野田の本音 国民の本音

 
7月24日、参院予算委員会で、片山虎之助議員から、今と同様の経済状況で消費税率を引き上げられるかどうかを聞かれた野田首相は、「デフレからもまだ脱却できていない。現時点のこの瞬間というのは基本的には厳しいのではないか」と答弁する一幕があった。

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すかさず、片山氏が「今の状況では消費増税は難しいということか」と質問すると、野田首相は「言葉足らずだった。現時点で判断するのは難しいという意味だ」と答え直したけれど、筆者は、つい野田首相の本音が漏れてしまったのだと見る。

なぜなら、後で言い直した、「現時点で判断するのは厳しい」と言いながら、その前の「デフレからもまだ脱却できていない」の部分を取り消していないから。

前段の文章は、現時点の経済状況について、デフレであると認識・判断していることを示してる。それを受けて、増税は厳しいというのが最初の発言。これはロジックとしてすっきりしてる。

要するに、「デフレ下では増税はできない=デフレから脱却すれば増税出来る」と判断しているということになるのだけれど、それを後で、「現時点(の経済状況)で判断するのは厳しい」と野田首相は言い直した。

今の経済状況はデフレだ、という現状認識があった上で、増税の判断をするのが厳しいというのは、今のようなデフレ化では、増税してもしなくても良い、と言っているのも同じ。

だけど、野田首相は、これまで、増税の必要性を問われる度に「消費税引き上げは待ったなし」と繰り返し答弁してきた。筆者には、どこら辺が"待ったなし"なのかさっぱり分からないのだけれど、本当に"待ったなし"なのであれば、好景気だろうが、不況だろうが、恐慌だろうが、経済状況なんて一切お構いなく、税率引き上げをしなければならない筈。

だから、野田首相は、「現時点で判断するのは厳しい」という発言によって、これまで自分が散々言っていた「消費税増税は待ったなし」を自分で否定してしまっている。

野田首相は、内閣発足からひと月たった、去年9月30日の記者会見で、「何をやりたいかの前に、やらなければならないことがある。最優先の課題は震災からの復旧・復興と原発事故の収束、経済の立て直しだ」と述べている。だから、やはり本音は違うところにあるのではないかと思えてならない。



野田首相は、自らドジョウというように、泥に潜って自分の腹の底を見せないように気を配っている。

7月4日、野田首相は官邸の5階で、長島昭久氏や手塚仁雄氏ら5人の首相補佐官と食事をしていたのだけれど、補佐官の一人が小沢氏らが集団離党したことについて、「出て行ってよかったですね」と言ったのに対して、「はしゃいでいるように周りから見られないよう気をつけて」とたしなめている。

また、7月22日、早稲田大学での講演で学生から「首相になって数々の不満をぶつけられてきたと思うが、国民に不満や怒りを感じるか」との質問に対して、野田首相は「国会でいろんな答弁をしてきたが、一番きつい質問だ。常に怒りやおしかりの対象になるのが私の仕事。だから国民の皆さんに恨みつらみはありません。…批判を受けながらも、やらなければいけないことはやっていきたい」と答えている。

まぁ、こちらのほうは、国民に恨みつらみがあるかなんてダイレクトに聞かれて「あります」なんて答えることは有り得ないから、普通に「恨みつらみはありません」と答えるしかないだろうけれど、それでも、「常に怒りやおしかりの対象になるのが私の仕事」という枕詞をつけているところに、わずかに本音が垣間見える気がしないでもない。

だけど、「やりたいことの前に、やらなければならないことがある」というのは、そのとおりだとしても、それが何故、消費税増税になるのかという納得できる説明がない。それが致命的。

国会でなぜ消費増税なのかを問われても、その答えは「待ったなし」ばかり。復興予算にしても、臨時増税に復興国債を出して集めた約15兆円の4割が使われなかった現状を見せられると、「増税の前にやることがある」と、何処かの"生活第一な党首"のいうことなど批判できなくなる。

小沢氏に「国民の生活が第一」のキャッチコピーを取られてしまった民主党は慌てて、新キャッチコピーの募集を開始しているけれど、2ちゃんねるなんかには、「国民の生活が台無し」だとか、「国民の生活が2番じゃいけないんですか?」 だとか「嘘つきは民主の始まり」なんてのが書き込まれているという。

ともすれば「便所の落書き」とも揶揄される2ちゃんねるだけれど、"便所の落書き"だからこそ、国民の本音が表れる。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    嘘付増税首相の言動をみれば, 消費税には関心なく,
    本当にやりたいことは別にあるということだろう.

    嘘付党が何を狙っているのは日本の社会主義革命.
    言葉で言わなくとも, 彼らのやりたいことを集積
    すればこれ以外にはない.

    だから, 消費税をどうするかで増税首相に注目する
    あまり政権を長らえさせると後で後悔するだろう
    2015年08月10日 15:25

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