大飯原発再稼働へ

 
大飯原発が再稼働になりそうです。

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5月30日、関西広域連合は関西電力大飯原発3、4号機の再稼働について、条件付きで政府に最終判断を委ねる声明を発表し、事実上再稼働容認へと軌道修正した。

連合長の井戸敏三兵庫県知事は記者団に対して「政府が出した判断は受け止める。再稼働を期間限定にするかは政府の判断だ」と表明しているけれど、やはり、夏場の電力不足による経済活動や市民生活への影響を考えた上での決断だったようだ。

関西広域連合の声明文は次のとおり。
原発再稼働に関する声明

関西地域は、40 年以上にわたって、若狭湾に立地する原子力発電所から安定的な電力を受け続け、産業の振興と住民生活向上が図られてきた。また、その安全確保のため立地県である福井県が独自に特別な安全管理組織と専門委員会を設置し、常時厳しい監視体制がとられてきた 。関西の現在発展は、こうした取組がなければありえなかったといっても過言ではない。

そのようななか 、関西電力大飯原子発所第3号機・第4号機が定期検査を終え、再稼働の時期を迎えているが、関西広域連合は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、安全性が確認できなければ再稼働すべきではないとの立場から、政府に対し三度わたる申し入れを行い、これに基づいて5月19日と本日の広域連合委員会において説明を受けた。

「原子力発電所の再起動にあたって安全性関する判断基準」は、原子力規制庁等の規制機関が発足していない中での暫定的判断基準あることから、政府の安全判断についても暫定的なものである。従って、大飯原発の再稼働については、政府の暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める。

平成 24年 5月 30日

関西広域連合

声明文の中で触れられているように、政府が2度にわたって、関西広域連合委員会に対して説明をしているのだけれど、5月19日に大阪市で開かれた会合で、細野原発事故担当相と斎藤勁官房副長官が出席し、再稼働を妥当とした政府判断に理解を求めたのだけれど、この時は、首長側からは安全確認の手法に批判の声が上がり、再稼働への賛成論は出なかった。

続いて、30日に鳥取県伯耆町で開かれた会合に、再び細野原発事故担当相と斎藤勁官房副長官が出席し、再稼働に向けた政府の安全対策を再説明した上で、経産副大臣ら政務三役が、立ち上げ時、最大10日間程度現地に滞在して、再稼働の手順を見届ける考えを表明し、原発再稼働の安全対策について暫定措置としている。



実は、広域連合は30日の会合の前日、連合長である井戸敏三兵庫県知事は、再稼働容認に含みを持たせた声明案の取りまとめを各首長に打診していたというから、その段階で再稼働の必要性を認識していたことは間違いない。

だけど、取り纏めの段階では、「細野原発相の説明を聞いたその日に声明を出せば『出来レース』になる」などの慎重論が相次ぎ、見送りになっていた。つまりそれほど、世論および住民感情に対する配慮というかプレッシャーを受けていたということ。

それでも、30日の夜に、関係閣僚会合が開かれるとの一報が飛び込むや否や、「政府判断の前に広域連合の意見を示さないといけない」と各首長達が纏まって非公開の打ち合わせで文面を調整したのだという。

30日の会合後、井戸連合長は橋下市長に意見を求めたのだけれど、橋下市長は、「再稼働は期間限定にすべきだ」と主張したものの、声明を纏めることについては反対はしなかった。これで一気に流れが再稼働容認に傾いた。

だけど、声明文をよく読むと、「再稼働を容認する」なんて一言も書いてなくて、「限定的なものとして適切な判断を求める」とだけ書かれている。

まぁ、これは、政府判断に委ねるということであり、事実上の容認宣言。橋下市長もはっきりと「上辺ばかり言っていても仕方ない。事実上の容認です」とコメントしている。

今回の再稼働容認で、"橋下ブラックアウト"で大混乱に陥る危険は少なくなった。

ただ、大飯原発停止で、今夏に大幅な電力不足に陥る危険があるとの試算が出たのが4月中。だけど、橋下市長をはじめとした関西の各首長は反対の立場を変えず、結果として、約一か月半の時間を空費してしまったことになる。

関西に襲い掛かる「無計画停電」の恐怖」のエントリーで、原発の起動そのものは1週間もあれば出来る筈だと述べたけれど、大飯原発の2基は、定期検査による停止が1年程度と、通常よりも長いことから、起動前の配管内の洗浄や点検などの作業数が多くなっているそうだ。更に、全原発停止後に再稼働する初のケースとなることから関電としても慎重に作業に当たる方針で、再稼働は2基同時ではなくて、1基の立ち上げに約3週間を掛け、2基のフル稼働まで6週間を掛けるという。ざっとみて、点検に1.5週から2週間、起動に1週間から1.5週間の計3週間というところか。

だけど、関電によると、火力発電所のトラブルなど「万一の事態に備える」ため、停電地域の区割りや、除外施設の選定などの準備は進める方針でいる。

大飯原発3、4号機の出力はそれぞれ各118万kW。それに揚水発電の出力を足すと、大飯原発が再稼働した場合、最大446万kWの電力が上積みできるという。再稼働できなかった場合、およそ450万kWから470万kW電力が不足すると見積もられていたから、実は再稼働しても、結構ギリギリだったりする。

早々に再稼働を決めたとしても、1基目の稼働は最短で6月末、2基のフル稼働は7月中から下旬となるから、7月初旬から一昨年のような猛暑が続いてしまったら、やはり電力不足に陥ってしまう。

だから、もし、わずかなりとも電力不足になって、やっぱり計画停電なんてことになってしまったら、関西の各首長も、7月2日の節電期間までに再稼働を間に合わせられなくしてしまったことに対する責任が問われるかもしれない。

再稼働したからといって、安心というにはまだ早い。

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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    この騒動の裏にあるのは責任の擦りつけと
    権力の問題ではなかろうか.

    社会主義者の近衛首相が始めた統制経済でも
    電力は重要な柱. 資源を統制できるものが
    権力を握るのが社会主義の常識. 社会主義の
    嘘付が同じことを考えても不思議ではない.

    嘘付政府としては「自治体が頼むから原発を
    動かしてやる」と行きたかったのだろうが,
    自治体側もそうは桑名の焼き蛤.
    2015年08月10日 15:25
  • クマのプータロー

    電力会社は非常事態の想定を法律の制約上排除するわけにはいかず、余分なコストをかけて対策をしています。このコストは当然利用者に負担させられます、原因を作ったのは多くの利用者と重なる有権者が選託した首長ですから。大株主が会社の存続を否定し、その大株主を選んだ有権者が全てのコストを負担する、電力会社を非難する口が空しくなることは余程の厚顔無恥でない限り避けられそうにありません。
    2015年08月10日 15:25

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