民主党のマニフェスト、あれは何だったんでしょうか?

 
昨年8月26日、民主党は、自身のマニフェスト検証委員会が検証・議論を重ねてとりまとめた「マニフェストの中間検証」を発表した。

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それによると、衆院選マニフェスト180項目の内、実施あるいは一部実施したものは56%で着手したものを含めると79%になるとして、国民と約束した政策の多くが既に実現していると強調している。

マニフェストの多くが実現していると胸を張るのは結構だけれど、肝心のこの検証報告書には一覧表か何かで、マニフェストで掲げた全項目を示して、具体的にどの項目が達成して、どの項目が達成できていないを書いているわけではないから、半数を超えただの、79%になるだの言われても少しもピンとこない。

国民にとって、一番わかりやすいと思われるのは、マニフェストでの目玉政策、重要政策がどうなったかを検証することだろう。

検証報告書では、7つの主要政策の到達点と、6つの重点事項の実施例を挙げていて、それぞれ次のように報告している
1.主要政策の到達点
 ①子ども手当・・・・・・・・・・・・・・実施       
 ②高校授業料無償化・・・・・・・・実施
 ③農家戸別所得補償・・・・・・・・実施
 ④高速道路無料化・・・・・・・・・・実施
 ⑤自動車関係税暫定税率廃止・実施
 ⑥地域主権・・・・・・・・・・・・・・・・着手
 ⑦政治改革・・・・・・・・・・・・・・・・着手

2.重点事項の実績例
 ①無駄の徹底排除、行政の透明化
   →事業仕分け、天下り斡旋禁止、公務員人件費削減、外交文書の自動公開ルール
 ②医療・年金・介護等の充実
   →社会保障と税の一体改革、社会保障費削減方針の撤回、医療の充実など
 ③雇用対策と中小企業支援
   →求職者支援、雇用保険法改正、中小企業憲章など
 ④新成長戦略
   →総合特区の創設、EPA・FTAの推進など
 ⑤教育と子育て支援
   →保育サービス、35人学級、学校施設の耐震化など
 ⑥責任ある外交
   →防衛大綱・中期防の策定、PKOなど
 
とまぁ、これだけみれば、さもやっているように見えなくもないけれど、それは、YesかNoからみるからそうなのであって、その中身を見れば、また違って見えてくる。

たとえば、子ども手当だって、支給されたのは、当初予定の半額に減額され、今度また児童手当に戻るし、高速道路が無料になったのは2010年度の1回こっきりでしかも全体の20%しか対象にならなかった。今では無料なのは震災被害に遭った、東北自動車道だけ。

また、自動車のガソリンなどの暫定税率は、書類上廃止したものの、税率水準は当分の間維持で、実質上何も変わっていない。

重点事項の実績にしても、確かに実績としては、「行った」のかもしれないけれど、事業仕分けはさしたる効果もなかったし、外交文書の自動公開ルールを決めた裏で、自分達の議事録は作らない。

学校施設の耐震化にしても、その予算が事業仕分けで削減され、実際は、着手が遅延した。

だから、国民の生活実感としては、民主党政権は何もやっていないという印象が強く、民主党政権がやろうとしているのは、増税ただひとつだけとしか思われていない。

とある民主党の衆院議員が「マニフェストで実現した政策は忘れられるんだ」とこぼしていたとの報道もあるけれど、 衆院選で散々煽った目玉政策がこれでは、忘れられるもなにもない。目玉政策を100%きっちり実現して初めて、やったのか、と思って貰えるのが世間の相場。

衆院予算委員会で、自民党の斉藤健議員が、民主党の言っていることとやっていることに乖離があると厳しく追及していたけれど、国民の多くが斎藤議員の質疑に同意するに違いない。



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この記事へのコメント

  • mayo5

    マニフェストは「政権奪取のツール」だったので、十分に機能しました。投票終了と共に使命を果たしました。達成度は100%です。
    2015年08月10日 15:26
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    作者不詳のマニフェストの議論は時間の無駄.
    もっとも, 旧社会党事務局と宣伝会社だとも聞く.
    (宣伝会社は選挙スローガンだったかな.)

    嘘付党はアメーバみたいなものだから,
    次の選挙へ向けての次の誤魔化しが始まる.
    今度は「良い人もいる」作戦になるのではないか.
    具体的には, 「消費税増反対」, 「TPP反対」
    を叫ぶ分派の出現と, 首脳部の黙認という手法に
    なるのではないかと思う.

    自民党は実績と正直を訴えるしかないが,
    総裁の方向性に不安を感じている国民は多い.
    私も, 谷垣氏は最終的に消費税増を行なうだろうし,
    TPPへも参加すると思う.

    自民党が前のめりになると止められなくなる.
    国民と共にある総裁に代わって欲しい.
    2015年08月10日 15:26
  • とおる

    > ④高速道路無料化・・・・・・・・・・実施

    民主党では、「実施」なんですね。
    民主党用語では、「実施」というのは、「実施を開始(後は知らない)」ですね。決して、「実施して完了」では無い訳です。
    2015年08月10日 15:26
  • sdi

    マニフェストの達成度を「二段階評価」ですか。まあ、お手盛りでえらく主観的なのは否めませんがなかったことにするよりはマシでしょう。
    しかし、評価の基準としてはやはり落第です。理由は「何故この政策を実施するのか、その目的は何か。そしてその目的への達成度合いはいくらくらいか」という観点が全くないかとですね。
    民主党およびその支持者の方々が自慢する子供手当てにしても、なにんのための子供手当てかどうかで、かなり評価基準は変わるでしょう。
    ・不景気対策としてこども手当てを実施→成果はほとんどあがってない
    ・少子化対策としてこども手当てを実施→一年だけじゃ成果の判断しようがない

    「なんのために実施するのか」
    「なんのために行うのか」
    目的と手段の取り違えこそが最大の問題です。ただ、これは日本人が陥りやすい傾向があるように思えます。あと用心すべきは、一部分にばかり目が行って全体のマクロで捉えることも個々の事象をミクロで捉えることに失敗しているケースですね。
    よく言われる「木を見て森を見てない」に対して「木も見ず、山も見ず、森の一部分しか見てない」と言うことができるでしょう。
    2015年08月10日 15:26

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