維新の会政治塾に2000名集まる
3月24日、維新の会の政治塾が開講され、全国および海外から受講生約2000人が集まった。
会場となった大阪国際会議場では、大人数の受講者に対応するため、開講式は午前と午後の2回に分けて開催されたのだけれど、維新の会幹部によれば、応募者3326人のうち、論文選考に合格し、3か月分の受講料3万円を支払った2025人を受講生として選んだのだそうだ。
受講者は、医師や弁護士、中央官僚、地方議員らもいて、タイやシンガポールなど海外からの参加者もいるようだ。彼ら受講生達は、自分で受講料を払い、論文を書いてまで参加するくらいだから、さぞかし政治への関心も造詣も深いと思いきや、意外とその動機は様々なようだ。
たとえば、政治家志望ではなかったけれど、「国政のチャンスがあれば出たい」と意気込む大手家電メーカーの男性社員、政治家を目指すかどうかは分からないけれど、「政治の世界に触れながら、物事を見る目を養いたい」と語る求職中の男性、国政に関心はないけれども、大阪都構想や道州制について学ぼうと参加した北海道蘭越町議員など。
維新の会は、今後、5回の講義のなかで議論やレポートでの審査を経て、6月には800人から1000人を「塾生」として選ぶ予定だそうなのだけれど、6月といえばあと3ヶ月しかない。それまでのたった数回の講義やレポートで、ずぶの素人が政治家として通用するだけの知識や見識を持てるとはちょっと思えないから、これは、人材を育てるというよりは、選抜するという意味合いの方が強いと思われる。
だから、6月に選ばれる塾生というのも、結果的には、弁護士、中央官僚、地方議員あたりが中心に選ばれるのではないかと思う。ただ、そうした人材ばかりで800人やら1000人やら確保できるのかどうかは分からない。
かつての小泉チルドレンであり、何かとテレビの話題にされることが多かった、杉村太蔵元議員とて、ドイツ証券勤務時代に、郵政民営化の動向を調査していた2005年に、自民党の候補者公募の一次審査の論文課題が丁度、『郵政民営化と構造改革について』であったので応募し、その後3回の面接を経て公募に合格している。
公募でそこまでして選抜したにも関わらず、当時の杉村太蔵氏の"軽い"発言は何かとテレビのネタにされていた。だから、人物の"資質"を2回や3回の面接くらいで推し量ろうというのがそもそも無理筋なのかもしれないし、杉村太蔵氏自身も、当選後に「いきなり『たいぞうっ』が『先生!』になりますからね」と環境が激変する感覚を「経験したものしか分からない 」と述べているから、よほどしっかりしていないと浮かれてしまう部分もあるかもしれない。
それに当然のことながら、いくら事前に審査して候補者を絞り込んだとしても、当選してから、ちゃんと議員として務まるかどうかが一番大事なこと。
その意味では、前の衆院選で民主党で当選した大量の新人議員が国会の場でさっぱり目立たないというのは、民主党が候補者選びの段階又は、当選後の教育に失敗したかのどちらかになるのだけれど、自民党の"新人議員"は、小泉進次郎氏や、三原じゅん子氏、ラップ調質問で一部で話題の斎藤健氏など、それなりに国会の場で活躍していることと比較すると、明らかに民主党の新人議員は見劣りする。
まぁ、小泉進次郎氏は世襲ということで、それなりの薫陶を受けていることもあるだろうけれど、それ以外の「新人議員」が活躍していることをみると、やはり党内の教育係なり教育システムなりがそれなりにちゃんとしているのだろうと思われる。
その意味では、維新の会は、国会に議席もないし、地方組織とてまだまだこれからの段階。仮に維新の会が、国会に大量の新人議員を送り込めたとして、彼らの教育を満足に出来るだけ体制を整えられるのかというと、疑問が残る。
それこそ、維新の会のブレーンを四六時中彼らに張り付けて教育するか、既存政党と連携して、一緒に教育して貰うとかしないと厳しいのではないかと思う。
「維新の会が本当にやりたい事」のエントリーでも触れたけれど、維新の会は税制に手を入れ、社会保障の仕組みを変えることが当面の目標であり、外交・防衛、及び憲法改正についてにはあまり力点が置かれていないと思われるから、国政に進出するのであれば、そうした弱点についての手当はいずれ必要になるだろう。
3月25日、自民党の谷垣総裁は岐阜市での講演で、大阪維新の会の国政進出について、「物事を決めて進めていけば、何も恐れることはない」と強調し、維新の会の政策に関し「ちょっとどうかなと思うものもたくさんある。国政に出てくるならきちんと整理してもらいたい」と述べている。
これは、多分に、民主党を牽制した発言で、その裏には「小沢切り」を促す部分もあると思われるのだけれど、維新の会についても、国政に出るなら政策を整理せよと言っているところは、維新の会の政策のバランスの悪さを指摘しているとも受け取れる。
更には、「(民主党と)同じ失敗を何度もするのは愚劣だ」とも指摘している辺り、"維新の会人気"も、先の衆院選での政権交代熱に浮かれた雰囲気と同種のものを感じているかもしれない。
だけど、嘘でもマヤカシでも人気は人気。そのまま手を拱いていれば、維新の会に票は集まる。谷垣氏は、物事を決めて進めていけば恐れることはないと言うけれど、現状はその決められない政治がずっと続いている。
今の段階で総選挙ともなれば、議席数は別として、維新の会の国政進出自身は避けられそうにない。
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この記事へのコメント
とおる
「ジミンガー」と同じ臭いがする「キメラレナイセイジガー」。
誰が(どの団体が)、何を決められないのか?
「消費税の増税を宣伝してきた野田政権・マスコミの思い通りに、決定してくれない民主党の反対派・自民党、増税への反対が多くなる国民」のことなのか?
自民党政権の頃、(マスコミの言う)強行採決できめようとしたら、野党(民主党)が反対アピールして決定させない事を応援したマスコミが、決定できない民主党に政権を譲るように応援してきたのを忘れてしまったのでしょうか?
支持率が低下する政権、増税に対する国民の反対が増加する状況では、与党の反対派が勢いをつけるのは当然。
例え「増税」が正当で立派だとしても、嘘を何度もついてきた人(政党)が、何を言っても信用されません。
ちび・むぎ・みみ・はな
この上, 勢いだけの政経塾ができて, 思想の怪しい
連中が「先生」になるようでは日本危うい.
しかし, 真面目に考えると, これは「社会主義革命」
の手段である可能性が大きい. 我々は「思想戦」に
鈍感であるが, 意識してか・せざるか社会主義革命を
目指す勢力は以外に大きい. 米国の状況を見れば分かる.
戦後からの思想戦の延長として見る必要がある.
軽く考えてはいけない. 可能なら即刻潰すべし.
sdi
となると「塾」の選択はふたつしかない。
・総選挙まで最短の期間を想定した要請カリキュラムを組む
・総選挙になったら、履修過程が未了でも総選挙に送り出す
どちらも不十分な養成しかできないと思うのだが、恐らく橋下市長はそんなこと全く気にしてないだろう。