、これに比べれば、『言うだけ番長』なんて可愛いものだと思うのだけれど、前原氏本人にはそうでもないらしい。

この辺りが橋下市長との差。橋下氏なら、何処が違うのか、何が駄目なのかを具体的に指摘して、徹底的に討論を挑むするだろう。それ以前に橋下氏は、大阪市長選で、マスコミこぞってのあの凄まじい反橋下キャンペーンに怯むことなく、真っ向勝負を挑み、そして勝った。

だから、前原氏には申し訳ないけれど、今回の件で、永田町界隈の前原氏の株は落ちたのではないかと思う。




2.過去の歳入歳出にみる3つのパターン

前原氏は、取材拒否を通告した産経新聞の記者に対して、「ことあるごとに『言うだけ番長』と書くのはなぜか」と聞いたそうだけれど、前原氏だって、ことあるごとにジミンガーを連発している。

2月24日、前原氏は、神奈川県茅ケ崎市内で講演し、自民、公明が消費増税をめぐる与野党協議に応じないことについて「1000兆円の借金の多くをつくったのは自公政権の時だ。協議にも応じてもらえないのは極めて残念だ」とまたしても、ジミンガー発言をしている。

まぁ、「1000兆円の借金の多くをつくったのは自公政権」であるのは事実だとしても、国家財政を預かる政権与党である限り、批判だけしていられる立場じゃない。

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上の図は、政府の一般会計における歳出・歳入の状況のグラフに筆者が一部追加編集したものなのだけれど、これをみると、筆者には、歳出・歳入は大きく3つのパターンに分かれているように見える。

ひとつは、昭和50年から平成2年頃までの、歳入歳出も共に増大している時期で、三木~海部政権まで。二つ目が平成3年から平成12年頃までの、歳出が増え、歳入が減るという所謂、政府の借金が増えている時期で、宮沢~森政権まで。三つ目が、歳入、歳出ともに増えも減りもしない、所謂、財政均衡の時期で、小泉~麻生政権まで。そして最後が、再び、歳出が増え、歳入が減る傾向がみえつつある時期で、鳩山~野田政権、つまり民主党政権。

このように、過去の政府財政には、歳入増+歳出増、歳入減+歳出増、歳入歳出増減なしの3つのパターンがある。

そして、これに消費税を導入した年を重ねると、消費税3%導入が平成元年で、5%になったのが平成9年。グラフを見ると、見事に消費税を導入してから、歳出が増え、歳入が減る傾向が見て取れる。

それに対して、小泉政権になってから、政府の借金は減らせなかったものの、歳入と歳出をともに増えも減りもさせず、現状維持させている。

消費税を導入、および消費税率を上げると、歳出が増え、歳入が減る傾向があることを考えると、小泉政権から麻生政権までの財政運営は、合格点とはいえないまでも、落第点ではないと言っていいように思う。

そして、民主党政権になって、また歳出が増え、歳入が減っているのだけど、消費税率が変わっていないから、これは民主党の政権運営能力の差が見えていると筆者には思える。

確かに、政権交代前後に、リーマンショックや、サブプライム等の世界的経済不況といった外部要因があるとはいえ、自民党政権時代にも、経済不況はあったし、景気循環があることくらいは国家運営を司るものなら常識の部類。だから、そんなのを言い訳にするのなら、政権与党にはつかない方がいい。

過去の歳入歳出の実績を見る限り、消費税率を上げると歳出が増え、歳入が減る、すなわち、政府の借金が増える方向への力がかかる可能性が高い。これは、野田首相が目指している財政均衡路線とは真逆の方向。

だから、消費税率を上げて、なおかつ政府の借金を増やさないようにするためには、少なくとも、小泉政権並みかそれ以上の手腕が野田政権に要求されることになるのだけれど、これまでの民主党政権を見る限り、その可能性は限りなくゼロに近い。

しかも、宮沢~森政権までの間の、歳出が増え、歳入が減った時期から、少なくとも、歳入と歳出を増えさせず、減りもさせずに抑え込んだ小泉政権の改革路線は、今では、「格差を広げた」と批判されているから、再び小泉路線を取ることも難しい。

こんな状況で、消費税増税をやるというのは、やはり正気の沙汰ではないと思うし、自民は自民で、宮沢政権から森政権までの歳出が増え、歳入が減った時期と、小泉政権から麻生政権までの、歳入と歳出を増えも減りもさせなかった二つの時期についての総括をして、これからの大きな方向性を示す必要があると思う。

同じことは民主党政権にも言えるのだけれど、民主党は自民党政権の否定から入っている上に、歳入と歳出の増減を抑え込んだ小泉路線を目の敵にしているから、全く新しい方法で、財政均衡を目指さなくてはならないという手枷足枷を自分ではめている。

はっきり言って、野田政権にこの課題を打開せよ、というのは荷が重すぎるのではないか。

マスコミガー、ジミンガーも、「明らかに度が過ぎている」と、前原氏はもとより民主党そのものが国民から締め出しを喰らうことになる。


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画像「これはペンの暴力」 他社も抗議 2012.2.24 01:25

 民主党の前原誠司政調会長が23日、定例の記者会見で本紙記者を排除した。前原氏の言動を「言うだけ番長」と表現した本紙報道は「ペンの暴力」だと主張している。しかし、次期首相候補にも数えられる政治家のこの日の行動は、常軌を逸していると言わざるを得ない。

 23日昼、本紙記者は人事異動のあいさつをしようと、前原氏と国会内で接触した。すると前原氏は「君に話があるんだ」と話し、記者を衆院議員会館の自室に連れて行った。

 「ことあるごとに『言うだけ番長』と書くのはなぜか。(本社の)会長の名前で正式に文書で回答してほしい。それがなければ今後、産経には政策調査会の取材を認めない」

 前原氏は記者にこう通告した。その上で「記事を読むだけで暗い気分になる。これは子供のいじめやペンの暴力の次元だ。回答が来るまでは記者会見も取材も認めない」と語った。

 記者は事情を政治部上司に報告。前原氏に再度接触し、どういう内容の回答を求めるのか、文書で提示するよう求めた。この時、前原氏は「考える」と述べるにとどめていた。

こうした状況で、前原氏は本紙記者を記者会見から排除した。この段階で、幹事社の朝日新聞記者が政調職員に抗議。その後開かれた記者会見でも、他社の記者が前原氏の対応への異論や抗議の意を伝えたという。

 前原氏の定例記者会見は週2回開催。フリーの記者も参加でき、通常は名刺の提出も求められない。

 前原氏は1月31日の記者会見でも、北海道新聞記者に対し「あなたは出入り禁止だ。事実と違うことを書いた。今、すぐ出ていってください」と述べ、記者会見場から退出するよう求めたこともある。

 産経新聞と政党をめぐっては、本紙に掲載された自民党の意見広告をめぐり共産党が反論の広告の無料掲載を求めて提訴。1、2審の請求棄却に続き、最高裁は昭和62年に上告を棄却、共産党の敗訴が確定した。この間、同党は産経新聞の取材を拒否した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120224/stt12022401250006-n1.htm



画像「政治家として幼稚」政治評論家の三宅久之氏 2012.2.24 01:24

 政治評論家、三宅久之氏の話「公の会見で特定の報道機関の記者の出席を拒むことは、政党助成金を受け取っている公党の要職にある者として、あり得ない行為だ。民主主義下で与党が批判されるのは健全な政治のために当然であり、それを謙虚に受け止めることなく、気に入らない者を排除することで自分の正当性を守ろうとする前原氏の対応は、政治家として幼稚としか言いようがない」

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120224/stt12022401250005-n1.htm

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    小泉~麻生時代は米国バブル(崩壊)を考慮すべし.
    小泉政権のグローバリズムは国内景気を減退させた
    一方で, GDPにおける貿易の割合を大きくした.
    このため国内減収分が米国のバブルで救われている.
    米国のバブル崩壊で一挙に歳入が減っているのは
    国内市場が縮小していたことを表す.
    宮沢までは国内バブルの影響があるだろう.
    だから, 歳入/歳出の静的な比較では実情が分からない.
    2015年08月10日 15:25
  • とおる

    > 歳入と歳出を増えさせず、減りもさせずに抑え込んだ小泉政権の改革路線

    小泉政権の経済財政担当の竹中平蔵氏を、マスコミ談合村はテレビ出演させるのはお嫌いのようで、片山元総務相を多く出演させてます。

    ・慶応大学教授・竹中平蔵 消費税増税に大義も効果もなし
     http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120210/plc12021003070002-n1.htm
    ・竹中平蔵氏~「野田増税が日本社会を壊す」Voice3月号
     http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11161355985.html
    2015年08月10日 15:25
  • almanos

    民主党政権というのは「無能な小人」の寄り合い所帯であると事実が既に露見してますからねぇ。で、前原氏の「言うだけ番長」に対する取材拒否ですが、どう見ても「本当の事を言われたから」と見なされてるでしょうな。彼を担ぎ上げる予定であった仙石氏からも「駄目だこりゃ」と見限られているかもしれませんね。早く選挙制度の改定を終えて解散総選挙となってもらいたいものです。増税すると税収が減る事は橋本政権下で経験済みです。ですから、この際日本の税制をオフショア並みにしてしまうのも選択肢ではと思います。逃げ場を求めているマネーを世界から避難所としての日本に引き寄せてしまう。日本を「世界最強のオフショア」金と金持ち自身が逃げ込む場所に変えてしまう。金の流入に伴ってバブルになってしまえばデフレも解消できるかもしれない。ただ、財務省は猛烈に嫌がるでしょうが。そうなると徴税権が大幅に現行よりも減りますから。オフショア並みになるという事は税務調査権の大幅な減少と裁量権の大幅減を回避できないですからねぇ。
    2015年08月10日 15:25
  • MF

    >小泉政権になってから、政府の借金は減らせなかったものの、歳入と歳出をともに増えも減りもさせず、現状維持させている。

     この認識は少し違うのではないでしょうか。
     小泉政権初期の2年間はマイナス成長、引用グラフを見れば分かるように、(橋本行財政改革・消費税増税後と同様に)明らかに歳出より歳入の下げ幅が大きく、日本経済が縮小していたことを示しています。
     小泉政権後半は、若干歳出を増加させたことと、このグラフからは分かりませんが、大規模な金融緩和を行なったことで円安傾向になり、かつアメリカの住宅バブルを中心にした国際的なバブルのお陰で、外需主導型の低成長(実感無き経済成長と言われた)が持続したことは周知のことです。

     バブル崩壊後の日本経済に関して、歳出が増えて歳入が減る時期(宮沢~橋本政権前期)というのは、バブル崩壊の影響を政府の支出で下支えしていた時期で、僅かに景気動向が上向きつつあったのですが、橋本改革以降は、政府がブレーキとアクセルを交互に(あるいは同時に)踏むような政権運営をした結果、日本経済が完全にデフレに陥り、徐々に経済規模を縮小させてきたというの実態ではないでしょうか
    2015年08月10日 15:25
  • 日比野

    皆様、コメントありがとうございます。

    今回のグラフだけで、当時の外部環境要因を軽視したまま、説明したことに無理があったようです。お詫びして取り下げます。

    とすると尚更、政府や日銀が、外部環境を含めて、現状をどう認識して、どう対策するのか、また、それらを国民に分かりやすく説明することが大事になるかと思いますけれども、社会保障一辺倒での増税では駄目でしょうね。

    今日電車で、還暦近そうなおばちゃん達が、年金受給開始年齢が68歳に引き上げられるかもという話題で、「やり方が卑怯だ」と憤っていました。
    2015年08月10日 15:25

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