あれから一年・・・


2011年3月11日。あの悪夢の日から、今日で丁度一年になりました。亡くなられた方々に心より追悼の意を申し上げます。

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1.追悼式と復興庁

本日は、被災地を始めとして、各地で慰霊祭・追悼式が行われますけれども、その多くが14時半開始となっているのも、震災発生時刻が14時46分でしたから、追悼の意を示すために、この時間にしているのだと思います。

都内でも、政府主催の「東日本大震災一周年追悼式」が千代田区の国立劇場で、14:30から開かれますけれども、この追悼式に今上陛下、皇后様が御参列され、陛下がお言葉を述べる予定だそうです。

とはいえ、陛下はつい先日、心臓冠動脈バイパス手術を受けたばかりで、御静養中。今月4日に御退院されたものの、7日には、右の胸にたまった水を抜く治療を受けられていますから、御自愛いただきたいと思うのですけれども、噂では、この3月11日の追悼式に間に合わせるために、手術をお急ぎになったという話もあるようです。本当に頭が下がります。

マスコミなどでは、被災地復興や絆を強調していますけれども、復興は遅々として進んでいません。その理由の一つに政府の動きが鈍いというのがあります。何せ、復興庁が出来たのが今年の2月10日です。

復興庁は、復興施策を企画・立案し、復興関連予算を纏めて管理し、復興特区の認定や復興交付金の配分などを担うことになっているのですけれども、震災後11ヶ月の設置はいかにも遅い。

福島県の佐藤雄平知事は「早くできなかったかという思いはある」ち不満を口にしていますし、 被災3県に復興庁の出先機関として設置された復興局に派遣されてきた職員の多くが複数の省庁からの出向組で構成されています。

復興局では、復興交付金の申請の支援、避難住民の帰還支援などを行ない、自治体からの要望の窓口となるといった膨大な業務量を抱えることが予想されているのですけれども、復興庁の常勤職員250人のうち160人は東京勤務で、被災地の復興局に配置されるのは、90名に過ぎないということですから、「全県をきめ細かくカバーできるか疑問だ」という声も上がっているようです。

更に、復興交付金の第1次配分も「激辛」の査定らしく、宮城県では、2016億円の申請に対し、認められたのは5割強の1161億円。宮城県の村井知事は「復興交付金の内容と額には納得がいかない。道路、堤防、学校、下水道などにほとんど内示されなかったのは不本意だ」と不満を露わにしています。

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2.決まらぬ受入先

それ以前に復興の妨げとなっているのが、瓦礫の処理問題で、まだ、受け入れ先の問題が決着していないために、瓦礫の山と山の間に更地があるだけで、まだ本格的な復興に着手できないようです。

発生した瓦礫がどれくらいあるかというと、宮城県はおよそ1569万トン、岩手県は約475万トン、そして、福島県の瓦礫は約225万トンに及び、これは、一般ごみに換算して、数年から十数年分にあたるそうです。

政府は、福島県の瓦礫については、全て県内で処理し、岩手、宮城両県の瓦礫の一部を全国で受け入れる政府の方針を打ち出していますけれども、現時点で受け入れを表明している地方自治体は多くありません。

2012月2月時点での、受け入れ及び受け入れ検討の状況はというと、「受け入れている自治体がある」のは青森、山形、東京、静岡の4都県で、「受け入れを具体的に検討している自治体がある」のは秋田、群馬、埼玉、神奈川、富山、石川、大阪の7府県だけで、兵庫以西の全県では、「具体的に検討している自治体がない」状況のようです。

政府が全国での瓦礫処理を想定しているのは約400万トンあるのですけれども、受け入れ表明している自治体で処理できる予定量は合計で約83万トンで2割程です。

また、受け入れを表明している市町村でも根強い反発があります。

昨年12月に瓦礫受入を表明した、静岡県島田市は、受け入れる瓦礫について、県職員を派遣してきた、岩手県山田、大槌両町の木材だけに限定して、焼却前の放射性セシウム濃度を、国が普通に埋め立て処理して問題ない指定した1キロあたり8000ベクレルに比べ、はるかに厳しい、1キロあたり100ベクレル以下という独自基準を設けました。この1キロあたり100ベクレル以下という基準は、原子炉等規制法で放射性物質として扱わなくて良いとされる基準(放射性廃棄物を再利用する際の基準)であり、厚労省が設定した、今年の4月から適用される一般食品に含まれる放射性物質の基準値と同じなのですね。

それでも、島田市の一部の住民は「茶や飲み水が汚染される」と強く反発し、受入反対の署名も提出されています。島田市は、安全性を示そうと、岩手県山田町の瓦礫の試験焼却を実施し、震災瓦礫を15%混入したごみ焼却灰の放射性セシウム濃度を測定したところ、1キロ当たり64ベクレルだったと発表していますけれども、今後どうなるかはまだわかりません。

また、同じく昨年12月に、一旦、瓦礫受入を表明した神奈川県では、最終処分場のある横須賀市の住民の猛反発で立ち往生しています。当初、岩手県宮古市の瓦礫受入を想定していたようなのですけれども、県の黒岩知事自ら赴いた住民説明会で、「子どもががんになったらどうするのか」との反対の声が続出し、協力的だった横須賀市の吉田雄人市長も「地元に不安がある以上、その思いに寄り添いたい」と反対に転じています。

神奈川県の黒岩知事は、3月6日、首相官邸で、野田首相と面会し、「国の責任による処理を明確にする特措法がなければ前に行きません」と、新たな特別措置法がなければ、放射能汚染を懸念する県内自治体を説得できない旨を伝えているのですけれども、野田首相は「検討したい」と述べるにとどまっています。

細野豪志環境相は、「責任ある立場にある自治体の首長のみなさんは立ち上がるべきだ」と、受入が進まない現状に苛立ちを覚えて、「再利用の基準と埋め立て処理のまったく別の基準が混同されている」とこぼしているようですけれども、それなら尚更、その混同を払拭する広報なり、努力をすべきであって、政府も相当な力を割いてやるべきだと思うんですね。でないと復興が始まらない。

野田首相は、消費税増税法案成立に全力を注ぎ、政府も、2月から社会保障と税の一体改革についての財界向け説明会を全国各地で行なっているようですけれども、増税の説明会をやる余力があるのなら、瓦礫処理についての国としての説明会を行えばどうかと思いますね。増税と比べてあまりにも温度差があるように思います。

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3.緊急アンケートのお願い

復興の問題を抱えながら、政府は増税法案成立に解散も辞さない構えでいます。突然ではありますけれども、解散と瓦礫受入問題についてのアンケートを行いたいと思います。下記2つの設問に回答いただけますようお願いいたします。

期日は4月11日まで。日比野庵トップページの右カラム上にも、同じアンケートを掲載していますので、そちらからでも回答できます。

設問1:消費増税法案と解散総選挙について


設問2:被災地の瓦礫処分について


ご協力ありがとうございました。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    ○現政権は社会主義革命を目指す輩の群れ.
     即時追放以外に日本を救う道はない.
    ○自民党執行部は事態を理解していない.
    ○原爆の時は誰も放射能の心配はしていないのに,
     腹一杯食えるようになった途端に心配する.
     我が子が大事と言うが, 戦時中はその我が子を
     雄々しく戦場に送り出した母達のことを考えよ.
    ○福島で散逸した放射能くらいが何だ.
     それなら, 戦後中共が撒き散らし, 日本人が
     被ってきたた放射能をしっかりと公表せよ.
    ○自分達のことばかりでなく, 日本の未来を考えよ.

    戦前でもそうだが, 分かったようなこと言う人が
    却って事態を混乱させる場合が多い気がする.
    非常時には非常手段が常識だと思う.
    2015年08月10日 15:25
  • とおる

    今日夕方の野田首相の記者会見の質疑で、瓦礫処理のために自治体へ「昨年8月に成立をした法律に従い、文書で協力を要請する」と発言。
    なぜ、迅速に対処できなかったのか?
    2015年08月10日 15:25

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