荒海や 佐渡に横たふ 大油田
今日は、ちょっと期待してしまいそうなエントリーです。
1.佐渡沖の油田
6月18日、経済産業省は新潟県の佐渡島南西沖で、来年4月から石油と天然ガスの掘削調査を実施すると発表した。
対象は、佐渡島の南西約30キロ、水深約1100メートルの下の地層で、面積は約135平方キロ。事業費は98億円で、試掘は来年4から6月にかけて行う予定で、政府がJX日鉱日石開発と、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に委託する。埋蔵が確認されれば、その埋蔵量は、中東の中規模油田並みで、国内最大級となる可能性もあると見られている。
これは、平成20年3月に閣議決定された「海洋基本計画」において、エネルギーおよび鉱物資源の計画的開発を行う方針が決定されたことを受け、経産省が各省庁と連携し「石油・天然ガス」、「メタンハイドレート」及び「海底熱水鉱床」の探査開発を行う、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」の一つ。
計画では、三次元物理探査及びボーリングを実施して、民間企業による探鉱開発を促進することとし、平成23年度までは、操船技術・探査技術といった、三次元物理探査を行う能力を構築しつつ、年間平均で、約5000平方キロの探査を行い、平成24年度から平成30年迄は年間平均約6000平方キロの探査を行うことによって、計6万2千キロの探査を行うとしている。
ただ、掘削調査となると、海底を実際に掘削していくことになるから、無論費用も莫大になる。必然的に相当確度が高いと思われる地点をピンポイントで選定しなくちゃいけない。その中で、今回の地点が選定されたということは、ここに石油や天然ガスが埋まっている可能性が高いことを意味してる。実際、2003年に周辺海域で試掘した際には、少量の石油やガスの産出が確認されている。
石油は、数億年前の生物の死骸が化学変化を起こしてできたものだとされている。有機物が、泥とか砂に埋もれて何百万年か経過し、地下3000~4000m付近にまで沈んでいくと、化石化した有機物は地圧と地熱によって化学変化を起こす。この有機物を含んだ岩(根源岩)が比較的低温(約82℃)で熟成されると石油に、高温(約145℃)で熟成されると天然ガスになるとされている。
さて、地中奥深くで、石油や天然ガスが生成されると、その比重の軽さから次第に地表に向かって上がってくるのだけれど、その途中で、砂岩や石灰岩のような密度の濃い地層にぶつかると、その孔や隙間に石油が天然ガスが溜まってゆく。この石油や天然ガスを溜めこんだ岩を「貯留岩」と呼ぶのだけれど、普通の地層では、その層の厚さ分しか石油やガスを溜めることができない。
だけど、たまたま地殻変動か何かで、貯留岩の地層が、お椀のように曲がっていると、そのお椀の丸みに沿うように、比較的狭いエリアに石油や天然ガスが溜まる。こうした地層の関係で、上手い具合に石油やガスが濃縮されて貯留されているのが、所謂、油田やガス田。
普通の油田やガス田の深さは、大体一番浅くて1000程度。深くなると4000~5000mくらいにもなるから、地表から井戸を掘ると、地下の200気圧から300気圧の圧力に押されて、勝手に、石油やガスが噴き出してくる。
ただ、これが海底油田や海底ガス田だと、地表から掘るのに比べると技術的に難しくなる。現在の掘削技術では水深2000メートルより浅い海域がその対象となるようだ。それでも、日本近海で、それに該当する個所は全部で45個くらいあり、総面積はおよそ84万平方キロにもなるという。
このように有望な所は、日本近海に沢山あることはあるのだけれど、それが採掘するに足るだけの十分な量の石油および天然ガスがあるかどうかは、やはり、「貯留岩」の層が上手い具合にお椀型になっていて、沢山溜めこんでそうな地形でないといけないということになる。
ここで、威力を発揮したのが、三次元物理探査船 『資源』。
2.三次元物理探査船 『資源』
『資源』は、三次元の物理探査を実施できる船で、1999年に建造された。総トン数は10297トン、全長86.2メートル、全幅39.6メートル、喫水8.5メートルで、乗員数は約55名(最大65名)。元々、ヨーロッパの物理探査船会社が保有・運航していた1隻を経産省が購入した。
「メタンハイドレート -メタンを抱いた水篭-」のエントリーでも触れたけれど、海底の地下構造を掘削することなく、探査する方法に、反射法地震探査というものがある。
これは、海中に発射した音波が海底下の地層の境界面で反射するのを捉える方法で、 『資源』の船尾付近に曳航したエアガンを使って、一定間隔で音波を発生させ、その波が伝搬する過程で海底面や地層境界面で反射して戻ってくるものをキャッチする。
反射波についても、『資源』の船尾から、超小型の感圧型水中マイクロフォンを内臓した長さ5000m以上のストリーマケーブル10本を幅100m間隔で曳航して受信する。
従来の物理探査では、このストリーマケーブルを一本しか曳航しなかったから、海底の地形構造は、ケーブル直下の二次元の情報しか得られなかった。これ対して、『資源』は、10本のストリーマケーブルを同時に曳航するため、3次元的により正確な地形情報を得られるようになっているのが大きな特徴。
海底探査を行う場合、『資源』は、長さ15m程度の6本のフロートで海面下6メートルの深さに吊るしたエアガンを、速度4~5ノットで曳航し、25メートル間隔(9~12秒おき)で発震する。エアガンから発震された音波は球面状に広がって、海底下の地層で、減衰しながら浸透し、海底や地層の境界面で反射した一部の波が戻ってくる。これを深さ8メートルで曳航しているストリーマケーブルに内蔵された水中マイクロフォンでキャッチする。
『資源』の探査効率は中々のもので、一日当たり、およそ150キロメートル、面積にして75平方キロが探索できるという。
今回の佐渡沖の海底掘削は、海底約2700メートルの「寺泊層」と呼ばれる、黒色泥岩を主体とし、砂岩や玄武岩質・石英安山岩質の溶岩や凝灰岩を挟んだ第三紀中新世中期後半から中新世後期前半の地層および「椎谷層」と呼ばれる、砂岩・泥岩互層から成る第三紀中新世後期後半の地層まで掘削するようだ。
日本から大規模油田なんて、夢のある話だけれど、原発が止まって、エネルギー需給が問題となっている昨今、夢だけに終わらせず、現実のものとなることを期待している。
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この記事へのコメント
愛読者
いつも愛読させていただき、ありがとうございます。
中東油田並みを熱望しますが、国内最大(級)だと勇払油田規模となります。
下記のブログをご紹介いたします。
http://su-mi.iza.ne.jp/blog/entry/2726949/
su-miさんの「朱鷺の森日記」:イザ!
41079.04236
新潟県沖;油田試掘事業98億円~経産省(資源エネルギ-庁)は千三屋か?
sdi
(^o^)風顛老人爺
民主党の体たらくは言語道断です。チャイナことシナチスは日本と地球全体の敵であります。宣伝、ご容赦下さい。現在発売中小学館から出ている週刊ポストに
チャイナ、シナチスによる日本の一方的な土地買収が特集されています。
危険なのは、新潟市領事館用地5000坪、
ジャニーズ黒柳徹子
パンダ誘致と連動する仙台チャイナゲットー構想のみではありません。
「 外国人犯罪の増加からわかること 」元通訳捜査官 坂東忠信氏サイトです。
坂東忠信氏の新刊
「 日本が中国人の国になる 」 徳間書店
ご高覧下さい。m(_ _)m乱文にて 敬具
ちび・むぎ・みみ・はな
ハイドレートのあるところには石油はない.
さて如何がなものか.
心配が二つ.
1.これでメタンハイドレート調査が妨害されないか.
2.漁業補償で揉めないか.
日本海のメタンハイドレートの有望性が
知られるようになってきている時の発表だけに.
しかし, ついこの前まで化石燃料は使うなという
主張が津々浦々にあったのではなかろうか.
原子力発電推進もその圧力の下で進められてきた.
そろそろ IPCC が本当は何を主張し,
世間が信じていることの何が本当で何が嘘かを
明らかにすべきではなかろうか.
温暖化ガスと呼ばれているものは人間が幾ら
抑制しても, 温暖化すれば自然に増えてしまう
ものだと思う.
ルネサンスの時代, 人間のからだの美しさが
見直されたのは良いが, 小氷河期にも関わらず
薄着した上流階級女性が病気で寿命を縮めたという.
原発反対も温暖化阻止も同じような話しに思える.
そして, 無責任な役人や学者が作った安全指向の
規則で動きのとれない日本も.
新人がクレーンを作ると安全係数を取り過ぎて
大砲のようなものができるという
八目山人
掘っても掘っても出ませんでした。小泉改革で真っ先に廃止されました。誰も異議を唱えませんでした。
日本海側でのメタンハイドレートの掘削を邪魔するためじゃないですかね。(石油が先でメタンはその後でという理由付け。)