纏まる自民と分裂する民主

 
6月19日、自民党の谷垣総裁は、党役員会で「政府・与党がきっちりした態度を示さない限り、われわれとしてもいろいろな考え方をしなければいけない。具体的な態度を示すよう強く求めていく」と述べ、21日までに社会保障・税一体改革関連法案の採決が行われない場合、衆院に内閣不信任決議案、参院に首相問責決議案を提出する方針を固めた。

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自民の石原幹事長は、記者会見で、3党の修正合意に関する民主党の党内手続きが混乱していることについて、「採決する環境を整えるスピードがあまりにも遅い。スピード感のなさ、やる気のなさ、まとめようとする意思の欠如には怒りを覚える」と批判している。

では、自民はどうなのかというと、マスコミは異論が相次いだと報道している。一例として、時事通信の報道を以下に引用する。
修正合意に異論続出=「民主に譲歩し過ぎ」-自民
 自民党は18日午前、党本部で全議員・選挙区支部長懇談会を開き、谷垣禎一総裁ら執行部が社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる民主、公明両党との修正合意の内容を説明した。これに対し、衆院解散の見通しが依然立っていないことに対する不満や、民主党に最低保障年金などの看板政策を撤回させなかったことへの異論が相次いだ。
 席上、谷垣氏は「(最低保障年金を盛り込んだ一体改革大綱から)閣議決定としての位置付けを剥奪した」として理解を求めた。しかし、出席者からは「民主党に譲歩し過ぎだ」「最低保障年金を名実ともに撤回させるべきだった」などと批判の声が上がった。ただ、党としての了承手続きは15日の総務会で既に終えている。 
 また、出席者の一人は「解散の約束が取れないなら執行部は辞めていただきたい」と要求。谷垣氏は「川の対岸で解散と叫んで解散できるなら、こんな簡単なことはない。民主党の矛盾を暴き出し、解散を勝ち取る」と強調した。(2012/06/18-12:44)

マスコミの報道だけだと、ともすれば、自民だって大荒れじゃないか思ってしまうところなのだけれど、実際に参加した自民党議員・支部長の印象は違うようだ。次にいくつか引用する。
皆さん、こんにちは。自民党衆議院東京都第23選挙区(町田市、多摩市)支部長の小倉まさのぶです。

今朝(6月18日)、自民党本部で開かれた全議員・支部長懇談会に参加しました。テーマはもちろん税と社会保障の一体改革についてです。現職の議員だけでなく、落選中・新人の支部長を呼んでの議論は自民党では初めてだそうです。日頃発言の機会の無い支部長が優先して発言を行う、(部屋が狭すぎたのもありましたが)完全な先着順で僕のような新人候補者が真ん中に座らせてもらう一方で、大物議員も遅れてくれば立ちながら参加するなど、非常にオープンな環境で今回の3党合意について議論することができました。

2時間にも及ぶ白熱した会合となり、議論の中身もかなり充実したものになりましたので、以下では、皆様の誤解の多いポイントに絞ってご報告申し上げたいと思います。

①デフレや景気悪化を放置したままで、消費税を増税することはありません

自民・公明・民主3党で合意した「社会保障制度改革推進法案」では、「…『所得税法等の一部を改正する法律附則第104条』の規定の趣旨を踏まえて…」とあります。

《中略》

自民党の執行部からも、「これまではじり貧経済・じり貧財政だったが、消費税増税により社会保障費の目途が付いた分、成長を促す人材育成・研究開発・公共事業など積極財政に転換する」、「日銀にもデフレ脱却のための積極的な金融政策を促す」という発言がありました。

また中小零細企業の多くは、消費税が引き上げられても価格転嫁できません。既に自民党は、独禁法・下請法の改正を求めておりますが、社会保障費用を国民で広く負担するはずの消費税が、中小零細企業にのみしわ寄せがいくことが無いよう政策を進めていくことも確認しました。


②社会保障制度の改革は社会保険(払った人だけもらえる)が基本です

《中略》

中長期的な社会保障制度の改革については、この後一年間かけて、国民会議で議論され決定されます。この場において、自民党の自助・共助・公助の精神が活かされた成案となるよう、一致結束して主張していくことも今回の会合で確認されました。

自民党は今回の合意で大幅な譲歩を行ったとの報道が一部なされましたが、そんなことはありません。政治に限らず、交渉事で合意に至る場合、一方の意見が100%通ることはまずありません。しかし、中身を見れば、民主党が前回の総選挙で掲げていたことはほぼ撤回された、「サッカーに例えれば6対1の試合(?)」(茂木政調会長)になったと思います。

各議員・支部長が消費税引き上げと社会保障制度の立て直しの必要性を共有しながらも、経済に影響を与えないためにはどうすればよいか、公平で納得感のある使い方にするにはどうすれば良いのか、非常に前向きな会合になったと思います。某政党のように、「無駄の削減をすれば消費税を上げなくても良い」なんて無責任な発言をする人は一人もいませんでした、怒鳴り合いや罵り合いなど幼稚な行動を取る人も一人もいませんでした、最後は自民党が一致結束して行動していこうということで谷垣総裁を万雷の拍手で送りだしました。自民党は国政を担うに足る大人の政党だと再確認できました。個人的には、25兆円にも上る基礎的収支の赤字には焼け石に水だったとしても、議員の身を削る行為(議員歳費のカット等)への言及が党内でも足りていないと思いますし、このことを引き続き主張させていただこうと思いますが、非常に有益な会合だったと思います。




昨日朝行われた自民党全議員・選挙区支部長懇談会の主な議論内容についてざっくりご報告する。説明も質疑応答の答弁もまとめているのでご承知おきいただきたい。今回の議論は特に社会保障部分に集中した。肝心の税の方の議論もすべきだったようにも思われる。また解散戦略や党内手続き等についての質疑もあったが、報道等に譲り割愛する。

《中略》

●「所得税法改正案附則第104条の規定の趣旨を踏まえ」と明記。
 →消費税増税が小泉内閣下で決められた基礎年金国庫負担割合の引き上げ等に充てるために行うこと、消費税の増税において社会保障財源に充てることや景気等の状況を踏まえるということ。

●「税金や社会保障納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ」云々と明記。
 →給付面ばかりではなく負担も考慮するべきこと。

●「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし」と明記。
 →民主党マニフェストにある税方式による年金制度を否定。

●「今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて、社会保障制度改革国民会議において議論し、結論を得る」と明記。
 →改革の必要性から議論するということ。

●社会保障制度改革国民会議について「閣議決定された社会保障・税の一体改革大綱その他の既往の方針のみにかかわらず幅広い観点に立って」と明記。
 →民主党マニフェストに沿って閣議決定された内容を、社会保障国民会議で変更できる旨を明記。

●生活保護制度の見直しについて、自民党の主張により記載。

《中略》

<谷垣総裁補足>
・「決められない政治」を打破するために合意に至った。
・ただし民主党マニフェストによるバラ撒きを撤回させる、という線は守った。譲歩して出血大サービスをしたわけではない。
・民主党はどこに頭があるかわからない政党。大連立などできるわけがない。


税と社会保障の一体改革に関する与野党協議の結果を報告する現職、非現職の全体選挙区支部長会議が6月18日(月)8時から自民党本部で開催された。

《中略》

会議は、修正協議の内容、進捗状況説明が行われ、質疑応答となった。司会の遠藤副幹事長から、「まずは非現職の支部長から意見を求める」という配慮があった。有難い、と同時にめったに自民党本部に来ないのだから、先に意見を聞くのは当たり前だとも思う。僕も会議時間の20分前には、会議室に到着し、前から2番目の席を陣取り、司会から指されるであろう場所を確保している。手を上げて発言を求めると、遠藤副幹事長から「福田さんは2番目にどうぞ」と指名してもらえた。

地元の有権者から指摘を受けていることは「消費税率の引き上げのみが決まって、社会保障は、国民会議の議論へと先延ばしになっている。これでは、先食いになり、若者の将来に対する不安は解消されない」ということだ。茂木政務調査会長は「国民会議の議論は1年以内。協議が整わなければ消費税率の引き上げは行われない」という。しかし、消費税法案が可決されてしまったら、政府によって税率を上げられてしまうかもしれない。既に今年度の政府予算には、消費税率を引き上げることを前提として、借金がなされている。東京の萩生田選挙区支部長は「国民との約束が守れない政党が、自民党との約束を守るはずは無い」と断言していた。社会保障の議論を国民会議に棚上げして、1年間先延ばしにしたことによる協議成立だとしたら、やはりおかしい。税率引き上げと、新たな社会保障の確立はセットであるべきだと思う。

この1週間、茂木政調会長をはじめ、与野党協議実務者の皆さんの努力は、大変なものだったと思う。しかし、その結論が都市部の有権者、とくに若い世代に受け入れられるかどうかは、別問題だと思う。協議を整えることが重要なのではなく、与野党で社会保障のあり方を時間をかけても議員間で議論し、結論を出すことが重要なのだ。その結論を踏まえて、消費税率の引き上げなら、次世代も納得すると思う。

自民党と民主党は、消費税引き上げ賛成政党で、同じ穴の狢と言われかねない。10%という税率は同じであっても、使い道、景気対策、無駄撲滅、至る議論のプロセスは異なる。それが全て同じと見なされたら、自民党も終わってしまう。泥舟に乗ることは許されない。


と、中々活況だったようだ。説明された内容自身は、「「社会保障と税の一体改革」の3党合意について」のエントリーで筆者が指摘した内容とかなり重なる部分が多いので、特にコメントしないけれど、やはり、自民党は、3党合意を持って、民主党はマニフェストを撤回したとの認識のようだ。

それに、会議の進行を見ても、非現職の支部長からの発言を優先し、修正合意について、一部批判があったにも関わらず、怒鳴り合いや罵り合いもなく、最後に谷垣総裁を万雷の拍手で送り出したのであれば、結論としては、上手く纏まったというべきだろう。

これら、選挙区支部長・議員による報告を読む限り、正直言って、マスコミの報道とはニュアンスが異なることは否めない。例えば、先程の時事通信の記事が、「最後は自民党として、一致結束して行動していこうと谷垣総裁を万雷の拍手で送りだした。」の一文で締めくくられていたとしたら、受ける印象は随分と違うものになるのではないかと思う。

さて、一方の民主はといえば、18日の会議では結論が出ず、引き続き19日夜に、党本部で合同会議を行ったのだけれど、やはり紛糾した。

会議には、民主党所属の約200人の議員が出席したのだけれど、当然のことながら、小沢グループは猛反発。曰く、「自民党は『マニフェストの撤回だ』と言っている」、「3党合意で法案が修正されたのだから、逐条審査をやるべきだ」などなど。また、中間派からは、正式な議決機関「両院議員総会」の開催を要求し、休憩を挟んで4時間以上議論したのだけれど、集約せず、怒号が飛び交う中、前原政調会長が「私に一任してもらう」と宣言し、質疑を打ち切った。

民主党は、20日に、野田首相が出席しての両院議員懇談会を開催するようなのだけれど、果たして、民主党議員は、野田首相を万雷の拍手で送りだすことができるとは思えない。野田首相が造反者を除名処分するのであれば、民主党の分裂は避けられないだろう。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    自民党の行動は当然なのに立派に見えるのは
    嘘付の報道ばかり聞いているからだろう.
    それでも, 野中や古賀のような(小)ボスが
    いなくなって随分とすっきりした感じはある.
    一番まともな政党になっているのかも知れない.
    2015年08月10日 15:25

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