見せて貰おうか相模屋の「ザク豆腐」の性能とやらを

 
今日は、久々に社会系のエントリーです。

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1.「聖地化」で町おこし

聖地巡礼がブームだ。といっても、イスラムのメッカに行くのではない。アニメの舞台となった場所をファンが訪れる現象のことを、ファンの間では「聖地巡礼」と呼ばれている。

単にアニメといっても、その数が千人、万人の単位となるとバカにならない。人気作品ともなれば、本当に観光客が増え、実際に経済効果も上がっている。

たとえば、「らき☆すた」に登場する鷲宮神社には、実に47万人の初詣客が訪れているし、広島県竹原市が舞台となった「たまゆら」などでも、観光客が増えたという。

普通はこうした、聖地巡礼現象はアニメ放送が行なわれた後に起こるのが普通なのだけれど、最近では、アニメ放送前から、町おこしとして"聖地化"支援を行なうところもある。

例えば、千葉県鴨川市では、鴨川を舞台としたアニメ『輪廻のラグランジェ』を放送開始前から聖地化を目指して支援していた。

これは、昨年の東日本大震災と福島第1原発事故の影響で、鴨川市の観光客が激減したのだけれど、そんな折、『輪廻のラグランジェ』の制作側から、鴨川を舞台に作品を作りたいとの申し出があったことを切っ掛けとして、商工業者や地域の若者達の間でもご当地アニメとして盛り上げようという気運が高まっていった。

そして、商工、観光など、地域経済の核となる各団体と教育や行政機関も含め、官民一体となったオール鴨川の体制を組んで、地域活性化に取り組むことを目的とした「輪廻のラグランジェ鴨川推進委員会」が発足した。

この委員会は、各団体の推薦者で構成され、作品への理解と地域振興を併せたフリーペーパーの発行や、先行上映会及びスタッフ・キャストのトークショーなどを行なったり、市内の菜の花畑の真ん中に、作品中に登場するキャラクターのパネルを設置したり、盛り上げようと色んな試みをしている。

更には、旅行専門雑誌である「じゃらん」に、「輪廻のラグランジェ」の舞台を旅する、聖地巡礼プランまでも登場している。



『輪廻のラグランジェ』の放送自身は、年初からスタートし、先頃、第一期全12話の放送が終了したのだけれど、各話に付けられた題名にはある共通点がある。各話の題名は次のとおり。
第1話「ようこそ、鴨川へ!」
第2話「鴨川スピリット」
第3話「鴨川にランの花咲く」
第4話「鴨川スイマーズ」
第5話「鴨川に来た男」
第6話「風と火と水と鴨川と」
第7話「曇り のち 鴨川
第8話「鴨川ロリータ
第9話「勝浦発→鴨川行
第10話「さらば鴨川」
第11話「鴨川絶対防衛ライン」
第12話「またいつの日か、鴨川で」

と、全12話の全ての題名に"鴨川"の文字が入っている。流石に最初から地域タイアップ作品として作られているだけあって、鴨川市に対する配慮がなされたものと思われる。まぁ、見ようによっては、ちょっとワザとらしいのでは、と思わなくもないのだけれど、制作サイドも鴨川市側もそれだけ力を入れているということなのだろう。

今やこうした地域密着系のアニメは膨大な数に上っていて、全国49都道府県ごとにひとつはそこを舞台としたアニメ作品があると言っていいくらい。

だけど、一番大切なのは、作品そのものの魅力。単純にお祭り風に、イベントだけやっても、仮にその時盛り上がったとしても、長続きしない。その作品によって本当に町おこしできたかどうかは、放送終了後何年経っても、ファンが訪れるようになるかどうか。

たとえば、「らき☆すた」の鷲宮神社の初詣参拝客数は、アニメ放送が終わった08年から4年連続で増えていて、今年の47万人というのは、実に放送前の5倍を超える。ここまでくると、まさに「らき☆すた」様々だろう。

だから、こうした聖地巡礼現象による町おこしも、「らき☆すた」のように、何度もファンが訪れるくらいの作品をどれだけ生み出せるかがポイントになるだろうと思われる。

その意味では、ヤマトやガンダムのように、根強いファンを作り得る作品は、明らかに経済効果を生むコンテンツになっていると言っていいだろう。




2.量産型ザク豆腐

そんな、ガンダムのコンテンツを生かした新商品が、つい先日販売された。その名も「ザクとうふ」。

これは、1951年創業の豆腐業界の老舗、相模屋食料が、「おとうふ」をおもしろくする、というコンセプトの元に、量産型ザクの頭部をモチーフにした容器に“枝豆風味”の豆腐を詰めた新製品。

何でも、相模屋食料の鳥越淳司社長は熱心なガンダムファンとのことで、「ずっとこの構想を温めていた」のだという。

だけど、開発は困難の連続で、豆腐を入れる容器のメーカーには「本気でやるんですか」と苦笑され、製造機械メーカーには「こんな豆腐の製造機械はないよ」とあしらわれたのだそうだ。それでも社長はへこたれず、今回の商品化にまで漕ぎ着けた。

ザク豆腐は、量産ザクの機体色に合わせて、うっすらとした緑色をしていて、枝豆風味。大きさは高さ5cm、直径10cm程で、市販の豆腐よりやや小さ目。専用の袋にパッケージングされているから、ぱっと見にはパンか何かと間違えてしまうかもしれない。

また、ザクの武器である「ヒートホーク」をかたどった専用スプーンも数量限定で同梱していて、ファンには堪らないつくり。更に、相模屋のホームページでは、ザク豆腐を使ったレシピも紹介していて、この企画に対する社長の熱意が感じられる。

筆者も早速、この「ザク豆腐」を手に入れて、その"性能とやらを"見せて貰ったのだけれど、枝豆の風味が強く、つるっと滑らかな食感。パッケージ裏には「キヌとは違うのだよ、キヌとは」と、ランバラルのようなセリフが書かれているのだけれど、「ザク豆腐」は、絹ごし豆腐だった。



では、どのあたりがキヌとは違うのかというと、「ザク豆腐」は、正確には絹ごしではなく、「充填絹ごし豆腐」なのだそうだ。

普通、絹ごし豆腐は、木綿豆腐より濃い豆乳を作ってから、直接型箱に豆乳と凝固剤を入れて、そのまま固めて作るのだけれど、「充填絹ごし豆腐」は、豆乳を一旦冷やして、直接容器に豆乳と凝固剤を入れて、直ぐに密封。その後、容器ごと加熱してから、再び冷却して固める製法を取る。密封した後に十分な加熱を行なうために、他の豆腐より保存性が高くなるという特徴がある。

確かに、「ザク豆腐」の賞味期限は10日以上あって、普通の豆腐より長くなっている。

また、「ヒート・ホーク・スプーン」は結構細かいところまで作りこまれていて、もしかしたら、ガンプラ好きの人なら、プラカラーか何かで塗装してしまうかもしれない。

「ザク豆腐」は意外と型崩れはせず、皿に乗せても、その形を留めている。特に口元のパイプの造形がそのまま残っているのはちょっと感心した。

ただ、筆者は「ザク豆腐」を鍋に入れてしまったのだけれど、「ザク豆腐」の大部分が出し汁で隠れてしまって、頭の部分しか見えなかった。「ザク豆腐」料理を楽しむなら、冷奴か、相模屋推奨のレシピに従って、「ザクの森林サラダ」とかにしたほうがいいだろう。

相模屋は、「ザク豆腐」を酒のつまみに最適として、間違いなく豆腐売り場に能動的に行かないけれど、ガンダムのコアなファン層でもある30~40代の男性に訴求する狙いだそうで、非常に面白い商品だと思う。

もしかしたら、スライム肉まん並みの大ヒット商品になるかもしれない。


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この記事へのコメント

  • 白なまず

    なんか、この手の物を良く目にしますが、もう、グリコのオマケの域に達した物をまた見つけてしまいました。
    【シック、綾波レイのフィギュアが付いた数量限定のT字カミソリ】
    http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20120425_529120.html
    2015年08月10日 15:25

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