民主党が通常国会に議員立法で提出予定の「行政構造改革実行法案」(仮称)を巡る調整が難航している。
この法案は、所謂、「国家公務員総人件費2割削減」への足掛かりとなるもので、退職手当の半額程度の年金化、役職定年制の導入などで、国家公務員の総人件費の2割にあたる1.1兆円の削減を目指し、各府省が「総人件費管理計画」を作ることも義務づけたもの。
ここでは、天下りを受け入れた公益法人などの補助金を「実質的な人件費」と見なし、天下り法人への補助金や委託費なども見直し、基本理念や数値目標などを盛り込んだ上で、1月中に骨子をまとめる方針だったのだけれど、1月31日の党行革調査会総会では、「2割削減」を巡る政府と党の調整がついていないなどとして取りまとめを先送りしていた。
2月1日には、行革調査会の中川正春会長が、岡田副総理に対して、「党内には数値の明記を求める声が強い」と説明したのだけれど、岡田副総理は「しっかりとした見通しを付けなければいけない」と慎重な検討を求めた。
そして、2月6日になって、今度は野田首相が参院予算委員会で、「2割削減の道筋と必ずしもセットではない」と国家公務員総人件費2割削減の実現が消費増税の前提ではないと言い出した。
この期に及んで、首相がこんな発言をするということは、もう消費税増税法案を提出する前に、人件費2割削減など出来ないと白状したようなもの。
だけど、この発言は、野党の反発のみならず、党内の反発をも巻き起こす可能性がある。
なぜなら、昨年末、民主党の税制調査会が長時間の議論に渡って、どうにかこうにか素案を纏める鍵になったのが、議員定数削減と公務員給与の引き下げの実施だったから。
昨年12月29日、深夜まで民主党の税制、一体改革両調査会合同会議総会で、消費税増税反対派の歩み寄りの流れを作ったのが、後藤祐一衆院議員の「議員定数削減と公務員給与の引き下げが実施されない限り、消費税増税も実施されないということを法律に書くべきだ」という発言だった。
後藤氏の発言に対して、消費税増税反対派の議員が次々と同調し、最後には税調幹部が「国会議員の定数削減、公務員人件費削減を実施した上で、消費税引き上げを実施すべきと閣議決定する」と表明したことで、反対派も歩み寄り、素案が決定したのだという。
そういう経緯がある以上、今頃になって、2割削減の道筋と消費税増税は必ずしもセットではない、なんて言われても、消費税増税反対派にしてみれば、何言ってるんだとなる。無論、反対派は態度を硬化させるだろう。
そんな折、かねてから、消費増税反対を唱えている、小沢氏が、共同通信のインタビューに対して、消費税増税法案採決では反対に回る意向を表明しているから、同調者も集めやすい。
ただ、小沢氏がしたたかだと思うのは、消費増税法案に造反する意向を示しながらも、野田首相は解散できず、後継首相の下で行われると発言していること。
現状を見る限り、野田首相のままでは民主党は惨敗する可能性は高いけれど、世論調査の党支持率からいえば、自民とて勝てる保証もない。つまり、結構微妙な情勢だと言えなくもない。
であれば、野田首相でない他の首相に首を挿げ替えてから総選挙をしたほうが、多少なりとも勝てる可能性が高まると小沢氏は見ているのではないか。
つまり、造反するぞと脅して、野田首相を立往生させた上で、解散ではなく、総辞職させて、今度こそ小沢氏の息の掛かった人物を後継首相に仕立て上げ、後継首相に解散させるシナリオ。だからこそ、自らの離党は否定しているのではないかと思う。
ただ、まぁ、こう言っては何なんだけれど、筆者は、小沢氏の賞味期限はもう過ぎていて、今更、どうこう動いたところで、世論の支持はそれほど集まらないのではないかと見ている。だから、小沢氏最後の勝負とて、野田首相を辞任にまでは追い込めたとしても、その後までは辿りつかないような気がしてならない。
ともあれ、野田首相の"不退転の決意"とやらでやると言っていた、公務員人件費2割削減は風前の灯火となり、議員定数削減も暗礁に乗り上げている。とうとう、"不退転の決意"は増税だけになってしまった。これでは国民は納得しないだろう。
野田首相も本当に打つ手がなくなってきた。
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消費増税議論で「議員定数と公務員給与削減先行を」流れ変えた後藤祐一氏の提案/神奈川 カナロコ 2011年12月31日(土)11時0分配信
消費増税をめぐって激しい反発が起き分裂含みだった民主党内が、最終段階でまとまった。流れを大きく変えた一つは、後藤祐一氏(衆院16区)の提案だった。
29日深夜まで9時間近くに及んだ民主党の税制、一体改革両調査会合同会議総会。反対派の議員が「そうだ、そうだ」と同調の声を上げた。「議員定数削減と公務員給与の引き下げが実施されない限り、消費税増税も実施されないということを法律に書くべきだ」という持論を展開した後藤氏に対してだった。
執行部が修正案を提示するため、午後11時ごろに設けられた休憩中。前原誠司政調会長は後藤氏を呼び、見解を尋ねた。
「今、言ったことを法律に書いてください」と後藤氏。
「内閣提出法案に国会に関することは書けない」
「総理が決断すればできるのでは」
「できない」
「それなら、法律に準じる正式な意思決定として、閣議決定をしてください」
野田首相は了承。「国会議員の定数削減、公務員人件費削減を実施した上で、消費税引き上げを実施すべきと閣議決定する」などと税調幹部が表明した。
これを受け、反対派も歩み寄った。党の素案が決定した。
後藤氏は「今、これだけ民主党が信頼されていない中、決断しますとか、法律を出しますとか言っても、信頼されない。が、実施の時期だけは信頼される。消費税率が上がる時期の前に、政治家と公務員が身を切ることが実施されれば、国民に納得いただけると思う」と語った。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111231-00000008-kana-l14
この記事へのコメント
白なまず
ちび・むぎ・みみ・はな
本命は TPP ではないかと思われる.
逆に TPP をものにせずに次回の選挙で負けた
とすれば何が残るか? 何も残らない.
消費税増なぞ直ちに執行停止だ.
この手は既に嘘付党がやっている.
だから, 党としても社会主義者としても
何も得るものがない.
TPPならどうか. 日本が TPP に参加せざるを
得なくなった時, 彼らは米国の庇護を受け,
社会主義者としての満足感もある.
TPPは後戻り不可能の社会主義革命の第一歩.