民主党の弾除けと国民の盾

 
「聞いた話だが、最近、直紀大臣の口癖は『大丈夫だ』『あれに比べれば…』というもの。大臣は、田中角栄元首相の娘婿、田中真紀子元外相の夫として堅実にやってきた。あの強烈な個性の2人を相手にしてきたのだから、野党やマスコミの攻撃などは、痛くもかゆくもないのだろう。」
民主党中堅議員

画像


野田内閣の支持率下落が止まらない。

2月9日にフジテレビ「新報道2001」が行なった世論調査では、野田内閣の支持率は30%、不支持率は65.8%に上ったし、2月10日から12日に掛けてNNNが行った電話世論調査でも、野田内閣を「支持する」と答えた人は、25.6%に、「支持しない」と答えた人は54.0%となっている。

どちらの調査でも、内閣支持率は先月の内閣改造直後に行った調査から、10ポイント以上下がり、逆に不支持率は10ポイント以上上がっているところを見ると、内閣改造は支持率回復という意味では、失敗しているといっていい。

「新報道2001」の調査では支持しない理由として、「政策に期待が持てない」が43.8%と最も多く、「リーダーシップがないから」が18.2%、「閣僚の顔ぶれに期待が持てない」が15.7%などとなっている。

2月11日、野田首相は母校である県立船橋高校の同窓会で挨拶し、予算委員会での審議について「国会の中でクイズみたいな質問がいっぱい出て、いじめられている」と愚痴をこぼしている。とりわけ、田中防衛相に対する野党側の質問が年頭にあると見られているのだけれど、そんな質問をされるような大臣を選んでいる時点でどうかと思う。例えば、これが自民党の石破氏が防衛相だったとしたら、あんな下らない質問は起こり得ないだろう。

田中防衛相の答弁の酷さについては、今更言うまでもないけれど、質問自体は、防衛に関する基礎を問うもので、クイズというよりは、確認に近い。防衛大臣に国防や外交案件に関する質問をするのはごく当然の話であって、防衛大臣に質問できなれば、一体誰に質問すればよいというのか。まさか首相が全部代わって答弁してくれるわけでもあるまい。

まぁ、防衛大臣に年金についての質問をしたりなんかすることは、管轄外のことでもあるし、クイズといっても理解できなくもないけれど、それならば、首相に漢字の読みテストをしてみたり、カップラーメンの値段を聞いてみたりすることは、それこそクイズに当てはまるだろう。

それに、質問通告した時点で、それについて事前に下調べ出来るのだから、一億歩譲って、田中防衛相への質問をクイズだとしても、前もってカンニングできるクイズには最低限回答はして欲しいもの。

ヒゲの隊長こと、自民党の佐藤正久参院議員は、2月7日、テレビ朝日の番組で、田中防衛相に対する質問について、「すべて防衛相として知ってておかしくない」と反論しているけれど、その中で、「防衛省が支えていないように見えるが、聞いてみると説明しているそうだ。なかなか蓄積していない面もあるらしい。」と、防衛省の事務方が支えていないというよりは、田中防衛相本人の資質の問題との見解を示している。

「新報道2001」の世論調査では、田中防衛相の資質についてどう思うかの質問もしているのだけれど、実に82.4%が不適格と回答している。まぁ、あれほど酷い答弁を見せられるとさもありなん。これには、野田内閣もさぞかし頭を痛めているかと思いきや、意外と民主党内では、田中防衛相の評判がいいらしい。

何故かというと、そのあまりもの「ド素人」振りに、野党陣営の攻撃をほぼ1人で受け止めたため、他の問題閣僚への追及が激減しているからだという。平たくいえば、野田内閣の「弾除け」になっているのがその理由。

冒頭でも触れているけれど、連日、野党からの集中砲火を受けているにも関わらず、当の田中防衛相は、あれに比べれば、と平気な様子。確かに図太い神経を持っているというのは、政治家としては必要な資質ではあるのかもしれないけれど、防衛大臣である以上、国民の命、とりわけ最前線に立つ自衛隊員の命には敏感であってほしい。

その意味では、隊員をPKO派遣する際の武器使用基準や、自衛隊による邦人救出についての部分は、ド素人だろうがなんだろうが、理解して置くべき事柄。自民党の佐藤正久参院議員も、石破議員もそのことを質問している。それを「クイズ」などとは決していえないし、断じて言ってはならない。

特に、北朝鮮情勢が怪しいときに、ど素人が防衛相になっている事実は忘れてはならない。内閣の弾除けにはなれても、国民の盾になれるとは限らない。



画像 ←人気ブログランキングへ

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    放射能「被害」に関して以下のようなブログ記事を見た.
    http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1434.html
    「稲博士の予言は実証された」

    「やらないよりやっておいた方が良い」と
    いう言い方も科学的には問題だと前に書いた.

    線形比例はローカルな近似に過ぎない.
    確かに, 狭い範囲なら症状は蓄積量に「比例」
    するかのように「見える.」 だから,
    「線形」「外挿」と二重の危険を顧みずに論じる
    のは自分達は科学者ではないとの自己宣言.

    目に見えないものに対する恐怖感をどうする
    かは社会心理学の問題だろう.
    対象から心理的に離れることのできない, ある意味
    平等な社会で生きる日本人に最も不得意な分野だ.
    2015年08月10日 15:25
  • とおる

    > 野田首相は母校である県立船橋高校の同窓会で挨拶し、予算委員会での審議について「国会の中でクイズみたいな質問がいっぱい出て、いじめられている」と愚痴をこぼしている。

    「ジミンガー」の次は、「ヤトウガー」。
    恥知らず、被害妄想で、自分自身を客観的に見ることができない幼児性。

    > 「新報道2001」の調査では支持しない理由として、「政策に期待が持てない」が43.8%と最も多く、

    人間性、信用、嘘つきについての質問も必要。
    2015年08月10日 15:25

この記事へのトラックバック