当店に韓流ブームは来ませんでした

 
韓流ブームはそれほどブームではなかったようです。

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「韓流」という言葉が、知られるようになって、大分経つけれど、その切っ掛けは、1997年のアジア通貨危機後に経済再建を目指した韓国政府の文化輸出戦略にあるとされる。

この戦略に基づいて、韓国政府は積極的にコンテンツ産業振興策を支援し、官民を挙げて韓国ドラマや映画などコンテンツの輸出を推進していったのだけれど、日本における韓流は、2003年4月からNHKBS2の海外ドラマ枠で放送された『冬のソナタ』が人気を博したことにより始まったとされている。この"冬ソナ"の主演俳優ペ・ヨンジュンが巻き起こした「ヨン様ブーム」を覚えておられる方も多いだろう。

最近はK-POPに人気の中心が移り、市場も東アジアだけでなく、欧米や中南米諸国にまで広がっていて、韓国の李明博大統領は、韓国文化を世界的なブランドにする公約を掲げ、海外進出を加速。韓国の政府機関「韓国コンテンツ振興院」の統計によれば、2011年上期のコンテンツ産業の輸出額は2兆225億ウォン(約1350億円)に上り、外貨獲得に貢献している。

そして、海外から韓国を訪問する観光客も増加し、昨年の観光客数は、韓国観光公社によると、979万4796人と過去最高となった。韓国観光公社ののイ・チャム社長は「この持続的好調を可能にしたのは、K-POPをはじめとする韓流の影響力が大きい」と述べている。

また、更に、韓国貿易協会が、日本や中国、台湾、ベトナムなどから韓国に訪れた観光客やバイヤーを対象に実施した調査によると、回答者の80%以上が「韓流ブームが韓国製品の購入に影響を与えている」と答え、4人に3人が実際に韓国製品を購入したとしており、「K-POPやドラマなどを通じ韓国製品の露出を図ることで、加工食品や化粧品、衣類の輸出につながる」と見ているようだ。

そして、東方神起や少女時代などの人気アイドルグループを抱える韓国最大の芸能事務所SMエンターテインメントの李秀満会長は、「以前は企業が海外進出すれば文化があとからついてきたが、今では文化が現地の企業活動を手助けする状況に変ってきている」と、コメントしている。

まぁ、筆者は、「韓流」を街中やテレビで見かけることはあっても、そんなにブームになる程なのか、という印象を持っていたのだけれど、実態はどうもそれほどでもないらしい。

岐阜県大垣市に本社を置く、大垣共立銀行のシンクタンクである共立総合研究所は今年3月に、「韓流消費に関するアンケート」を行った結果、韓流が浸透していない実態を明らかにした。

これは、東京・大阪を除いた、大垣共立銀行本支店に来訪した主婦791名にアンケート用紙を配布・回収した結果をまとめたもので、調査時期は、2011年11月15日から21日の7日間、有効回答者数:776名(有効回答率98.1%)。回答者の住所は、大垣市を中心とする銀行だけに、岐阜県、愛知県で95%を超えていて、母数分布が偏っていることは否めない。

だけど、逆にいえば、大都市ではないだけに、草の根的に韓流が浸透しているのかいないのかといったバロメータにはなるかもしれない。

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アンケート結果はざっと次のとおり。
1-1.好きな韓流スターの有無
「いる」=25.0%、「いない」=75.0%

1-2.韓流ドラマを見る頻度
「よく見る」=16.0%、「ときどき見る」=20.7%、「あまり見ない」=37.9%、「見たことがない」=25.3%

1-3.韓国旅行の経験・関心
「複数回ある」=11.7%、「1度だけある」=17.8%、「ないが行ってみたい」=43.4%、「行きたいとは思わない」=27.1%

2-1.あなたはご自分を韓流好きと思いますか
「韓流好きと思う」=11.0%、「どちらかと言えば韓流好きと思う」=17.1%、「韓流好きとは思わない」=71.9%

2-2.「韓流」に興味を持ったのはいつ頃ですか
「10 年以上前」=6.2%、「5~9 年前」=44.8%、「3~5 年前」=20.5%、「3 年以内」=28.6%

3-1.韓国製の製品を購入することに抵抗があるかないか
衣料品  :「全く抵抗はない」=14%、「あまり抵抗はない」=42.7%、「多少は抵抗がある」=22.6%、「購入しない」=20.6%
白物家電:「全く抵抗はない」=1.6%、「あまり抵抗はない」=8.1%、「多少は抵抗がある」=24.4%、「購入しない」=65.9%
自動車  :「全く抵抗はない」=0.8%、「あまり抵抗はない」=4.5%、「多少は抵抗がある」=15.3%、「購入しない」=79.4%

3-2.韓流ブームによって、あなたの韓国製製品を購入することに対する意識は変わりましたか
「変わった」=15.2%、「変わらない」=84.8%

とまぁ、全体的に人気があるとは言えない。特に5年以上前から「韓流」に興味を持ったのが全体の半分を占めるのに、「韓流好きとは思わない」人が7割を超え、8割以上が韓流ブームで、韓国製製品を購入することに対する意識が変わらないと答えている。

5年以上も「韓流」ナントカをやった挙句、8割以上が韓国製品に対する意識が変わらないということは、これは、正直、「韓流」に触れてはみたものの、つまらないと判断されていることを意味していると思われる。

韓国国内では「韓流」がマーケティングの手助けとなっているとし、実際に観光客も売り上げも伸びていることと、共立総合研究所のアンケートの結果とは矛盾しているように見えるのだけれど、これはおそらく、日本においては、その1割、2割の"韓流好き"な方々に拠っている部分が大きいのではないか。

世界銀行による、2010年の日本のGDPが、およそ54978億ドルであるのに対して、韓国は10145億ドルと、経済規模では5倍くらいの差がある。だから、日本の1割、2割が"韓流好き"になったとしても、韓国からみれば、その経済効果は馬鹿にはならない。

韓国が受け取っている"韓流ブーム"と、日本人が感じている"韓流ブーム"との間には、もしかしたら、この経済規模に起因する"温度差"があるかもしれない。

ただ、日本に限ってみれば、10年近く"韓流ブーム"を仕掛けて置きながら、この程度しか浸透していないのであれば、これ以上の韓流の伸びはあまり期待できないかもしれない。ここから先は本当に日本人のメガネに適ったものでない限り厳しいと思う。

共立総合研究所のアンケートで、韓国製自動車の購入について、全く抵抗がないと答えた人は僅か0.8%しかおらず、8割近くは、抵抗が云々どころが、「購入しない」と言い切っている。

まぁ、岐阜・名古屋といった、世界のトヨタのお膝元でのアンケートとはいえ、この辺りに、大きな壁があるように感じられる。昨今、家電が韓国勢に押され、国内家電メーカの苦境が取沙汰されているけれど、日本人の国産車に対する信頼性の高さやブランド価値について、研究することが一つの鍵になるかもしれない。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    不思議な事に, 半島が好きな勘違いは昔からいる.

    しかし, 半島の製品を買うと, 故障修理に出しても
    「反省が足りない」とか「(売った)私の誇りを汚した」
    (我社の誇りではなく)とか言われそうだ.
    2015年08月10日 15:25
  • mayo5

    聖地・新大久保駅前の集団を見るとねえ、統計で語ることができないことが起こりつつあると思いますよ。一か所にお金が集まり、歪みが固定化されていきます。ほかにも聖地はあるのでしょうけれど。
    2015年08月10日 15:25

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