尖閣がキナ臭くなってきました。
1.中国の尖閣領海侵犯
7月11日、またしても中国の漁業監視船が領海侵犯をしてきた。
領海侵犯をしたのは、漁業監視船「漁政35001」、「漁政204」と「漁政202」の3隻。3隻は、11日の午前4時前に尖閣の久場島北西約29キロの日本の接続水域に侵入。その後、領海に相次ぎ侵入し、午前8時過ぎ頃まで領海にいた。
海上保安庁の巡視船が3隻に対して、領海からの退去を求めたところ、「本船は中国の海域で正当な公務を執行している…妨害をするな。直ちに中国領海から離れなさい…魚釣島を含む島嶼には中国の領土である」などと答えたという。
同日、外務省の佐々江事務次官は、程永華駐日中国大使を外務省に呼び「領海に侵入したことは非常に深刻だ。わが国として容認できない…再発防止を強く求めたが再度侵入したことは極めて遺憾だ」と抗議したのだけれど、程大使は「本国に報告する」としたものの、尖閣諸島は中国の領土だとの主張を繰り返した。
中国の領海侵犯は、今年3月に続いて2回目になるのだけれど、それに慣れてはいけない。そろそろ本気で尖閣を獲りに来ていると見た方がいい。
なぜなら、着々と尖閣占領の準備を進めているような動きがあるから。
7月1日、中国軍事科学学会常務理事・副秘書長の羅援少将は、香港のフェニックステレビに出演し、次の6大戦
略を発表している。
1.尖閣諸島に「中国台湾宜蘭県釣魚島鎮(=町)」を設立。まぁ、ともすれば、羅援少将は日本だけでなく、南シナ海の三沙諸島での領有権を争っている、ベトナムやフィリピンに対しても、度々強硬な発言をしていることから、対外強硬派なのだと考えてしまいがちではあるのだけれど、必ずしもそうとはいえないかもしれない。
2.不明確な尖閣諸島の領海の基線を設定。
3.周辺海域を軍事演習区とし、航空部隊の射的場に使用する。
4.日本の海上保安庁に対抗する国家海岸警衛隊の設立。
5.開発集団(=企業)を設立し、石油探査と漁業、旅行を担当。
6.世論を味方に付ける。
2.人民解放軍政治工作条例で定められた『三戦』
2010年12月に行なわれた、「東アジア海域の海洋安全保障環境」の第3回国内研究会の発表で、同志社大学法学部の浅野亮教授が次のように述べている。
中国の軍事力には2つのポイントがある。その一番目は軍事に関して中国の近代化が急速に進んでいるが優先順位が不明確であり、それは外交・安全保障の決定プロセスによるもので、必ずしも整合的・合理的ではない。二番目が中国は軍事力の直接的な行使はしないけども、平時においては軍事力を背景にしながら主に『三戦』を用いた心理的な戦いを進めているということである。もしも、浅野教授のいうように、羅援少将の発言がその背後にあるシナリオに沿ったものだとするなら、やはりその背後のシナリオを見なくちゃいけない。
党軍関係の大きな特徴としては、人民解放軍は政治に関して「ああしろ、こうしろ」というビジョンを持っていないが、簡単に言えば拒否権を持つという形で政治に関して影響力を持っている。もう一つは沈黙を保つことによって政治指導者に精神的に圧迫感を与え、結果として軍に配慮するということ。主にこの二つである。
軍が個人レベルで意見を発表することはあるし、またジャーナリズムを通して軍人が意見を発表することはあるが、それが軍人の個々人が自分の意見を持って発言しているかは疑わしい。何故なら強硬派と知られる羅援少将の発言を調べてみると、一つ置きに強硬な発言、一つ置きに穏健な発言、というかたちが繰り返されており、まるでゴーストライターが裏でシナリオを書いているのではないかと思える。ただ名前と写真を貸しているだけのように見える。個人の意見かどうかは疑わしい。
ここで浅野教授が触れている、『三戦』とは、2003年12月に改定された「人民解放軍政治工作条例」の中で「輿論戦、心理戦、法律戦」を実施し、敵軍の瓦解工作を展開すると規定した三つの戦い方のこと。
「輿論戦」とは、自軍の士気を鼓舞し、敵軍の戦闘意欲を弱めるために、内外の輿論を醸成する活動を指し、新聞・本・ラジオ、テレビ、ネット、メールなどのメディアなどの総合的な運用が行われる。敵軍の指導層の決断に影響を与える「重点打撃」や自軍に有利な情報を流して、不利な情報は隠す「情報管理」がその中心となる。
「心理戦」とは、敵軍の抵抗意志を挫くことを目的とし、相手に対して各種メディアやビラ、或いは投降勧告を行うことで、相手の思考や態度の変化を狙う「宣伝」や、軍事演習などの軍事圧力や有利な戦略体制及び先進兵器の誇示による、相手の意志へ影響を与える「威嚇」。そして、真実を偽装することで相手に錯覚を生じさせて相手の判断を誤りを誘う「欺瞞」、更には相手国の指導者層と国民の間に猜疑心を起こさせ、隙を作る「離間」や、逆に、相手からの心理戦に対して、カウンセリングなどによって士気の低下を防ぐ「心理防護」などがある・
「法律戦」とは、自軍の武力行使の合法性を確保すると同時に相手の違法性を暴き出して、第三国の干渉を阻止する活動で、相手を受け身の立場に追いやることを目的とする。例えば、「EEZと海洋覇権を狙う中国」のエントリーで触れたけれど、2009年3月の中国船による、アメリカ海軍調査船への威嚇・妨害事件で、中国が「国連海洋法条約」と「中華人民共和国排他的経済水域および大陸棚法」、「中華人民共和国大概海洋科学研究管理規定」を持ち出して、中国の許可なく活動したのはアメリカ側だと非難したやり方なんかはこれに当たる。
3.目前に迫る尖閣有事
今回の羅援少将の「6大戦略」とやらをこの『三戦』で分類すると、次のようになると思われる。
「輿論戦」とまぁ、見事なまでに三戦を仕掛けてきている。これが、尖閣を軍事占領する段階となると平時から有事になるのだけれど、その兆候はある。
6.世論を味方に付ける。
「心理戦」
1.尖閣諸島に「中国台湾宜蘭県釣魚島鎮(=町)」を設立。
3.周辺海域を軍事演習区とし、航空部隊の射的場に使用する。
4.日本の海上保安庁に対抗する国家海岸警衛隊の設立。
5.開発集団(=企業)を設立し、石油探査と漁業、旅行を担当。
「法律戦」
2.不明確な尖閣諸島の領海の基線を設定。
中国は、7月10日から15日にかけて、浙江省舟山諸島東側の東シナ海で大規模な実弾演習を実施する。演習海域は、尖閣諸島の北320キロ、韓国と中国が領有権を争う離於島から260キロの海域で、中国海軍がこの海域で大規模演習を実施するのは、2010年6月の韓国海軍哨戒艦「天安」爆沈事件直後以来の2年ぶり。
中国海軍は今回の演習に最新鋭の揚陸艦、対潜艦、護衛艦のほか、中・短距離ミサイルが発射可能な022ステルス高速艇も投入し、尖閣諸島を狙った実戦を想定したミサイル射撃演習を行うとされ、その演習規模も、2010年の演習を上回ると見られている。
そして、このタイミングで、尖閣へ領海侵犯している。だから、これらをセットとして見ると、軍事力を背景にした「威嚇」ではないかと思われる。もしも、領海侵犯した中国船が、演習が終わる15日まで尖閣の周りをうろうろして、繰り返し領海侵犯してくるようであれば、その線はかなり高いと見ていいだろう。
この海域は、尖閣とも離於島ともほぼ同じくらいの距離にあるから、或いは、尖閣と離於島に対する牽制の可能性も考えられるのだけれど、尖閣と同じように、離於島にも中国船が接近して領海侵犯をするようであれば、両方へ威嚇していると思われる。
更に、7月11日、中国外務省の劉為民報道官は定例記者会見で、今回の漁業監視船の巡航目的について「夏季休漁期間の管理を強化するための正常な公務だ」と、尖閣周辺海域への中国漁船の進出容認を示唆する見解を示しているのだけれど、この発言の裏には、休漁期間が終われば、中国の漁民が自由に尖閣海域に行けることを暗示しているのではないかとの見方が出ている。
解禁された場合、もちろん、普通の漁船が行くこともあるだろうけれど、同時に、漁船に偽装した中国軍の船が来ることだって十分考えられる。要するに、"海の便衣兵"がやってくるということ。なんとなれば、偽装中国軍船が大挙して、尖閣に押し寄せ、一気に上陸・占領することだって有り得る。
見た目、正規軍には見えない、"海の便衣兵"は建前上は民間人。そんな彼らに尖閣が占領されると、それを奪還するのは非常に難しい。民間人に自衛隊が銃を向けるのは、凶悪なテロリスト以外では、相当な理由が必要になる。
「尖閣を守る方法について」でも述べたけれど、ここはやはり、今のうちに、尖閣周辺に機雷を撒いて、掃海訓練をして、"海の便衣兵"が近づけないようにした方がいい。
万が一、上陸されてしまったら、秀吉の小田原水攻めよろしく、海上封鎖するか、やはり機雷でぐるりと囲んで、日干しにするしかない。その時は、中国海軍と戦闘になることも覚悟する必要がある。
尖閣は半ば有事の段階に入った。
←人気ブログランキングへ
この記事へのコメント
クマのプータロー
とおる
sdi
今後の尖閣についてですが以下の三つが考えられます。
1.現状維持(公有化はなかったことに)
2.東京都により公有化
3.国有化
国有化ないし公有化された場合は以下の二つですね。
4.現状維持(所有者が変わっただけ)
5.何らかの手段で日本のプレゼンテーションを強化
中国にとって最悪なのは2or3->5でしょう。日本側が既成事実さらに積み上げたわけです。では、
日本にとって最悪は?私は2or3->4ではないかと愚考します。1なら「再度チ
opera
2005年・2007年頃にも似たようなことがあったと思います。民間の漁船を借りた糞(憤)青どもが、あわや尖閣上陸寸前までいったこともありましたよね。
違いは、日本国内(主に国民)の反応でしょう。
こういう場合、必ず背後に中国国内の権力闘争と国際情勢の変化があります。それらを正確に読んで、日本としてやるべきことをやるだけです(尖閣の都所有もそのひとつでしょう)。
前回の2005年頃の騒動の際には、初めて自衛隊の南方展開を政府が正式決定しましたが、それ以外は伴いませんでした。
当時は中国経済がイケイケの状態で、日本はもとよりアメリカが中国との極端な関係悪化は望んでいませんでした。
現在は、中国のバブル崩壊が決定的となり、アメリカがアジア重視(事実上の中国の仮想敵国化)を打ち出しているので、日本もより踏み込んだ対応が可能、というより必要になっています(日本も暗黙の中国の仮想敵国化を打ち出すべきですが、機雷の敷設はまだ早い気がしますw)。
ただ、日本の民主党政権は、普天間問題以来、完全にアメリカの信頼を失っているので、今か
白なまず
神の国には昔から神の民より住めんのであるぞ、幽界(がいこく)身魂は幽界(がいこく)行き。一寸の住むお土も神国にはないのざぞ。渡れん者が渡りて穢 して仕舞ふてゐるぞ。日本の人民、大和魂 何処にあるのざ、大和魂とは神と人と解け合った姿ぞ。戦いよいよ烈しくなると、日本の兵隊さんも、これは叶はんと云ふ事になり、神は此の世にいまさんと云 ふ事になって来るぞ。それでどうにもこうにもならん事になるから、早よう神にすがれと申してゐるのぞ。誠ですがれば、その日からよくなるぞ、神力現れる ぞ。今度の建替は、此の世 初まってない事であるから、戦ばかりで建替出来んぞ。世界隅々まで掃除するのであるから、どの家もどの家も、身魂も身魂も隅々まで生き神が改めるのざか ら、辛い人民 沢山出来るぞ。ミタマの神がいくら我張っても、人民に移っても、今度は何も出来はせんぞ。世の元からの生神でない事には出来ないのであるぞ。それで素直に 言ふ事聞けとくどう申すのぞ、今度は神の道もさっぱりとつくりかへるのざぞ。臣民の道は固(もと)より、獣の道もつくりかへぞ。戦の手伝い位 誰でも出来るが、今度の
ちび・むぎ・みみ・はな
何故なら, 表面上は大陸に何でも譲るような
おうような面を見せるが, 内面は極めて小心.
内部抗争ばかりやってきているのだから当然.
従って, 人民解放軍の出方によっては
突然に切れて自衛隊に出動命令を出すことも
あり得る. その時に戦争突入の危機に直面する.
大津の事件でも分かるように, 平和平和という
もの達が一番暴力的である.