4月22日放送の、フジテレビ新報道2001の世論調査で、内閣支持率が25.6%と30%割り込み、政党支持率も民主党12.4%と自民党の23.6%のおよそ半分の支持にまで低迷している。
更に、今回の調査では、例の尖閣諸島購入についての調査が行われている。4月20日、「尖閣購入発言に対するマスコミの反応について」のエントリーで、新報道2001がこの日曜日に尖閣購入についての世論調査をしないようであれば、相当世間ズレしているといったけれど、流石にそこまでズレてはいなかったようだ。
さて、その尖閣購入についての新報道2001の調査なのだけれど、購入に賛成が66.8%、反対が24.8%となった。先のエントリーでは、この件についてネット世論調査を取り上げ、9割以上が賛成していると紹介したけれど、4月23日0時現在では、更に1000票以上増え、4600票以上の投票があり、依然として賛成が90%と圧倒的。また、先のエントリーでは、ネット投票は保守寄りに多目に見えている可能性があるものの、全体としては賛成が多いのではないかとしたのだけれど、果たしてテレビの世論調査でも、実に3分の2が購入に賛成という結果となった。
流石にここまではっきりした結果が出てしまうと、国としては、恥をかかされたというか、国民から国土を守る努力を何もしていないと看過されていることが明らかになってしまった。
こうなると、国としても、このままノーアクションという訳にはいかないだろう。4月20日、前原政調会長は都内での講演で、「歴史的にまぎれもなく日本の領土であり、東シナ海に領土問題は存在しない。大事なことは国が実効支配を続けることだ…所有者が支配を強化すべきだとの思いから売却する用意があるというなら、国が買うべきものだ」と、国有化を積極的に検討すべきだとの考えを述べているけれど、筋としてはそのとおりでも、政府にその気がないと所有者から見做されていないから、東京都に売るという話になっていることを忘れている。
国が買うのであれば、所有者である栗原氏は勿論のこと、石原都知事を含め、世論を納得させるだけの何かを打ち出さなくてはならない。
この点については、東海新報社が、4月20日付のコラム「世迷言」で、「メンツをつぶされた野田さんが「いやそれは国の仕事」とあわてても、中国恐怖症揃いの閣内が一致するわけがない。」と手厳しく批判している。これは、尖閣沖衝突事件の顛末をみた国民の側からしてみれば、十分説得力のある論であり、民主党がいくら、検討検討と叫んだとしても、実効力のあるきちんとしたものを出して、実行してみせない限り、所有者はおろか、世論を説き伏せることはできないだろう。
実際、17日に国の購入を検討するとした藤村官房長官にしても、"必要なら"という前提付きの発言であったし、翌18日に、あらゆる検討をするとした野田首相も「こういう動きが出てきたことについて所有者の真意をよく確認したい」と発言していて、明らかに現状のままが望ましい、または、現状のままでよいのに何故波風を立てる動きをするのか、という具合に、自分から"事なかれ主義"であることを証明してしまっている。
また、4月19日には、石垣市議会が、国による尖閣諸島購入を求める意見書を賛成多数で可決しているのだけれど、その文面は次のとおり。
国による尖閣諸島購入を求める意見書
沖縄県石垣市登野城に地番を持つ尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土であり、石垣市の行政区であることはご承知のとおりであります。今、この尖閣諸島の魚釣島等3島の所有をめぐり、東京都の石原慎太郎都知事が、購入に向けて最終調整をしていることを明らかにしております。
尖閣諸島については日本が実効支配しているものの中国や台湾が領有権を主張し、中国においては東シナ海への進出を理由に過激な行動をとるなど、尖閣諸島周辺海域で漁を営む漁民の安全操業を脅かし、国の安全操業に向けた取り組みが求められています。
現在、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島の3島は民間人が所有し、国が「平穏かつ安定的な維持・管理」を図る目的で賃借しているが、中国漁船衝突事件以降、日本政府が尖閣諸島周辺の無人島の島名を決めたこともあり、中国が反発するなど事態は緊迫している状況であります。
石垣市としては、尖閣諸島周辺海域で安全操業ができるよう避難港の建設や灯台及び漁民の為の無線塔の設置、気象観測所の建設などを要請してきたが、国は領有権を主張する中国を刺激するのを避けたいため実効支配強化対策を十分にとってきませんでした。
このため、石原都知事は「国が買い上げるべきだ」としているが、政府は尖閣諸島への調査のための上陸さえも禁止するなど、賃借するだけでなんら対策を取ってこなかった背景を踏まえ、石原都知事が先行して購入することに踏み切ったものと思慮されます。
東京都が購入すれば、外国資本、特に中国側の民有地取得の手が及びにくくなり、上陸禁止についても調査のための上陸も可能となり、避難港の建設や灯台の建設、無線塔の設置、気象観測所の建設が容易になることが予想され、尖閣諸島周辺海域での安全操業に大きく前進するものと期待されます。
しかし、本来ならば石垣市の行政区域である尖閣諸島を石垣市が購入すべきではあるが、財政的にも厳しい状況にあることから国において購入し、行政区である石垣市へ払い下げていただくか、もしくは国による管理運営を強く要望し、要請いたします。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
平成24年4月19 日沖縄県石垣市議会
とまぁ、石垣市議会は、国がやるべきことをやらないから東京都が購入に踏み切ったのだとし、国が購入後に石垣市に払い下げるか、国による管理運営を強化すべきだとしている。このように既に、世論調査の上でも、現場の側からも国は、尖閣の実効支配に対して何もしていないと見做されている。だから、これを覆すには相当の対策をうたなければならないだろう。
また、中国は中国で、4月19日、アメリカの華字ニュースサイトである多維網が、「尖閣買収発言」 の影響を報じ、日本では、ネットアンケートで90%以上の支持があると紹介する一方、中国でも「対日開戦」を呼びかける声が日増しに高まっているとしている。
ただ、中国が自衛隊とだけ戦うのならいざ知らず、現時点では、アメリカ軍がバックに控えている。いきなり日中開戦して、沖縄とか九州なんかに攻め込もうものなら、日米安保が発動する。しかも、尖閣沖衝突事件当時、前原外相とクリントン国務長官との会談で、「尖閣諸島は日米安保条約第5条の範囲に入る」とのクリントン国務長官のコメントを曲りなりにも引き出している。だから、いきなり日中開戦という事態は考えにくい。
だからといって何もしないのでは、中国の挑発はますますエスカレートするのは目に見えている。下手をすると、中国による尖閣諸島への海中工作をすることだって考えらえる。
実際、中国は、スプラトリー諸島に対して、まず、秘密部隊が夜中に海の中に潜って、中国の古銭や土器の破片を海中にばら撒き、次に調査団が行って潜ってみたら、お金が出てきた、土器の破片が出てきた、と騒ぎ立て、元々、ここは中国の領土だと主張したのち、軍事施設を建設している。
同じことを尖閣でやらない保証はどこにもない。
いずれにせよ、石原都知事の尖閣購入発言は、一石投じたことは確かだろう。

この記事へのコメント
opera
竹島は、戦後のどさくさに紛れて韓国が侵略したもので、韓国側に歴史的・法的正統性はなく、韓国が領有権を獲得するためには、日本が合意するか時効取得しかありません。時効取得するためには、実効支配を強化しつつ、国際問題化を避ける必要があります。逆に日本は、常にこの問題を指摘して国際問題化しつつ、適切な行動を行なうことで時効の完成を阻止することになります。
北方四島は、終戦直後の混乱に紛れてソ連が侵略した点は竹島に似ているのですが、事後的に一種の占領権限が付与されている点が異なっています。また、ロシア(ソ連)とは、未だ戦争状態を完全に終結させる平和条約が締結されていません。
おそらく北方四島の返還のためには、シベリアやロシア極東部に対する経済協力を含む総合的な外交戦略の構築と平和条約の締結が必要になるでしょう。さらに、返還後もロシアが北方四島海域の海上通行権を要求することが考えられ、この場合アメリカが難色を示すことも予想されるため、日本自身がかなり自立的な防衛体制を構築する覚悟が必要になるかもしれません。
(つづく)
sdi
同意します。投じたご本人も反響のほどに驚いているのでは?
こういうことをする場合、「一石投じた」結果生じるであろうリアクションを想定し対応策を準備してから「一石投じる」なら十分国策遂行の手段となりえます。尖閣諸島の場合、想定されるリアクションとして尖閣諸島への中国籍船舶の接近、続いて航空機による領空侵犯といった示威行動がまず予想されます(外交リアクションは置く)。この場合、矢面煮立つのは海保第十管区と空自の南西航空混成団です。これらの正面部隊に対して補強等の措置を何もしないままなら、中国のリアクションに対応しきれるでしょうか?特に海保は先年の衝突事件とそれに続く情報漏えい事件の悪影響が懸念されます。「一石投じる」のはかまわないのですが、下準備不足や根回しなしでの「一石投じる」は事態が日本側のControleから外れる危険があります。
中国側は今年の全人代を控えて派手なリアクションは取れないだろう、という観測もあります。北京の党中央はそうかもしれませんが、「中国で南シナ海の領有権問題を担当する政府機関は少なくとも1
月光仮面
中国は今、東シナ海・尖閣諸島、南沙諸島、西沙諸島の島々とその周辺諸国の排他的経済水域(EEZ)を根拠・証拠も全く無いくせに、中国固有の領土とか
か古来より中国固有の領土とか、核心的利益だとか言い出し、これらを強奪・略奪しようとしている。絶対に全世界がこの中国の略奪野蛮行為を絶対阻止、徹底的阻止をしなければならない。
中国にはこれらの領有権を主張する事実根拠・事実証拠が全く無いので
スプラトリー諸島などには、中国の秘密部隊が動き、中国古銭をばら撒き、偽造の証拠根拠を捏造したと言うから驚きである。
なんだこの人種国家は、もちろん過去にもチベット・ウィグル・内モンゴルを巧妙に略奪した実績がある。
世界はこの強奪・略奪国家:中国、山賊・海賊国家:中国、共産党一党独裁の帝国主義国家:中国のこれらの行動を断固阻止、断固叩きつぶそう。
中国の人々は、共産党の上層部は贈収賄・増収で莫大な資金を外国にプールし、特権階級になり、社会には秘密警察・秘密公安を配置し、庶民を監視して
恐怖政治を行っている。なんだこの中国国家は!
ちび・むぎ・みみ・はな
政経塾で勉強しても, これだけはどう仕様もない.
自民党も政治とはどうやるのかを良く考えるべし.
現在, 参議院自民党は孤軍奮闘している.
これを国民の運動に広げるか否かは執行部にかかる.
とおる
立場上、言えないのでしょうが、はっきりと、「中国の侵略性の問題だ!、中国はブータン・南シナ海で侵略性を露わにしている。過去には、チベット・東トルキスタン・モンゴルを侵略した歴史がある!」と言ってやればいい。
世界に認識も、「領土問題」では無く、「中国の侵略問題」と広めてやればいい。