小沢切り宣言と野田内閣の命運を握る自民
5月31日に行われた、フジテレビ報道2001の世論調査(6/3放送)で、野田内閣の支持率が下落している。
野田内閣支持率は26.6%と前回の30.4%から5.8ポイント下落。逆に不支持率は69%と前回の62.6%から6.4ポイント上昇し、次の衆院選でどの党の候補に投票するかという設問でも、民主が14.2%に対して自民が22.6%とダブルスコア近い差をつけられている。
この支持率では、誰がみても、野田政権が衆院解散などできないと思うのだけれど、消費税増税法案は、段々と袋小路に入りつつある。
報道2001の世論調査では、野田・小沢会談を踏まえ、両者の意見についてどう思うかの問いに、「野田首相の方針通り消費増税をすべき」が33.4%。「小沢氏の主張通り今回の消費増税をすべきではない」が59.8%とこれもダブルスコアに近い差で小沢氏に軍配が上がっている。
筆者の記憶では、小沢氏の増税反対姿勢について、これまでのいくつかの世論調査では支持しないという回答が多かったように思うのだけれど、小沢氏は支持できないが増税はするべきではないという回答はどう解釈すればいいのかよくわからない。
また、5月26、27日に行われた、共同通信の世論調査でも、消費税増税関連法案を今国会で採決しなくてもよいとの回答は52.1%で、採決した方がよいの43.1%を上回っている。そして、増税法案が今国会で成立しない場合、衆院解散総選挙すべきだとの答えが57.1%と過半数を超えている。
だから、これだけみれば、5月31日に小沢氏が自身のグループ会合で「国民の理解と支持は、われわれにあると確信している」と述べたことを裏付けているように見える。
その小沢氏と野田首相との2回目の会談が、6月3日に党本部で行われたのだけれど、前回と同じく物別れに終わっている。会談には輿石幹事長も同席し、野田首相は、内閣改造も明日行う。今国会中に一体改革法案を成立させる。政党間、特に自民党との協議は進めさせて頂くと伝えたそうだから、事実上、小沢氏に対する小沢切り宣言といっていい。
明日行うとされる内閣改造は、問責を受けた前田・田中の両大臣に加え、書類送検された元中国大使館員との関係が問題視されている鹿野農水大臣など、4人前後の閣僚交代と見られ、輿石幹事長をはじめとする民主党役員は留任する見通しとされる。
問責2閣僚の交代については、輿石氏が強硬に反対していたように思うのだけれど、会談後、「よろしいのではないか」と記者団に了承する考えを示して、あっさりと引き下がるあたり、何か裏であったのかとも勘繰りたくなるけれど、もちろんその真相は分からない。
小沢氏は共同通信のインタビューに対し、衆院で採決した場合、自民党の協力も得られずに法案は否決され、野田内閣が総辞職に追い込まれるとの見方を示し牽制している。
野田首相にしてみたら、自民の協力さえ得られれば増税法案は成立すると思っているだろうし、小沢氏は小沢氏で、自民の協力は得られずに、総辞職に追い込まれると見ている。
つまり、野田・小沢対決の命運は、なぜか自民が握るという何とも妙な状況になっている。
その自民党は、増税法案について、自民党案ベースで合意させようと要求を始めている。6月3日、自民党の大島副総裁は鹿児島市で講演し、消費税増税関連法案について、今後のスケジュールを明確にすることなどを条件に修正協議に応じる考えを改めて示し、民主党の最低保障年金などの主要政策を取り下げるよう求めた上で、協議が実現し、自民党案を基本に合意した場合は、衆議院を解散すべきだと述べている。
修正協議で話し合われるという自民党案がどんなものになるのかは分からないけれど、「自民党のマニフェストに隠された戦略」のエントリーで触れたように、自民党は、4月9日に次期衆院選のマニフェスト原案を出しているから、少なくともその内容に反する案にはならないと思われる。
自民党のマニフェストには、消費税税率は当面10%に引き上げとし、円高・デフレ対策として、政府・日銀の協定で2%インフレ目標を設定するとあるから、"当面"といつ増税をするのか時期を明言しない部分と、2%のインフレターゲットあたりを自民党案として出してきた場合には、修正合意は相当難航すると思われる。
それでも、自民党案を丸飲みして、合意するのか、それとも決裂して採決を諦めるのか。6月政局のゆくえには要注目だろう。
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この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
> という回答はどう解釈すればいいのかよく
> わからない。
増税は反対だが利権屋も嫌いだということではないか.
利権屋の体質が全国洩れなく伝わっている結果だろう.
裁判も継続中だし.
谷垣総裁の5/31の記者会見によれば,
1.「ケジメ」を見せろ.
2.社会保証と税の一体改革
を譲る気はないようだ.
随分とはっきり述べている点から, 消費税増の
「後で」解散は認めない, で一致しているのではないか.