こくせい・いしん・あとだしジャンケン

 
7月14、15日に産経新聞社とFNNが合同世論調査を行ったところ、各政党支持率で、自民党(16.9%)、民主党(13.7%)、みんなの党(4.4%)に続いて、小沢新党の「国民の生活が第一」が3.7%と4位に食い込んだ。

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報道なんかでは、小沢新党に期待しないのは80%だとか、そんなのばかりなのでさも支持がないように聞こえるのだけれど、政党支持率を他党との比較でみるとみんなの党に次ぐ支持があることになる。これは公明党(2.6%)や共産党(2.5%)以上の支持があることをも意味していて、純粋にそれだけみれば一定の支持があることになる。

まぁ、それでも、現時点では、せいぜい、みんなの党程度しかないともいえ、公明のように自民などの大政党と選挙協力でもしない限り、次期総選挙で相当数の議席を獲得するのは難しいと思われる。

小沢新党は、出来たばかりの党でもあるし、元々期待値が低いところから始まっていることを考えると、今後何回かの世論調査を定点観測して、支持が増えるかそれとも減るかといった、傾向がどう推移するかを見た方がよいように思っている。

ただ、世論調査では、小沢新党の無党派層の期待値は15.2%だそうだから、「国民の生活が第一」の支持率3.7%も風というよりは、小沢氏絡みの支持基盤がこれだけあるということかもしれない。

実際、民主党の県連では、小沢氏支持に新党に鞍替えする県議などの地方議員も出ているようだ。民主党は、小沢氏に同調して離党した除名議員の29小選挙区すべてに、刺客候補の擁立する方針を出しているけれど、全面対立は避けるべきだの慎重論もある上に、ともすれば、対立候補同士で共食いをして、自民が漁夫の利を得るという声もあり、難航が予想される。

小沢氏は小沢氏で、自身の「オリーブの木」構想を元に、野党連合へ動き出している。12日には新党きづなとの統一会派「国民の生活が第一・きづな」を衆院事務局に届け出ている。小沢氏は記者会見で「最終的には数で決まる。大きな会派として活動できることに意味がある」とコメントしていることから、何が何でも数を揃えにくると思われる。

今のところ、「国民の生活が第一」の重点政策は、消費税増税前に徹底した行財政改革実施。財政出動による公共事業投資による5年以内のデフレ脱却。将来的な「原発ゼロ」。TPP反対。

というもののようなのだけれど、これでどこまで他の野党とのオリーブの枝を接木できるかはまだはっきりしない。何より、接ぎ木できれば一番頼りになるであろう「維新の会」はTPPに賛成している。

それに、橋下氏は7月10日の記者会見で「野田首相はすごいですよ。集団的自衛権についてもこれから議論されて、TPP(環太平洋経済連携協定)についても参加表明するとか、当初言っていたことを着実に進めている。民主党の支持率は急回復すると思う」と発言し、急に手の平を返し始めた。

橋下氏のこの発言が小沢氏の新党旗揚げのタイミングであったことから、一部では、「古いタイプ政治家」というイメージを持つ小沢氏にアプローチをしないでほしいとの意味合いがあるのではないかという憶測が為されている。筆者としては、それもあるかもしれないけれど、まだ維新の会に色を付けたくないというか、慎重に世論の流れを見極める時間稼ぎをして、フリーハンドでいられるようにせんがための発言ではないかと見る。身も蓋もない言い方をすれば、"後出しジャンケン"としようとしているようにさえ見える。

維新の会の人気はまだ衰えを知らない。今回の世論調査でも、維新の会が国政で影響力を持つだけの議席を持つことに期待すると答えた人は60.5%にも上っている。

これは、今年4月の調査で59.6%、5月調査で65.3%、6月調査で63.7%であったことと比較しても、高止まり安定の支持を得ているとみていいだろう。

維新の会が、これだけ高い支持を集めている理由が、"後出しジャンケン"作戦で尻尾を出さないように慎重に振る舞っているせいなのか、政権与党に対する批判票なのかはよく分からないけれど、大政党のような選挙組織がない維新の会としては、やはり世論の追い風を精一杯逃さないようにするのではないかと見る。

最近まで、民主党は、解散を先延ばしにして、維新の会の勢いが衰えるのを待とうとしているという報道なんかがあったように思うけれど、維新は維新で風を逃さないよう、あっち行ったり、こっちいったり苦心しながらも、今のところはそれが効を奏しているようだ。

与党も野党もそして、国政進出を狙う維新の会もそれぞれの思惑で牽制しつつ、選挙の準備を進めている。早ければ今秋にも行われると言われている総選挙。国民は如何なる答えを出すのか。


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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    自民党が16%程度しか集められないことに驚く.
    支持率を回復する方策は沢山あったろうに,
    硬直した「あるべき論」で見逃してきた様に思う.
    「議会制民主主義では政治の議論は国会で」
    というのも一理あるが, 反日的性向の政権が
    居座る現在, 一秒が国の存亡に関わると思うのだが.

    小沢氏や橋下氏の示す未来に何が見えるのだろうか.
    2015年08月10日 15:25

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