小沢のLast Fortune


6月21日、公明党の漆原国対委員長はBS番組で、社会保障・税一体改革関連法案は、8月上旬に成立させることができるとの見通しを示し、特例公債法案など予算関連法案を全部通した後、内閣不信任決議案や問責決議案を出すことを考えるべきだとの考えを述べた。

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法案成立後に解散すべきだ、というのは、何も公明党だけでなく、自民党も言っていて、6月16日に自民党の谷垣総裁は「野田さんがおやりになりたい、これはやむを得ないことでしょう。しかし、マニフェストには全く書いていなかった。マニフェスト違反ですよ。野田さんは直ちに国民に信を問わなきゃいかん」と話しているし、20日には、自民党の茂木政調会長も「一番大きな法案にめどがつけば、民主党マニフェストと齟齬が出る。早急に衆院を解散し、国民に信を問うのが筋だ。首相もそういう考えだろう」と関連法成立後の解散に期待を示している。

法案成立の目途が立ってからというもの、何やら急に早期解散の言葉がちらほら出てきているように思うのだけれど、どうやら永田町では、「話し合い解散」の憶測が広がっているのが原因のようだ。

というのも、民主、自民、公明3党の修正合意前日の14日夜、野田首相と谷垣総裁との間で一時間にも及ぶ電話会談が行われているのだけれど、その詳細は明らかになっていない。しかもその翌日15日に修正合意が為されていることから、民主党中堅議員からは、「早期解散の確約を得たから、強硬姿勢だった谷垣氏が協力した」と指摘され、公明党中堅からは「首相と谷垣氏は『8月21日公示・9月2日投開票』の日程で握ったとの情報がある」と漏らしている。更には、週刊新潮によると、自民党の石原幹事長が「7月末解散、9月9日投開票だ」と語ったという。

それに6月18日の自民党全議員・選挙区支部長懇談会で、谷垣総裁は「川の対岸にいて、解散、解散と叫んでいて解散できるならこんな簡単なことはない…結論が出たら国民の信を問うことが肝要だ」と述べているから、話し合い解散で手を打ったという憶測が為されても仕方ないだろう。

仮に、話し合い解散で話がついているとすると、公明党の漆原国対委員長は、社会保障・税一体改革関連法案は8月上旬に成立させることができるとしているのだから、これだけを成立させた後で解散であれば、9月総選挙になる。そうでなくても、公明党は、予算関連法案を全部通した後、内閣不信任決議案や問責決議案を出すと言っているから、遅くとも9月解散、10月総選挙の流れになる。

となると、小沢グループの造反人数が54人を超えるか超えないかが少しだけ意味を持ってくる。もし54人を超えて造反すると、民主党は単独過半数割れになるから、内閣不信任決議案が通ってしまう可能性が出てくる。これは、同時に、社会保障・税一体改革関連法案が参院を通過する前に、不信任決議を出して可決させることで、法案そのものを潰してしまえることをも意味する。

6月22日、みんなの党の渡辺代表は記者会見で、民主党の小沢氏が新党結成に言及していることに関して、「政党自爆装置のスイッチが入ったということだ」とし、小沢氏らが新党をつくり、内閣不信任決議案を提出した場合は賛成する意向を示している。



この参院通過前の不信任案提出。これが小沢氏にとっての増税法案を潰す最後の手段。だけど、増税法案は民自公の共同提出だから、参院での法案可決までは、この3党から不信任案が出ることはない。とすると、自分達で出すか自公以外の野党から不信任案が提出されるのに乗っかるしかない。

前者は不信任案提出のタイミングを自分で決められるけれど、後者は所謂"貴方任せ"だから、参院通過までに何処かが出してくれないとアウト。であれば、自分達から不信任を出せるような環境にしておいた方がいい。民主党執行部にしてみれば、除名するだのしないだので、時間稼ぎしている間に参院で法案を通過させてしまえばいい。そのあとでの解散であれば、遠慮なく除名するだけ。

だから、小沢氏が増税法案を潰そうと本気で思っているのであれば、フリーハンドを得る意味でも、先に離党するしかない。タイミングとしては、26日の採決直後がその辺りだろうか。そして、参院での採決までの一か月ちょっとの間に、不信任案を出す準備と野党への根回しをして、参院での採決前に不信任案を衆院に提出する。

内閣不信任案は、慣例の一事不再議原則によって、同一会期中に1度しか提出できないとされているから、先に不信任案を小沢新党に出されてしまうと、今国会での解散戦略を練っていた自民・公明は、逆に増税か解散かの踏み絵を踏まされることになる。

だけど、そのためには、どうしても54人以上の造反者ではなくて、54人以上の"離党者"が要る。それが、この作戦の大前提。それでも、野田首相と谷垣総裁との間で、話し合い解散で話がついていれば、自公は小沢新党の不信任案に同調せず否決に回って、空振りに終わる可能性だってある。だけど、小沢氏には手がない。もうこれくらいしか活路を見いだすことは出来ないのではないかと思う。

小沢氏は6月21日のグループ会合の後、別室で議員1人ずつと面会して、「一緒に行動してほしい」と述べて、離党届への署名を求めている。離党届は小沢氏が預かる形になったようだなのだけれど、会合に出席した49人の議員全員が署名した訳ではなく、22日現在で45人程度だという。

だから、採決までの数日で、54人以上の"離党者"が集められなければ、小沢氏の完全敗北。小沢氏最後の賭けが始まった。


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この記事へのコメント

  • fe3c2

    小澤グループの方々は、54名にならないことを望んでいると思われます。
    今後選挙になればこのグループの一回生の方々は殆どが落選すると思って
    います。一日でも議員の身分でいたいからです。
    2015年08月10日 15:25
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    賭けに勝っても負けても, 小沢氏はこれで詰み.
    小沢氏が勝った後を考えているなら, 負ける.
    2015年08月10日 15:25
  • ス内パー

    そういやみんなの党がもう内閣不信任案を出したという報道がありましたけど
    どこまで本当やら。
    2015年08月10日 15:25

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