消費税反対派徹底抗戦
消費税増税法案の事前審議が難航している。
3月22日、藤村官房長官は記者会見で、週内の閣議決定は諦め、来週以降に行なう見通しを示した。
というのは、やはり党内の事前審査が纏まっていないことが原因で、21日の事前審査では、岡田副首相が自民党幹部に大連立を打診したことへの反発が噴出し、議論の中身に入るのが遅れた上に、反対派からは、国民新党の亀井代表が閣議決定に反対していることや、一体改革大綱に盛られた「衆院議員定数80削減」が実現していないことなどが指摘され、結局、22日以降に決着は先送りされた。
21日の事前審査では、党執行部側は、法案の修正案を出してきたのだけれど、その中身は、再増税条項については、「2016年度を目途」を「公布後5年を目途」と変更し、税金と社会保険料を一体的に徴収する「歳入庁」の創設も明記し、景気条項については、数値目標は盛り込まなかったものの、経済状況の好転を増税の条件とするもの。
事前審査に先立つ役員会では、この修正案について、「だいぶ譲歩した。反対派も文句を言いにくいはずだ」という声もあったようなのだけれど、反対派は「よく見たらゼロ回答」と修正案をあっさり拒否した。
筆者は、「泥に潜る準備を始めた野田首相」のエントリーで、景気弾力条項を数値目標なしのまま、いくら妥協案を提示したとしても、反対派は納得しないだろうと指摘したのだけれど、その予想通り。
それでも、執行部は数値目標を入れたら、増税できなくなるから絶対無理という態度を崩していないのだけれど、おそらくは、数値目標を入れる入れないに焦点が絞られてくるものと思われる。
3月22日、みんなの党は、自分達が提出した歳入庁設置法案の早期成立を呼び掛ける会合を開いたのだけれど、そこに、民主党から小沢グループを中心に約30人の議員が出席しているし、21日午後、反対派は中小企業団体なども含めた「消費税を考える国民会議」の設立総会を衆院議員会館で開いている。
要するに、反対派は、事前審査だけでなくて、その外でも増税反対の姿勢を鮮明にしている。
肝心の小沢氏といえば、21日に読売新聞のインタビューに答え、増税法案の事前審議について、「条項を修正するとか、公務員給与や議員定数を削減するとか、テクニカルな問題ではない。国民が納得しない」と修正しても反対する考えを述べているし、22日には、小沢氏のグループ会合で、「閣議決定した社会保障と税の一体改革大綱に与野党協議を行うなどの前提があったはずだ…その時々の都合でこの間の決定を無視したやり方がまかり通るのは危険で無責任だ」と批判している。
こうした状況下で、執行部が51対49でも、増税法案を進めようとしたら、国会決議で大量の造反者が出ることを避けられなくなる。
そんな中、輿石幹事長は、大量の造反者を出した上に増税を掲げた選挙になれば、惨敗は避けられないと、密かに小沢氏と会談を重ね、党分裂回避の道を探っているのだという。
何でも、法案の国会提出にさえ反対する小沢氏に対して、輿石氏は「法案を出せなければ首相のメンツが丸つぶれになる。 提出は認めてやってほしい。ただし党分裂が避けられない状況であれば、私の責任で法案の採決を見送り、衆院で継続審議にする」と明言したと伝えられている。
つまりは、増税法案の先送りになるのだけれど、自分達で国会に法案を提出しておきながら、自分達で採決を拒否すると宣言しているということ。全くもってバカバカしい。
先送りするのなら、最初から提出しなければよいだけ。メンツで国家運営をしないで貰いたい。
それに、どれだけ法案を先送りしたところで、それまでに反対派を説得できる何かがない限り、事態は一向に進まない。
少なくとも、今の段階では、反対派は、再増税条項をちょっと曖昧な表現にした程度では納得せず、景気条項に数値目標を入れることを主張している。
相手の要求項目が明確である以上、単に先送りしただけで自動的に解決されるとはちょっと考えにくい。
だから、結局のところ、小沢氏が消費増税反対姿勢を貫く限り、この問題は解決しない。ただひとつ考えられることがあるとすれば、小沢氏の政治資金問題の裁判の判決で有罪となって求心力を失い、小沢グループが事実上解体されて、小沢グループ議員がここに執行部に丸め込まれて賛成に転じることくらいなのだけれど、今の段階ではなんとも言えない。
そもそも、小沢氏云々以前に、議員の地元から強烈に増税反対の声が上がれば、無視することは難しくなる。最後の最後には世論がものをいう。
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この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
もし嘘付党が分解したら, 第一功労賞は財務省.
谷垣総裁のせりふは「おととい来い」だけか?
opera
これを見ると、現在の消費税問題に関する与党民主党の騒動、及びマスゴミの報道は茶番でしかないということが嫌でも分かりますね。
【藤井聡教授 参議院予算委員会公聴会 公述資料スライド付 平成24年3月22日】
http://www.youtube.com/watch?v=2U5vCjS0O3U