7月29日、山口県知事選挙の投開票が行われ、自民党と公明党が推薦する無所属新人の山本繁太郎氏が初当選した。
今回の選挙は、引退する二井関成知事の後を受け、引退する二井関成知事の後を受け、新人4人の戦いとなったのだけれど、投開票結果は次のとおり。
得票総数 開票率(%)当選した山本氏の対抗馬となったのは、NPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也氏で、脱原発・上関原発建設計画の白紙撤回を掲げて選挙戦を戦った。
飯田 てつなり 185,654
みわ しげゆき 37,150
山本 しげたろう 252,461
たかむら 勉 55,418
まぁ、得票だけでいえば、山本氏の圧勝なのだけれど、マスコミは、投票率が45.32%に止まったことで、組織票を固めた山本氏が選挙戦を制したものの、飯田氏は無党派層の支持を集めて善戦したという風に報道している。
だけど、この45.32%というのは、過去の山口知事選の投票率を考えると、決して止まったというレベルじゃない。過去2回の山口知事選の結果は次のとおり。
○2004年山口県知事戦過去2回の投票率は40%前後。それが今回45%と5ポイントも上がってる。まぁ、過半数も超えない投票率を持って45%に止まったという言い方も出来るかもしれないけれど、過去の投票率との比較では止まってはいない。むしろ伸びている。この伸びが無党派によるものかどうかは分からないけれど、少なくとも、これまでよりも関心が高まっていたことは確か。
1.福江 としき:90,512
2.二井 せきなり:371,247
投票率:41.87%
○2008年山口県知事戦
1.福江 としき:123,950
2.二井 せきなり:317,449
投票率:37.21%
その上で、今回の結果を見ると、新人4人の争いで票が割れたこと、投票率が挙がっていること等を考慮しても、確かに、自公推薦の山本氏の得票率が伸びなかったとは言えるだろう。
自民党の大島副総裁はこの結果について「今の野田政権に対する県民の不満が一身に山本さんに向かってきた。…いわゆる第三勢力的な大きな不満を直視しないといけない」と指摘しているけれど、そうであれば、どこかにその不満を受けるところを党として用意しないといけない。でないと、票は悉くそちらにいってしまう。
ただ、その不満なるものの中味については、丁寧な民意の調査が不可欠だと思う。選挙において、有権者が100%納得して応援できる候補がいつも出てくれるとは限らない。大抵はこの政策は賛成だけど、あっちは反対だとか、又は、誰も選べないけれど、現与党に対する批判票として、対立候補に入れるといった具合に比較相対的に投票するケースだってある。
今回の山口知事選での飯田哲也氏への票にしても、脱原発に賛成しての票なのか、大島副総裁のいうように野田政権に対する批判票なのかによって、その対応は全然違うはず。
脱原発を訴える国会議事堂前でのデモが毎週のように行われ、マスコミも連日報道するようになっているけれど、参加者の主催者発表の数字と警察発表の数字が大きく食い違っていたりして、どこまで拡大しているのかも判然としない。ただ、それでも一万人規模で毎週集まるのはそれなりに不満があるというのは間違いない。
ただ、そのデモも、過激派まがいの行動をするようになると別。7月29日の抗議集会では、霞が関などをデモ行進した後、休日の国会議事堂を取り囲み、キャンドルを手に「原発なくせ」と抗議したのだけれど、参加者はツイッターなどで参加した人がいる一方で、労働組合など組織的なPRも目立っていたというし、過激派も混じっていて、一部の参加者が警備の機動隊員に暴行したとして、現行犯逮捕されている。
こうしたことを見ると、今の反原発デモなるものは、どこまでが民意で、どこからかが特定団体による圧力なのかが分からなくなってくる。まぁ、それでも、民意の中に"反原発"が、その割合は別としてあることには間違いない。だけど、それが、反原発デモの勢いだけで物凄くあるように思うのもちょっと偏っている。もしもそうであれば、鹿児島知事選にしても、山口知事選にしても、反原発派の候補者がひとつくらい当選してもおかしくない。
反原発デモというノイジー・マイノリティの裏に、それに賛同するサイレント・マジョリティがどれくらいいるのか。それを掴むことが大事。
そのためには、地元回りといった丁寧な調査が必要なことはいうまでもなく、その結果は選挙で明らかになる。今のところ、地方選挙レベルでは、原発再稼働は是とされている。これが今後の首長選挙でどうなっていくかについて注視する必要があるだろう。
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この記事へのコメント
opera
簡単に印象をまとめると、マスゴミ及びツイッター等の一部ネットメディアで流布された断片情報と、現地での現実問題にはかなりズレがあるということでしょうか。また、概ね大島副総裁の現状認識は間違いではないでしょうが、ツイッター等を使った公職選挙法違反及びデマゴーグ対策も考えていかなければならないようです。
一応、以下に関連情報を引用します。某巨大掲示板については、最も流れの遅いスレッドを一つだけ取り上げます(他はあっという間にdat入りしてしまうので)。時間がある時に、読んでみてください。
○木道 (mokudo)
http://twitter.com/mokudo2ch
・某スレ
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1343547347/
<山口県知事選>
△支持政党別の投票先
http://www.dotup