またまた、資源絡みのエントリーです。
東京大学大学院の加藤泰浩教授らの研究グループが、日本の最東端の南鳥島周辺の海底で「レアアース」を豊富に含む泥を発見した。
これは、1969年~1983年に掛けて実施された深海掘削計画(DSDP: Deep Sea Drilling Project)と、1985年~2002年にかけての国際深海掘削計画(ODP:Ocean Drilling Program)、及び2003年から行われている統合国際深海掘削計画 (IODP:Integrated Ocean Drilling Program)において、ボーリングによる海底掘削で採取した柱状のコア試料を分析する中で明らかになった。
レアアースを含んだ泥は、南鳥島から南西に300キロ、EEZ内の水深約5600メートルの海底の試料と、南東に約500キロ離れたEEZ外の試料から発見されたのだけれど、このレアアースを含んだ泥というのは、全く新しいタイプの海底鉱物資源とされる。
従来、海底鉱物資源は、海底火山の熱水活動によって形成された「熱水性硫化物鉱床」、海山や海台などの表面を数cmから十数cmの厚さで被覆する「コバルトリッチクラスト」、ハワイ沖やインド洋などの大洋底の堆積物上に広く分布する「マンガン酸化物鉱床(マンガンノジュール)」の3つが知られていたのだけれど、このレアアースを含む泥は「レアアース資源泥」と呼ばれ、次の4つの特徴がある。
1.レアアース含有量高い
2.資源量が膨大
3.開発の障害となるウランやトリウムなどの放射性元素の含有量が少ないこと
4.レアアースの回収が極めて容易
レアアース資源泥は、太平洋の海底に広く泥の形で層状に堆積し、水深3500~6000mの深海底に2~70mの厚さで存在している。特に重希土類のレアアースの含有量が多い。通常、レアアースは採掘・生産の過程で、ウランやトリウムなどの放射性物質が出るものなのだけれど、「レアアース戦争」のエントリーでも触れたように、海底のマンガン鉱床に含まれるレアアースには放射性元素がほとんど含まていないことが明らかになっている。
そして、このレアアース資源泥も御多分に漏れず、ウランやトリウムなどの放射性元素の含有量が少ない上に、レアアースを回収するのに、極めて薄い硫酸(0.2mol l-1)や塩酸(0.5mol l-1)に、常温で1~3時間浸すだけで、レアアース総量の80~95%以上を抽出できるときてる。
だから、海底にあることを除けば、活用資源として最適といえる。昔は、海底資源を効率的に採取する方法がなかったのだけれど、現在の技術であれば、2500~6000mの深海から年間4000万トンのレアアース資源泥を採掘・回収することは十分に可能と見られている。
ただ、レアアースを含んでいるといっても、場所によって、その含有率にはばらつきや偏りがあり、これまでの調査から、中央北太平洋海域や東南太平洋海域に1000ppm以上の高濃度レアアース泥がいくつも発見されている。それに対して日本近海のレアアース泥の濃度は大体が400ppm以下程度だったのだけれど、今回、南鳥島近海で見つかったレアアース泥の濃度は最大約1700ppm、平均約1100ppmにも及び、中央北太平洋海域や東南太平洋海域のものと遜色ない。
1100~1200ppmもの高濃度となると、そこに含まれる総レアアース資源量は、広さ2km四方、深さ10mの泥だけでも、酸化物換算で約36000トン、ジスプロシウム量では約1400トンにもなり、日本の年間消費量(約30000トン)の1年分以上の量になる。
加藤教授によれば、今回発見された、南鳥島沖のレアアース泥の厚さは、現在確認できるものとして10メートルほどだそうで、濃度や層の厚みなどから、レアアースの推定埋蔵量は、約680万トンで、約220年分にもなる。
これまでの海底泥の採掘実績は、ドイツの鉱山会社が、紅海の重金属泥開発のプレパイロットテストで、水深2000メートルから採掘した例があるのだけれど、採掘したのは、泥のような形状をした硫化物泥で、レアアース泥ではなかった。だけど、加藤教授と共同開発してきた三井海洋開発と三井物産は、採掘技術開発は十分可能とみているようだ。
6月29日、今回の発見について、平野文科相は閣議後の記者会見で、採掘の技術開発が必要と指摘し「特に、海洋研究開発機構と連携して進めてほしい。今後何が必要か文科省としても進める必要がある」と述べている。
粛々と開発を進めて欲しい。

この記事へのコメント
(^o^)風顛老人爺
凶悪犯罪、居座りなりすまし大歓迎のシステムが東北大震災地域にも適用されます。
反日チャイニーズが、自分たちの利権ごり押しシステムの中で観光地を略奪、荒らし廻るのが何故震災復興に結び付くのかさっぱり理解出来ません。私には自殺行為、自滅行為としか思えません。一言で申し上げて腑抜けの「 間抜け 」です。
朗報です。
周辺国特にチャイナ北朝鮮の侵略を地図付きで、
双葉社より出ている週刊大衆192ページに掲載されました。
週刊新潮、桜井よし子氏のページにチャイニーズ警戒論が掲載されました。
サイト「 外国人犯罪の増加からわかること 」を主宰する、
元通訳捜査官 坂東忠信氏
の新刊
「 新 通訳捜査官 」経済界
が取り上げられました。
坂東忠信氏の既刊
「 日本が中国人の国になる 」 徳間書店
活字の力信用はまだまだ大きいものがあります。
有効に活用しています。
此方の
元北京語通訳捜査官
坂東忠信氏、チャイナ通の河添恵子氏。
更には
ちび・むぎ・みみ・はな
最後の絵も, 主役は海上の船だと思う.
「ちきゅう計画」が仕分されたからだろうか.
こんな「手」を使うより, 嘘付政権に
早々に退場してもらえば問題なかろうに.
社会主義者の巣窟たる東大ではそうも行かないか.
日比野
まず、何故、今なのかについてですけれども、今回のレアアース泥発見を公表した加藤教授自身、「今回の膨大な量のレアアース泥の発見は“存在する”ということが判明しただけでも、レアアース市場を独占している中国を強く牽制する効果がある」と述べているんですね。ですから、外交カードとしての側面も当然意識している筈です。
今年になって、日本やアメリカなどは、中国がレアアースの輸出規制によって価格の高騰を招いていると批判し、3月から協議を続けていたのですけれども、6月に中国は、輸出規制は正当だと反論して協議は頓挫しています。
そこで、日米欧は、中国のレアアース輸出規制を調査するための紛争処理小委員会の設置をWTOに要請していますから、今回の南鳥島沖のレアアース泥の発表も、これに連動した動きの可能性はあると思います。
次に、開発についてですけれども、元々、レアアース資源泥の分布海域はその殆どが公海上にあります。これら公海上の資源については、国際海底機構の合意を得れば、鉱区を獲得することができます。実際、ハワイ沖のマンガンノジュール鉱床(記事の
sdi
ただ、私は「絵に描いた餅」のままにしておくことを提案します。研究については予算をつけて進めるのはかまいません。現状での唯一の使い道である「資源外交のカード」としてためにもそれは必要です。メタンハイドレードもそうですが、これらの「海底泥に入り混じった」資源を現時点で採掘・商業利用するのは反対です。
理由は結局「海という世界をControleできるのか」という疑念ですね。我々人類はあまりに「海」正確には「海中」「海底」という世界を知らなさ過ぎます。メタンハイドレードもマンガン塊も資源泥も「海という世界を知る」ために始まった科学プロジェクトの副産物です。それらを採掘し始めたとき、「海」という世界にそれがどんな影響をおよぼすか、我々人類はそれをcontroleできるのか、という点から考えると商業利用はまだ早すぎると思います。
レアアース資源泥に関しては外交カードとして活用し、現実的な対策としてはレアアースを使わないですむ代替技術、都市鉱山の活用、中国以外の国の資源開発に力を注ぐべきでしょう。
八目山人
何の目的でこんな見え透いた事をやっているのか?