前田、田中両大臣のダブル問責可決

 
ダブル亀井が離党したと思ったら、今度はダブル問責。

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4月20日、参院本会議で、自民、みんな、新党改革の3党で共同提出した前田国交相と田中防衛相に対する問責決議が野党の賛成多数で可決した。

前田国交相への問責決議は、賛成131票、反対107票。田中防衛相は賛成132票、反対107票。

前田国交相に対する問責決議の理由は、勿論、公職選挙法違反。「白ヤギさんたら読まずに出した」で触れたように、「事前運動」と「地位利用による選挙運動」が公職選挙法違反にあたるというもの。

そして、田中防衛大臣に対する問責理由は、北朝鮮のミサイル対処の不手際、防衛大臣としての自覚と緊張感の欠如、防衛大臣としての知識・説明能力の欠如

それぞれの問責の反対・賛成討論を見る限り、賛成討論は先に述べたように、両大臣の明らかな失態を問責の理由としたことに対して、反対討論は、頑張っている、ちゃんとやっているといった、"主観"に基づく討論をしていたように感じられた。

特に、田中防衛相への問責に対する反対討論では、その反対理由として、「北朝鮮のミサイルに対する対応は適切であった」「防衛相としての職責を十分に果たしている」「北朝鮮情勢を考えれば、防衛大臣を交代させることは不適だ」「田中大臣の知識や資質に問題ない」と、本気でそう思っているのかと問い詰めたいような理由を述べている。中でも、防衛大臣としての知識・説明能力が欠如しているのではなくて、それは野党の質問が悪いからだと述べ、ヤトウガーを炸裂させるあたり、やはり民主党だなと思ってしまう。

賛成討論に立った、自民党の佐藤正久参院議員は、「私は自衛官時代、国会議員時代を通じ、多くの防衛庁長官・防衛大臣を見てきました。しかし、田中大臣のような方は初めてです。不適切な発言が多いというより、適切な発言がほとんどないのです。」とばっさり。「田中大臣の判断力の無さの証左です。あなたは国民の生命を危機にさらしたのも同然です。何度も言いますが田中大臣では無理です。」と訴えるに至っては、悲壮感さえ漂わせていた。

一般に、たとえ、どんなに頑張ってやっていたとしても、結果が出せなければ、失格の烙印を押されるのが当たり前。それがプロの世界。個人の趣味として楽しんでやって許されるのはアマチュアまで。

なぜなら、プロの仕事には責任が伴うから。国民の命と国土を守り切るのが、防衛相のプロとしての仕事。それが真っ当できないのであれば、その職に就いていてはいけない。

プロは、結果が出せなければ引退を余儀なくされる。プロ野球でもJリーグでも、プロとして通用しなくなれば、どんなに真面目でも、どんなに練習をやっていても、契約解除。厳しいけれど当たり前。



知識や説明能力が欠如していると指摘された田中防衛相は、時事通信社解説委員の田﨑史郎氏によれば、勉強不足と言われるがじつは勉強していて、日曜日に防衛省に来てまで学んでいるという。だけど、その勉強したことが頭に残ってないのだそうだ。

田中氏は防衛大臣就任間もない、今年1月15日、NHK日曜討論に出演して、普天間基地移設の年内着工発言をしたり、PKO部隊の「武器使用基準」の緩和について問われたのに、「武器輸出3原則」の緩和と勘違いして、「PKOで使った建設機械は、その国に置いてこられるように検討している」と頓珍漢発言したことがあるのだけれど、実は、その前日の14日、午前9時半から午後1時まで、テレビ出演に備えて、参院議員会館の自室で防衛省幹部からみっちりレクチャーを受けていたのだという。

それであの発言。まぁ、一夜漬けが通用しないのはよくあることかもしれないけれど、日曜日に防衛省にまで来て勉強をしていたのだとしても、"不適切な発言が多いというより、適切な発言がほとんどない"状態なのであれば、申し訳ないけれど、これはもう資質に問題があるのではないかと言わざるを得ない。

今年の2月の段階で、既に防衛省内では「一川氏の方がマシだった」という評価が広がっていたというから何をか況や。

だけど、問責決議可決後、前田国土交通大臣は、「この結果は真摯に受け止めさせて頂いたうえで、国土交通大臣としての責任を果たさせて頂きます」と述べ、田中防衛大臣も「いろいろご指摘がございました。肝に銘じて、新たなスタートとして、防衛大臣として責任を果たしていきたい」と両大臣とも辞任を否定している。

20日の午後になって、民主党は、24日に本会議を開いて、消費税増税法案を審議する特別委員会の設置を決めると自民に伝えたようなのだけれど、既に問責を決議した自民は出席を拒否。ただ、公明は、本会議に出席する意向とされ、野党ととて足並みが揃っている訳ではない。

それを付け入る隙だとみたのか、野田首相は、当面、両大臣をを続投させる考えで、強気の姿勢を保っていて、民主党の輿石幹事長も、「これを機会に問責決議がどういうものか問い直されてくる」としたうえで、2人を続投させる方針に変わりはないとしている。

だけど、問責決議がどういうものか問い直されるなんて逆切れする前に、問責された事実をきちんと受け止める方が先。決定的に真摯さがない。これが民主党だといえばそうなのかもしれないけれど、あまりにも馬鹿にした話。

とはいえ、この問責可決で、少なくとも増税法案の審議入りが連休明け以降にズレ込むことは確実となった。

民主党の藤井税制調査会長は、「2人になにがしかの非があったことは間違いない。野田総理大臣が、それをどう判断するべきかというと、私は、すべての基本は消費税率引き上げ法案を何としても通すことで、それが最優先だと思う。とげは抜くべきだ」と、問責を受けた両大臣は、増税法案にとっての棘だとあからさまに発言している。それだけ増税法案成立が難しくなったと焦っているのだろう。

まぁ、いずれにしても、ボロボロの野田内閣。両大臣を更迭するために内閣改造を行うと、はや3度目となる。"3度目の正直"になるか、それとも「2度ある事は3度ある」になるか。


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この記事へのコメント

  • 美月

    少し気になったのは、この一件は、内閣改造の噂が広まっていること、及び小沢一郎氏の判決日程(4/26)が迫っていることと、裏で何か関連があるのだろうかということでした…

    ※『週刊朝日(2012/4/27号)』で、野田政権の立て直しは「小沢財務相」が相応しい…という内容を、「民主党のブレーン」と呼ばれた榊原英資・青山学院大学教授なる人物が言っているようです。小沢氏は消費増税反対派に見えるのですが、実際には多少、未知数な部分があるかも…と、思いました
    2015年08月10日 15:25
  • 日比野

    美月さん。お久しぶりです。

    内閣改造と小沢氏の判決の関連ですか…。少し前には、北の更なるミサイル発射と小沢氏判決との関係も言われてましたけれども、う~ん、何ともいえないですね。

    ご紹介の週刊朝日の榊原氏の記事は、機会があれば読んでみたいと思います。

    あぁ、そうそう。久々に、裏日比野庵日記を更新しました。(^v^)
    2015年08月10日 15:25
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    予算に公明党を引っ張り込むなら
    辞任させねばなるまい.

    それにしても, 参議院自民党の態度は立派.
    芯に日本国の将来への憂いがあるからだろう.

    プロなら結果が第一なら,
    谷垣自民党総裁はどうか.
    嘘付党政権を打倒すると言葉は勇ましいが,
    嘘付増税首相と話をつける機会を探している.

    嘘付増税首相の余裕はそのためだろう.
    参議院自民党の突出で立場がなくなりつつ
    あるのは谷垣総裁のように見えるのだが.

    本来であれば, 両院の自民党は一丸となって
    嘘付党政権打倒に向かわなければならない時期だ.
    なぜなら, 状況が好転する兆しは全くないから.
    石原・橋下連携が成立したら, 衆議院自民党は
    どう戦うのか? 目算はあるのか?

    あり得ないと考えるなら甘いと言う他無い.
    2015年08月10日 15:25

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