尖閣購入発言に対するマスコミの反応について


尖閣購入発言がまだまだ沸騰しているので、更に続きのエントリーをします。

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石原都知事の尖閣購入発言を切っ掛けとして、国民的議論が起こりつつあるようだ。

石原都知事の発言以来、ぼちぼち、マスコミ各社が社説等で論じ始めている。そこでいくつかの新聞の社説から、その見出しを拾ってみると次のとおり。
産経:尖閣「購入」石原構想で統治強化を 対中危機意識を共有したい

読売:石原氏尖閣発言 領土保全に国も関与すべきだ

朝日:尖閣買い上げ―石原発言は無責任だ

毎日:石原氏の尖閣発言 都が出るのは筋違い 

琉球新報:石原氏尖閣発言 沖縄の自治権を侵すな/次世代の共生へ道筋を

福井新聞:石原氏の尖閣購入発言 挑発合戦は外交にあらず

中国新聞:尖閣の購入宣言 一石投じたのはいいが

中日新聞:「尖閣」石原発言 都税は暮らしのために

京都新聞:尖閣購入発言  振り回されず大局見て

北海道新聞:尖閣3島購入 都知事の仕事ではない

高知新聞:「尖閣」購入発言 都のやる仕事ではない

宮崎日日新聞:尖閣買い上げ 中国反発招く刺激は無責任

石原都知事の尖閣購入発言に肯定的なのが産経、読売。否定的なのが朝日、毎日、琉球新報、福井新聞、中国新聞、中日新聞、京都新聞、北海道新聞、高知新聞、宮崎日日新聞などなど。

まぁ、全部見た訳ではないけれど、肯定が2、否定が10。圧倒的に否定の論調が多い。

そして、それぞれの論調の中身を見ると、肯定の2紙は、「尖閣を国有化又は国が関与して領土保全すべきだ」、という論旨であるのに対して、否定の10紙は、「中国を挑発するのは無責任だ」「都がやる仕事ではない」として、国に任せるべきだという。

実は、肯定する側も否定する側も、国がやるべきだという筋論として同じ事を主張している。だけど、肯定側は、ゆえに国が責任を持って領土保全すべきだ、と国がどうすべきかを述べているのに対して、否定側は、都は国に任せて、口を出すなという具合に、国がどうすべきかを述べずに、都を批判するという論旨になっている。



世界観がない日本」のエントリーで紹介した、戦略の7階層を、この尖閣諸島に当てはめてみると、次のようになるのではないかと思う。
世界観(人生観、歴史観、地理感覚、心、ビジョン等)= 日本国の存続
政策(生き方、政治方針、意思、ポリシー)       = 領土保全を行う
大戦略(人間関係、兵站・資源配分、身体など)   = 政府が管理
軍事戦略(仕事の種類、戦争の勝ち方など)      = 実効支配を継続
作戦(仕事の仕方、会戦の勝ち方など)         = 民間人の上陸禁止
戦術(ツールやテクの使い方、戦闘の勝ち方など)   = 海上保安庁等によるパトロール
技術(ツールやテクの獲得、敵兵の殺し方など)     = 違反者に対する警告又は逮捕

肯定側は、大戦略の階層である、「政府が管理」というものを原則としながら、結論は、更に上の階層の政策戦略である「領土保全を行う」べきであると、一段と大局に立った論説を述べているのに対して、否定側は、大戦略の階層である「政府が管理」を取り上げるだけで、だから都は口を出すべきじゃないと、大戦略の階層の話で終わっている。より上位の階層には触れていない。

京都新聞の社説は、「振り回されず大局見て」なんて見出しで、石原都知事の発言を批判しているけれど、戦略の7階層からみれば、大局を見ていないのは、京都新聞を含む否定側であって、肯定側のほうがより一段高い視点から社説を述べていることが分かる。

また、否定側は、中国を刺激するとか、挑発は外交じゃないとか云々言っているけれど、日本のほうが、中国の領海侵犯などをひっきりなしに受けて挑発されまくっている。尖閣沖で、海上保安庁にぶつけてきた件だって記憶に新しい。それについてはどうなのか。

まぁ、彼らのロジックでは「挑発は外交でない」そうだから、中国から"外交でない"手段で圧力を受けていることに対して、どう対応すべきかの説明がなければ片手落ち。それこそ、"外交でない"手段で圧力を受けているのだから、当然"外交でない"手段で反撃すべきだ、というロジックだって成り立つ。

賛成も反対も言論の自由だから、それは別に構わないのだけれど、正直、反対側のロジックは、同じロジックでツッコミ返されることを想定しているのか疑問が残る。

さて、肝心の世論の反応はというと、早くもネット世論調査が行なわれている。ヤフージャパンの「みんなの政治」が、「石原慎太郎東京都知事が、尖閣諸島を東京都が買い取ることで調整を進めていることを明らかにしたそう。「本当は国が買い上げたらいいが、国が買い上げようとしないからだ」と理由を説明しましたが、あなたは東京都が尖閣諸島を買い取ることに賛成? 反対?」という世論調査を、4月17日から実施しているのだけれど、4月20日の0時現在で、3300票以上の投票があり、内、賛成が91%、反対7%、わからない2%と、圧倒的に世論は支持している。

まぁ、ネット投票であることと、回答した人の性別が男性が86%となっていることから、多少保守系に偏る傾向があるかもしれないけれど、おおよその反応は賛成が多いのではないかと思われる。

これだけ大きく扱われている問題だから、普通であれば、週末にマスコミが尖閣購入発言について世論調査をしてしかるべきと思われるけれど、もし、週明けになっても何もないのであれば、誰かに都合の悪い結果になったから公表しないのだと勘繰らても仕方ない。

例えば、フジテレビの新報道2001あたりは、毎週木曜日に世論調査をして、次の日曜日にその結果を放送しているから、石原発言が日本時間で17日の火曜日であることを考えると、今度の日曜日の放送に十分間に合う。少なくとも世論調査の設問の中に尖閣購入発言についてのものが入ってしかるべき。もしも入っていないとするならば、相当世間ズレした番組だと言わざるを得ない。要注目だろう。


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この記事へのコメント

  • t.hira

    「陸地の広さでは日本は小国に見える。しかし領海と排他的経済水域の面積を見ると、世界で6番目の広さだ。海に目を向ければ「狭い国」というイメージは誤り▼中国はどうか。陸地はだだっ広いが、人が住めるような土地が意外に少ない。領海と経済水域は狭く日本の五分の一。エネルギーと水産資源確保のために、海洋進出に腐心する背景だ」
    河北新報HP2012年04月20日より引用

    日本の未来は「海洋国日本」としての自立にかかっている。
    そして、世界に先駆けて「海上都市」を創る。
    上記報道は、やっと「海」に視点を当てた意義がある。
    単に海洋を「エネルギー確保」だけでなく「世界に尊敬される国」としての「国家像」の方向を「海と共に生きる」ことを基盤としていくならば、「新しき日本国家」としての未来は明るい。
    2015年08月10日 15:25
  • opera

    確かに、尖閣諸島の領有については国際的にも問題はありませんが、中国との間の排他的経済水域の境界は未だ確定しておらず、この地域(海域)が一種の紛争地帯であることは間違いのない事実です。
     もともと海底油田開発の問題は、この排他的経済水域の境界確定と密接に絡んだ問題だということを忘れるべきではありません(竹島問題にも類似した背景があります)。
     したがって、この地域については「その土地は昔から私たちのもということで何の問題おきておりません。それが何か?」という態度は通用しませんし、妥当でもないことを理解する必要があります。

     次に、尖閣諸島を都が所有することは、そこに領土問題がない以上、何の問題もなく、本来は外交問題ではないのですが、石原都知事が言うように、そこを拠点に日本が主張する排他的経済水域内での漁業を振興する(あるいは海底油田を試掘する)、より直接的にはそこで「違法」操業を行なう中国漁船を取り締まるということになると、ある種の『覚悟』が必要になります。
     ただ、「実効支配を強化する」というのは本来はそういうことで、単に島々の支配を強化し上陸を阻止するというだけでは足りず、それを
    2015年08月10日 15:25
  • sdi

    最初にいっておきますが、私は石原都知事の発言に反対ではありません。国もしくはそれに準じる組織に地権を一本化しておくのは周辺海域の経済価値を考えても意義のあることです。
    しかし、なんか騒ぎすぎのように思えてきました。本当なら、こういう案件は水面下での交渉や根回しを進めて、いざ契約書に捺印直前くらいに発表というのが最善ではないですかね。なにしろ、いろんなとこから横槍やら入りそうな案件です。問題提起という点で効果があったとは思いますが、少し薬が効きすぎてしまったのではないでしょうか?
    領土問題のセオリーでいうと、ことさら騒ぎ立てるのは係争相手に実効支配されてるほうです。実際に領土を押さえてる側は紛争相手が何を喚いても涼しい顔で「その土地は昔から私たちのもということで何の問題おきておりません。それが何か?」という態度でいるほうがよいのではないですかね。
    ことさら過剰に反応すると「日本も尖閣諸島について領土問題が存在することを認めてる」という言質を中国側に与えるきっかけになるかもしれません。こっちのデメリットはかなり大きいです。石原都知事は国会議員のころから国有化について動いてきたそうですから、
    2015年08月10日 15:25
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    見事に反日新聞が赤字になっている.
    彼らの特徴は共同の社説を使うことらしい.
    アサヒル虚言に論理を適用しても虚しい.
    彼らの目的は個別批判にしかない.
    しかし, 別の面で興味深い.

    国民と嘘付政府・マスメディアの意識乖離
    をこれ程に明らかにしたことがあったろうか.
    そして, これこそが「政治的手法」である.
    通常ならマスコミの壁に遮断されて届かない
    「国を守れ」というメッセージが全ての
    メディアを通じて報じられている.
    メディアは否定する積もりで逆を行なっている.
    この様に, 真の政治的手法はマスメディアの
    サボタージュを潜り抜けることができる.

    自民党がこの様な「政治的手法」を正しく使う
    なら決してマスコミの壁に負けることはない筈.
    自民党の執行部が「政治家として」石原氏にも
    及ばないことを計らずも明らかにしてしまった.
    2015年08月10日 15:25
  • 日比野

    sdiさん。
    >ことさら過剰に反応すると「日本も尖閣諸島について領土問題が存在することを認めてる」という言質を中国側に与えるきっかけになるかもしれません。

    私も同感です。これについては、2010年の尖閣沖衝突事件直後に、これは、中国が尖閣諸島を係争地化することを狙った戦略であるとエントリーを上げたことがあります。
    http://kotobukibune.at.webry.info/201009/article_11.html
    http://kotobukibune.at.webry.info/201009/article_17.html

    ですから「その土地は昔から私たちのもということで何の問題おきておりません。それが何か?」という態度は基本的に正しいと思います。その上で、涼しい顔して、灯台を建てるなり、港をつくるなりして、実効支配を強化。更には、南西諸島への陸自駐屯強化など、気にしない素振りでしっかりを国防強化にあたるのがいいのではないかと思います。

    確かに騒ぎ過ぎの感はなくもないですが、国防のこの時も考えてこなかった民主党ですからね。これくらい薬が効いてもいいんじゃないかと思
    2015年08月10日 15:25

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