離党ドミノが止まらない

 
民主党の離党ドミノが止まらない。

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7月17日、舟山康江、行田邦子、谷岡郁子の参院議員3人が離党届を提出し、元国民新党の亀井亜紀子参院議員(島根選挙区)と4人で新会派「みどりの風」を結成すると発表した。主要政策が「原発ゼロ社会」の実現を挙げ、TPPと社会保障・税一体改革にも反対のようだ。

そして、18日には、消費税増税法案の採決で反対票を投じたものの、党に残留した中津川衆議院議員が離党届を提出している。中津川議員は、消費税増税反対、尖閣諸島の国有化問題を巡る政府の対応を離党の理由に挙げ、無所属議員と会派を組む方針としている。

特に、今後参院で離党者が続くようであれば、民主は第2会派転落し、参院議長を民主党から出せなくなる。となると、議事進行の主導権も握れなくなる。

今回の民主党参院議員3人の離党で、民主党の参院会派である「民主党・新緑風会」は88人となった。ここからさらに3人が離党すれば、第2会派である「自民党・たちあがれ日本・無所属の会」の86人を下回り、第1会派から転落する。

輿石幹事長は記者会見で、「がけっぷちに立っているという危機的状況を共有しなければ、大変なことになる。国民の信を問う前に、政権が崩壊する」と強い危機感を示しているけれど、一説には、参院民主党には、更に5人程度の離党予備軍がいて、消費税法案の採決となる8月半ばのタイミングで数人が離党することは間違いないとさえ言われている。また、衆議院でも前回の増税法案造反組のなかに無所属での活動を検討する議員が複数いるという。

民主党執行部が「離党予備軍」として危険視しているのは、先月5日に原発再稼働に慎重な判断を求める文書に署名した117人のうち、民主党に残っている74人で次のとおり。
署名して民主党に残った74人 (50音順、敬称略)

【衆院(50人)】

荒井聡 石森久嗣 石山敬貴 稲見哲男 今井雅人 生方幸夫 逢坂誠二 奥野総一郎 小野塚勝俊 梶原康弘 川内博史 黄川田徹 櫛渕万里 工藤仁美 小泉俊明 小林興起 近藤昭一 斉藤進 阪口直人 佐々木隆博 階猛 篠原孝 杉本和巳 首藤信彦 高野守 橘秀徳 田中美絵子 玉置公良 辻恵 道休誠一郎 中川治 永江孝子 野田国義 橋本勉 羽田孜 初鹿明博 鳩山由紀夫 福島伸享 松崎公昭 馬淵澄夫 水野智彦 皆吉稲生 宮崎岳志 室井秀子 柳田和巳 山口和之 山崎誠 山田正彦 吉川政重 渡部恒三

【参院(24人)】

相原久美子 有田芳生 石橋通宏 江崎孝 江田五月 大河原雅子 大久保潔重 大島九州男 岡崎トミ子 金子恵美 小見山幸治 今野東 斎藤嘉隆 武内則男 田城郁 ツルネン・マルテイ 徳永エリ 那谷屋正義 難波奨二 西村正美 福山哲郎 藤谷光信 増子輝彦 松野信夫
まぁ、この全部が全部離党するなんてことは有り得ないだろうけれど、どこまで離党が出るかどうかは、やはり次の選挙に勝てるかどうかということになるのだろうと思われるし、マスコミなどでもそのような観測が為されている。

実際、民主党を離党した参院議員の多くは来年の改選組であり、今回離党した3人も来年の改選組。

元々、民主党には党の綱領がない。口の悪い言い方だけれど、政権交代だけを目的とした「野合の党」。

だから、政権交代が目の前に見えているうちは、纏まっていることができるけれど、いざ与党になってみた途端。それぞれの主張が顔を覗かせる。野党のうちにきちんと議論して、綱領が作れるくらいになっていれば、まだ違ったのかもしれないけれど、結局できないままだった。

それでもまだ与党でいるうちは、まだ我慢のし甲斐もあったかもしれないのだけれど、いざ、民主党に逆風が吹き、党が泥船になってしまうと、我先にと逃げ出す算段をすることになってしまう。

政権交代前までは表に出なかった、民主党の野合体質は、現実の逆風の中で綻びとなってしまった。

流石に、これ以上の離党は拙いと思ったのか、18日の参院特別委員会で、「参院での熱心な議論の中で新たな観点が見つかり、より改善されるのであれば、そういう議論はあってしかるべきだ」と増税法案の再修正の可能性に言及した。

言うまでもなく、これは、離党予備軍を懐柔しようとの思惑なのだろうけれど、衆院の法案採決で党議拘束をかけ、造反議員に処分を下しておきながら、今になって修正の可能性があるなんてのは筋が通らない。

野田首相は、参院での熱心な議論の中で新たな観点が見つかりとかナントカいっているけれど、元々、3党合意は、自民党の社会保障制度改革基本法案をベースとする修正案であって、その中身も殆どの内容について具体的なことは今後話し合って決める、という事実上の先送りだし、それ以外は国民会議で話し合うことになっている。つまり、新たな観点はそこで出るものであって、現時点で3党合意を見直すということは、何についてどう話し合っていくかという枠組みそのものを見直すという話になる。だから、修正といっても、事実上、3党合意そのものの破棄に繋がってしまう可能性が高い。

この期に及んでこんなことを言い出されても、自公は飲める筈もない。

町村信孝元官房長官は「ふざけたことを言っているなら帳消しだ。参院採決で反対もあり得る」と述べ、別の自民幹部も「修正をお願いしてきて、党内で造反を出して、その上また修正なんてあり得ない。3党合意を取るか、破棄するかのいずれかだ」と猛反発している。これ以上甘い顔をする必要もないだろうし、解散に向けて攻勢を強めてくるだろう。


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