ダブル亀井の痛撃 (消費増税閣議決定の余波 前編)


消費増税の閣議決定から一夜明け、政界が揺さぶられている。

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閣議決定を受けて、民主党の小沢グループの17人が辞表を提出。辞任を考えている議員は25人にも及ぶとも言われている。中には、東京9区の木内孝胤衆議院議員のように、離党まで考えている議員もいる。

ただ、この17人も小沢氏が裏で働きかけていた部分も影響しているようだ。小沢氏は、30日、国会内の事務所で政務三役らと相次いで会談し、辞任に慎重なメンバーの「切り崩し」を図ったという。

小沢氏は、当初、辞任しない意向だった黄川田徹総務副大臣とは1時間近く会談し、黄川田氏の「地元・岩手県陸前高田市の仮設住宅を訪問してほしい」との要請も受け入れたと言われている。

また、小沢氏は側近を通じて、集団辞任の準備にとりかかったけれど、涙を流す議員や「辞任したくない」と訴える議員もいたようだ。

結局、30日までに政府三役と党役職を辞任した小沢グループ議員が17人だったのに対して、そのまま役職に留まった小沢グループ議員は、平野達男復興相、田中直紀防衛相、中塚一宏副内閣相、奥村展三副文科相、福田昭夫総務政務官、仲野博子農水政務官、室井邦彦国交政務官、高山智司環境政務官、神風英男防衛政務官、山岡賢次副代表、一川和夫参院幹事長、三井弁雄政調会長代理の計12人。

小沢系議員の全員が辞任しなかったとはいえ、半数以上が辞任しているところをみると、衰えたりとはいえ、小沢氏は自分のグループ内には、まだそれなりに影響力を発揮していると見ていいだろう。

また、国民新党は亀井代表、亀井政調会長のダブル亀井が連立離脱を宣言したものの、その他6人が連立に残ると主張し、分裂模様。

ダブル亀井の連立離脱については、地元や後援者からは、「筋を通した」と支持する声がある一方、政界での影響力低下を懸念する声があるようだ。



この国民新党の分裂の顛末については、亀井政調会長が自らのブログで報告している。次に一部引用する。
国民新党について、代表と幹事長の会見内容があまりにも食い違い、世間を混乱させているので事実のみお伝えしたいと思います。

3月29日(木)夜、党本部で議員総会が行われ、松下副大臣以外は全員が出席しました。代表は連立解消の考えを伝え、一人一人がその場で意見を述べました。連立を解消してほしくないという考えが大勢でしたが、皆に理解を求め、代表は党首会談に出かけました。党首会談において代表は連立解消の考えを伝えた上で、政権に残りたい党員、つまり大臣、副大臣、政務官をどうしても続けたいと主張している3人(自見、松下、森田)について、連立を解消しても無所属で使ってもらえるかどうかを打診し、総理は一晩考えたいということで翌朝、7時半に党首会談が再度開催されました。ここまでは前夜の会見で明らかになっています。

 さて、3月30日(金)朝の党首会談で野田総理から無所属では使えないという考えが伝えられ、それでは引き上げるということで官邸から出た直後に会見を行い、連立解消したことを報道陣に伝えました。

 一方、下地幹事長は昨晩、党首会談が行われている最中に官房長官に電話し、連立は解消せずに自見大臣が署名することを議員総会で決めたと伝えました。私は議員総会終了と共に部屋を出たので後で何が話し合われたか知りませんが、森田政務官はすぐに部屋を出たので加わらなかったそうです。また浜田政務官は代表の決定に従うと議員総会で発言していました。

 この日、代表が連立を解消した後、自見大臣に連絡しようと携帯に電話しましたが、自見大臣は電話に出ずに署名し、国民新党として署名したと現在も主張しています。また下地幹事長が連立は解消していないと官房長官に伝え、官房長官が連立を解消していないと会見したことが混乱に更に拍車をかけています。
≪中略≫
 ポストや権力にしがみつく人間の姿というのは本当に醜いものです。国民新党として国民にこういう状態をお見せするのは残念なことですが、今はこれが現実です。

と、下地幹事長以下、政権に残ると主張した議員を手厳しく批判している。



一方、やり玉に挙げられている下地幹事長は自身のブログで、亀井代表は、例の野田・谷垣"極秘"会談によって消費増税がなされてしまうことを懸念して、政局の論理で増税反対に執念を燃やしているのではないかと批判している。また、森田政務官は、30日、富山新聞などのインタビューに対して、「連立離脱は議員総会での一致した意見ではない。亀井さんは党を私物化し、公党を勘違いしている面がある」とコメントしている。

先の亀井政調会長が自身のブログに綴っている、議員総会の様子とその後の顛末がその通りだったとすれば、亀井代表は、野田首相との党首会談で、連立離脱を伝えた上で、政務三役についている三議員(自見氏、松下氏、森田氏)を無所属議員として使って貰えないか、と申し出ているから、一応彼らの顔を立てていることになる。結局、無所属では使えないと野田首相が返答し、亀井代表は、それなら引き上げるとした。ここまでは筋を通している。

ただ、亀井代表が、党首会談に出かける前の議員総会で、連立維持が大勢だったにも関わらず、連立離脱で意見を一致させることができず、そのまま党首会談に臨み、連立離脱を伝えたことが混乱の元になっていると思われる。

一方、連立維持を求める議員も、その意見を通すのであれば、議員総会の場で、亀井代表を説得するべきで、それが出来なければ、それが国民新党の党則で可能かどうかは別として、亀井代表を代表から解任しなければならなかったと思う。それを裏からこそこそと連立維持すると、工作してしまった。後々の印象は凄く悪くなるのは避けられない。これは、次の選挙に響くかもしれない。

政府は、下地幹事長の発言の方を取り上げ、国民新党と連立維持されているという認識でいるようなのだけれど、果たして、亀井代表の連立離脱発言が有効かどうかが、ひとつの焦点になると思われる。

というのは、亀井政調会長が自身のブログで述べているのだけれど、消費増税法案の閣議決定で署名した自見大臣が、無所属で署名した場合、閣議決定が無効になってしまうから。今、財務省が閣議決定の効力を精査しているそうだ。

国民新党という小政党の分裂が、もう一波乱を呼ぶかもしれない。


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