東京都は尖閣に上陸できるか?
8月22日、東京都は尖閣諸島の購入に向けて現地調査の為の上陸を政府に申請し、正式に受理された。
東京都は24日までに上陸を許可するかどうかの回答を求めていて、早ければ今月29日に上陸したい考えのようなのだけれど、政府は日中関係や国有化方針への影響を懸念して許可しない方向で調整している。
だけど、つい先日も、日本人による尖閣上陸が行われた。
8月18日、石垣市で太平洋戦争末期に起きた疎開船遭難事件の慰霊祭が行われ、国会議員や地方議員、遺族ら約50人が参列したのだけれど、慰霊祭後、参列した一行のうち、都議ら10人が尖閣に向かい、翌19日午前に魚釣島に上陸した。
元々、地元では、魚釣島での慰霊を望む遺族の声が強く、今回は「日本の領土を守るため行動する議員連盟」が、慰霊祭を魚釣島で行うための上陸許可を政府に申請していたのだけれど、政府はこれを却下した。そこで、議連は石垣市内のほか、洋上でも慰霊祭を行うことにしたのだそうだ。
その海上慰霊祭での今回の上陸なのだけれど、上陸した10人のうちのひとりで、チャンネル桜の代表取締役である水島総氏は、記者会見で、今回の上陸は、計画的ではないと述べている。
まぁ、計画があろうがなかろうが、日本人が尖閣に上陸したのは事実であり、先頃の香港抗議船船員の上陸の後、間もないタイミングでの上陸だから、誰が見ても、領有権を主張するためのパフォーマンスと映る。
政府の公式見解では、尖閣については領土問題は存在しないとしているけれど、最早、現実には、日中双方の尖閣上陸合戦の様相を呈し始めたと言っていいだろう。
今回の日本側の上陸について、当然のことながら、中国は反発した。8月19日、中国の程永華駐日大使は、外務省の佐々江賢一郎事務次官との電話会談で抗議したのだけれど、、佐々江事務次官は「全く受け入れられない。そもそも今回の動向は香港の活動家による尖閣諸島上陸事件が背景にある」と反論し、再発防止策をとるよう求めている。
また、政府は、20日、藤村官房長官が記者会見で、「尖閣諸島をめぐって領有権の問題はそもそも存在しない…原則として政府関係者を除き、何人も上陸を認めないとの方針を取っており、その意味で今回の上陸は遺憾だ」と述べた上で、中国側に、日本の尖閣諸島に関する基本的立場を説明した上で、抗議は受け入れられない、と伝えたことを明らかにしている。
という具合に政府は、中国と国内それぞれを牽制するような発言をしていて、明らかに尖閣の対応に苦慮している。今回の都による尖閣の現地調査について、上陸を認めない方針というのも、中国による再度の上陸を懸念しているものと思われる。
だけど、中国は中国で香港抗議船による尖閣上陸を大々的に宣伝している。8月22日、香港のフェニックステレビは、抗議船の尖閣上陸前、海上保安庁の巡視船と何度も激しく衝突する映像を放映したようだ。映像には衝突の際、抗議船の活動家らが巡視船の操舵室を目がけてブロック片のようなものを投げる姿や、抗議船の船首で巡視船の手すりがなぎ倒される様子なども映っていたそうだから、これで公務執行妨害にならないという日本政府のハードルは、一体どれだけ高いのか。
いくら日本側が、死傷者が出ないように配慮して、わざと上陸させるという方針で対処したとしても、相手がそんなのお構いなく、攻撃してきたらどうするのか。まぁブロック片くらいであれば、なんとか防げるのかもしれないけれど、至近距離からロケット弾でも撃ち込まれたらどうする積りなのか。怪我人や死者が出てからでは遅い。
東京都は、尖閣への上陸が許可されなかった場合でも船上から調査する方針だそうなのだけれど、もしも調査員の中に、役人ではなく、区議や都議も同行していたりしたら、海上慰霊祭の時のように、また計画にない"突発的"な上陸だってあるかもしれない。荒川区の小坂英二区議や、鈴木章浩東京都議は、海上慰霊祭時に上陸している。
慰霊祭での上陸があった以上、中国側も再度の上陸は止めさせたい筈。
慰霊祭では、日本政府が上陸を許可しなかったのに関わらず、結果的に上陸させている。しかも上陸した10人については、任意で事情聴取しただけで、軽犯罪法違反容疑での立件は見送って、調書も作成していない。実際、八重山署で聴取を受けた鈴木都議によれば、捜査員から「取り調べではないといわれた」としているし、沖縄県警幹部も「聞き取り調査だ」として、事実確認作業を強調している。これは中国側からみれば、表向きは禁止しながら、裏では上陸容認という出来レースに見えていてもおかしくない。
従って、今回の東京都の現地調査の為の上陸を許可しなくても、裏では上陸させるのだろうと中国が疑ってかかるのであれば、実力でそれを阻止に掛かる可能性だってゼロじゃない。なんとなれば、海洋監視船かなにかを派遣して、実力行使に出るかもしれない。
都幹部によると、現地調査は、2千トン級の海洋調査船を借り上げて行う予定だそうだけれど、丸腰で大丈夫なのか不安を覚える。せめて、海保にエスコートさせるべきではないかと思う。
上陸合戦に成りつつある以上、事態は何もしなくても、着々と進行してゆく。政府はいつまでも優柔不断な態度で逃げ続けることは出来ない。
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この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
自衛隊常駐を提案していた.
私が前に書いた時には特殊な意見かと思ったが,
実際問題として, これ以外には支那, 正確には,
支那軍閥を黙らせる方策はない.
それにしても支那,
清朝末期の時から政治的風土は何も変わらんのだね.