今日もいろいろ動きがありました。
1.危機管理能力が欠如した民主党政府
4月16日、政府は北朝鮮のミサイル発射の情報公開が遅れた問題についての検証チームを設置し、初会合を開いた。
これまでの調査によると、今回のミサイル発射についての政府発表が遅れた原因は、どうやら、田中防衛大臣のミスによるもののようだ。
事の経緯を追っていくと、13日の午前7時40分に、防衛省が弾道ミサイル発射の熱源をとらえた米軍の早期警戒衛星情報(SEW)を受信すると、田中防衛相ら政務三役は、執務室のある11階からエレベーターで地下3階の中央指揮所に移動。続いて、アメリカ軍イージス艦のレーダーが捉えたミサイルの軌跡情報が伝えられ、田中防衛相はその軌跡を地下3階の中央指揮所で1分半程度目視確認している。
本当は、この時点で、エムネットなりJアラートなりで、警戒情報を出すべきなのに、田中防衛相は官邸に報告を上げない。そして、7時50分に統合幕僚長が田中防衛相に「米軍が飛翔体を探知したが、ロスト」と報告。更に8時0分に、再び統幕副長が「7時40分、何らかの飛翔体が発射。洋上に落下したもよう」と報告しているのだけれど、田中防衛相はこの間、何にもしなかった。
そして、漸く8時13分になって、田中防衛相は、官邸の藤村官房長官に「1分以上飛行。複数の物体となって落下」と電話で報告。同23分に記者会見を開いて同じ内容を発表した。
官邸は官邸で、7時42分にSEWからの情報を把握しても何もせず、8時7分に、官邸5階の執務室から地下1階の危機管理センターに移動。そこで防衛省局長から「わが国のレーダーは確認していない」と報告を受ける。8時13分には、田中防衛相から「1分以上飛行。複数の物体となって落下」との電話連絡を受けるもこれ放置。8時23分、そのまま危機管理センターを出て、30分にエムネットに「わが国への影響はない」とだけ配信したのが初期対応の顛末。
この間、防衛相と官邸との間の連絡は8時13分の電話一本だけ。連携どころか情報共有すら碌に出来ていない。2009年の麻生政権下での北朝鮮のミサイル発射では、防衛省の政務三役は、11階の省議室に陣取り状況を把握し首相官邸との情報共有に努めていて、ミサイル発射2分後には、北朝鮮から飛翔体が発射された模様だと速報を出し、その後も「飛翔体は一発。発射方向は東」と、細かく情報を出している。
わずか3年前は、これほどの対応が出来ていた。きちんと危機管理していた。当時と今でたった3年。イージス艦や自衛隊など、現場の人達は殆ど変っていないし、今回も同じように状況を把握していた。
だけど、忌まわしき民主党は、ミサイルが爆発して海面に落下しても、ぼーっと見ていただけ。もはや当時の麻生政権と比べることすらおこがましいけれど、月とすっぽんどころか、マゼラン星雲と地球の間くらい差がある。
今回は、たまたま、日本上空に届く前に爆発したから被害がなかったけれど、爆発のタイミングが数分遅れていたら、沖縄に破片がバラバラと落下していたかもしれない。流石の日本人も、民主党はどうしようもないボンクラなのだと思い知ったのではないか。
特に、防衛大臣である田中氏の危機意識の欠如は致命的。ほおっておけば、国民の命が危ない。政府は今回のミサイル発射に際して、「新対処要領」なるものを策定し、SEWと自衛隊のレーダーでダブルチェックした後、情報を公表することにしていたという。だけど実際は、ダブルチェックする前に事態は終わっていた。練習と本番は違う。
筆者は2月21日の「防衛省来年度予算案と素人大臣」のエントリーで、次のように述べたことがある。
「有事は待ってくれないし、答弁した通りの場面がそのまま起こる保証は全くない。その時々の問題について、その場で独自に判断しなければならないのが基本。とりわけ、国民の命を預かる国防の長となれば尚のことそう。
だから、ただ国会で、無難に答弁できればOKなんてものでは全然なくて、今、日本の国防で何が問題で、その解決に何をしなければならないかをしっかりと認識して、必要な対策を迅速に打っていかなくちゃならない。
《中略》
日本が、いざ、どこかの国と戦争になったとき、これから日本にミサイルを打つぞと通告してから発射してくれる奇特な敵国なんて何処にもいない。
だから、防衛相は、通告があろうがなかろうが、日本の国防の問題点を把握・認識した上で、有事の際には、常に瞬時の判断を下さなければならない立場にある。「防衛省来年度予算案と素人大臣」 2/21 日比野庵本館
と、ここで危惧したとおり、予想と違った事態に直面して政府は慌てふためいた。慌てふためくのは自由なのかもしれないけれど、そのせいで殺されてしまっては堪らない。
3月17日、衆院安全保障委員会で、田中防衛相は今後再び発射が強行された場合にはSEWによる情報を入手した時点での公表を検討する考えを示しているけれど、何を今更。どうも、実地で、民主党に危機管理の勉強をさせている気がして仕方ない。これでは、どこかの"仮免"首相と変わらない。
危機管理できないのが誰の目にも明らかになった以上、早急な改善が望めないのであれば、田中防衛相は辞任して、もっと適任な人物にその職を譲るべきであるし、藤村官房長官もその責任を免れない。
2.東京都が尖閣諸島を買う
それに対して、国防に対する危機意識を示しているのが、東京都の石原慎太郎都知事。
4月17日(日本時間)、石原都知事は、ワシントン市内の講演で、「尖閣諸島購入構想」を発表した。
これは、東京都が尖閣諸島を購入する案で、購入額は明らかにされてはいないけれど、関係者によれば、10~15億円になる見込みだという。
東京都が土地購入する際、通常、2億円以上は議会の判断が必要で、購入目的も明確にする必要があるから、その辺も議会を通じて、いろんなことが明らかになってくると思われる。
尖閣諸島は一般的に「5島3岩礁からなる」とされるのだけれど、5島とは、魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島の5つで、このうち、最も大きな魚釣島、南小島、北小島は、埼玉県在住の栗原国起氏が所有し、久場島は、栗原国起氏の母である栗原和子さんが所有している。あとの一つの大正島は財務省の所有となっているようだ。
この民有の4島は、現在、国が借り上げていて、大正島と久場島はアメリカ軍の射爆撃場として提供している。
栗原国起氏は幼少の頃、尖閣諸島の開拓者で実業家の古賀辰四郎氏の長男である善次・花子夫妻に実子がいないことから、実の子のように可愛がられ、その縁で、尖閣4島を栗原家が譲り受けることになったのだそうだ。
尖閣諸島付近には、石油を始めとする海底資源が大量に眠っているとされているけれど、それが民有地となれば、利に聡い民間企業が放って置く筈もない。
実際、バブル前には、魚釣島だけで約150億円、3島で350億円で島を売ってくれというオファーが、石油系企業からあったそうなのだけれど、栗原国起氏は彼らと会うことすらしなかった。栗原国起氏の弟の栗原弘行氏は、栗原家が尖閣諸島を守り継承していく理由について、次のように述べている。
「仮に日本企業に売却したとしても、何かのきっかけで中国企業に転売されたら結局、中国政府の実効支配になってしまいます。そうなったら文句は言えないどころか、苦難の末に開拓し、日本の領土として世界に示した古賀辰四郎さんの歴史そのものまでもが消されてしまうことになると思うのです」栗原弘行氏
石原都知事は尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島を個人所有する地権者と、代理人を通じて交渉を続けているとしているから、おそらく、栗原国起氏と交渉しているのだろう。
石原都知事によると、売買交渉は昨年末から行われ、山東昭子参院議員を通じて地権者と会談する機会があり、「東京都が買ってくれるのなら売ります」と話したのだという。
だけど、栗原氏がこれまで民間企業からどんなにオファーを受けても会いもしなかったことを考えると、簡単に売国するような輩には絶対売るとは言わなかったのではないか。その意味では、交渉相手が石原都知事だったのが幸いしたかもしれない。
石原都知事は、都議会の承認を得た上で、2012年中にも、尖閣3島の購入契約を正式に交わし、来年3月31日の国の借り上げ契約期限が切れるのを待って、都への所有権移転を目指す方針で、購入後は、地元の沖縄県や石垣市との共同所有も検討するという。
石原都知事はワシントンでの会見後、尖閣諸島と周辺海域について、「豊穣な漁場」であることや、自然エネルギー開発の可能性、「豊かな自然」を指摘して「さまざまな施策」を展開する考えを示しているから、灯台は元より様々な開発を行う目論見もあるのだろう。そうなれば、尖閣を実効支配している補強材料にもなる。
これについて、一部の報道では、都民から「パフォーマンスだ」とか、「どういう意味があるのか。都民にとってメリットがなく、自分たちの税金が使われるのは許せない」と言う声を上げているけれど、これは、都民どころか、国民全体にメリットがあることだと筆者は考えている。
というのは、都が所有することで、尖閣の実効支配がより強固になるであろうことは勿論のこと、沖縄に東京が手を付けるという事実そのものが、本土と沖縄の結びつきを強めるという象徴的な意味にもなるから。つまり、ヤマトンチュとウチナーがより通じ合える切っ掛けになるということ。
地政学的に沖縄が中国かなんかの手に堕ちれば、日本はエネルギー供給の面であっと言う間に首が締まる。パフォーマンスだとか自分達にとってメリットがないとか言っていた都民も、沖縄が"日本の沖縄"でいてくれたことそのものが、最大最高のメリットであったと思い知るようになる。だけどそうなってからではもう遅い。
普天間問題で下手を打って以来、沖縄の日本政府に対する感情は最悪になっている。下手をすれば、俺達だけに負担を押し付けて自分達はのうのうと暮らしてるなんて思っているかもしれない。沖縄と本土の結びつきを切っちゃいけない。
その意味で、尖閣が都の所有になるということは、畢竟、沖縄に対する責任の一端を都が担うということになる。これを機縁として沖縄の感情が和らげることができたら儲けもの。その意味では、最大の失態を侵した鳩山元首相が尖閣の購入代金の一部を負担したっていいくらい。まぁ、それで普天間の罪滅ぼしになるとは言わないけれど、誠意のひとかけらでもあるのなら、それを示すことくらいにはなる。
沖縄県の、仲井真知事は、東京都の尖閣諸島購入案について、「なんとなく安定性があるという感じがする」と、中立のような微妙な発言をしているけれど、少なくとも否定はしていない。
この尖閣諸島購入案は、日本を纏めるにはいい案だと思う。
あとは、この動きを気に食わないと思っている隣国からの嫌がらせや工作に対して、毅然と突っぱねることができるかどうか。それは国民の意識と沖縄への想い強さに掛かっている。

この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
そもそも, 選挙公約からして嘘だらけ.
こんな党が「正当に政権をとった」と言えるのか?
法務省的にはそうだろう.
しかし, 国民の「道理」からすればどうだろうか.
「道理」が「理念」で押え込まれている不思議な国
それが日本だ.
白なまず
【さくらじ#28 北海道と沖縄のタブー、砂澤陣・宮城能彦 登】
http://www.youtube.com/watch?v=tdeildlsP74&feature=g-news&context=G20aa022CNAAAAAAAHAA
sdi
現在の地権者が永遠に生き続けられるわけではない。それに備えて権利関係を一本化するのは必要なことです。尖閣諸島のうちのひとつは既に財務省の所有になっていますから、霞ヶ関界隈は地権者が代替わりするときのタイミングで「回収」するの腹積もりだったかもしれません。やたらと時間がかかることを除けば安上がりで堅実なプランでしょう。他国が尖閣諸島への主権を主張していなければ、ですが。
石原案を現実に実行する場合、間違いなくリフトリベラルな方々が執拗な妨害に出るでしょうその結果、都議会の腰が据わらないと思います。さらに、仮に都の所有になり地権管理を東京都庁に一本化できたとしても、即日東京都への編入になるわけではないでしょう。それだけを理由に行政管轄を沖縄県庁から東京都庁に移せるとは思えません。
早速、中国のマスコミが騒いでいますのでなんらかのリアクションがあるかもしれませんね。